デル『XPS 15 2-in-1 (9575)』実機レビュー 後編です。
後編は、各種ベンチマークのほか、RAWデータ現像・動画エンコード処理時間計測、起動・再起動時間計測など、『XPS 15 2-in-1 (9575)』の性能レビューを行います。
なお、レビューでは「プラチナ・4Kタッチパネル」モデルを使用しています。スペックについては「スペック構成」の章をご覧ください。
(後編) ベンチマーク RAWデータ現像・動画エンコード処理時間計測 駆動音・表面温度 サウンド チェック Windows の起動・再起動 時間計測 搭載ソフトウェア 付属品 まとめ |
レビュー内容は 2018年12月27日時点のものです。
ベンチマーク
『XPS 15 2-in-1 (9575)』(プラチナ・4Kタッチパネルモデル)の基本性能や総合的なパフォーマンスのほか、CPU、グラフィック、ストレージ、バッテリーの性能を測定します。
基本性能
Windowsに搭載されているシステム評価ツール「WinSATコマンド」と、パソコンの各性能レベルを客観的に評価する「PASS MARK PerformanceTest 9.0」を使用して、パソコンの基本性能を測定します。
WinSAT
「WinSAT」による測定は、PCの性能を相対的に数値化して表現したもので、各項目の説明は次のとおりです。
CPUScore | CPU のスコア |
D3DScore | ゲーム用グラフィックスのスコア ただし、従来のゲーム用グラフィックスのスコアのため Windows 10では計測対象外(9.9というスコアは無視) |
DiskScore | プライマリハードディスクのスコア |
GraphicsScore | グラフィックスのスコア |
MemoryScore | メモリのスコア |
TimeTaken | 前回の評価(「MostRecentAssessment」は直近の評価を表します) |
WinSATAssessmentState | 評価の状態を表す値(1:評価済み、2:要再評価) |
WinSPRLevel | 基本スコア(SPR:System Performance Rating) |
PASS MARK PerformanceTest 9.0
「PASS MARK PerformanceTest 9.0」で計測されたスコアは、全世界のパソコンがアップロードしたスコアと比較、Percentile(パーセンタイル)の数値から自分のパソコンの性能レベルを客観的に把握することができます。
上記の測定結果を例にすると、トータル性能を示す「PassMark Rating」のスコア「3243.8」のパーセンタイルは「70th Percentile」で、計測を行った他のパソコン 70% よりも上位のスコアという意味です。
別な言い方をすると、「PASS MARK PerformanceTest 9.0」で計測しスコアをアップロードした全世界のパソコンのなかで、上位のスコアから 30%(100% - 70%)に位置するスコアということです。
このベンチマークでは、グラフィックスのスコアはスペックのわりに今ひとつの印象ですが、トータルでみれば快適に使える性能レベルを備えているといって良いでしょう。
CPU性能
「CINEBENCH」を使って、レビュー機『XPS 15 2-in-1 (9575)』に搭載されている「第8世代インテル Core i7-8705G プロセッサー」の CPU性能を測定します。
以下は、一般的な高性能ノートPCに搭載されている「第8世代インテル Core i7-8550U プロセッサー」とのスコア比較です。
Core i7-8750H | Core i7-8550U | |
---|---|---|
OpenGL | 110.40 fps | 50.83 fps |
Ref.Match | 98.0 % | 97.8 % |
CPU | 658 cb | 520 cb |
CPU (Single Core) | 171 cb | 169 cb |
MP Ratio | 3.84 x | 3.07 x |
なお、CINEBENCH を実行中の動作環境としては、CINEBENCH 以外のアプリは起動せず、常駐アプリは初期設定のままで計測しています。
グラフィック性能
グラフィック性能は以下のゲーム系ベンチマークソフトを使って測定します。
■3DMark
■ドラゴンクエストX
■ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター
■ファイナルファンタジーXV
■SteamVR パフォーマンステスト
3DMark
3DMark のベンチマーク結果です。
各テストの内容は以下のとおり。
Cloud Gate | ホームPCやノートPC向けで DirectX 10 を想定したグラフィックス性能テスト |
---|---|
Night Raid | DirectX 12 を使用したモバイルPCなど低スペックPC向けのグラフィックス性能テスト |
Sky Diver | DirectX 11 を使用したミドルレンジ・ゲーミングノート向けのグラフィックス性能テスト |
Fire Strike | DirectX 11 を使用したハイパフォーマンスゲーミングPC向けのグラフィックス性能テスト |
Time Spy | DirectX 12 を使用したゲーミングPC向けのグラフィックス性能テスト |
ドラゴンクエストX
ドラゴンクエストX ベンチマークの結果です。
最高品質、解像度 1280×720
最高品質、解像度 1920×1080
ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター
ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター ベンチマークの結果です。
最高品質、解像度 1280×720、DirectX 11
最高品質、解像度 1920×1080、DirectX 11
ファイナルファンタジーXV
ファイナルファンタジーXV ベンチマークの結果です。
軽量品質、解像度 1280×720
軽量品質 解像度 1920×1080
SteamVR パフォーマンステスト
SteamVR パフォーマンステスト結果です。
SteamVR パフォーマンステスト
上記のベンチマークソフトを使ったグラフィック性能のスコアをみると、『XPS 15 2-in-1 (9575)』に搭載されている Radeon RX Vega M GL グラフィックスの性能レベルは 2in1 PC として高いレベルといえます。
VRコンテンツをプレイするには厳しさはあるものの、3Dレンダリングや写真・動画編集のほか、比較的重めのゲームプレイも楽しめそうです。
なお、Radeon RX Vega グラフィックスの性能は、プリインストールされているユーティリティソフトで調整できます。
ストレージ
ストレージのベンチマークです。
レビュー機に搭載されているストレージは 東芝製の SSD で容量は 512GB(PCIe NVMe M.2)です。
(デバイスマネージャーから抜粋)
ドライブ構成は次のようになります。
ストレージのデータ転送速度の測定結果です。
データ転送速度
SSD が搭載されていると、測定結果が示す通り Windows や アプリの起動も高速です。
とくに、レビュー機の『XPS 15 2-in-1 (9575)』に搭載されている SSD は、対応規格 PCIe / 転送モード NVMe なので、Windows やアプリの起動などストレージへのアクセスは、体感的にも爆速です。
NVMe は、SATA接続の SSD よりも 高速なデータアクセスが可能なので、Windows や アプリもより高速に起動できます。
総合的なパフォーマンス
「PCMark 8」および「PCMark 10」を使用して、PCのアプリケーション実行における総合的なパフォーマンスを測定します。
PCMark 8(Home Test)
家庭での利用を想定したテストです。
PCMark 8(Home Test) OpenCL対応の Accelerated にて測定
(テスト結果はクリックで拡大表示できます)
PCMark 8(Creative Test)
クリエイティブな利用を想定したテストです。
PCMark 8(Creative Test) OpenCL対応の Accelerated にて測定
(テスト結果はクリックで拡大表示できます)
PCMark 10 Extended
PCMark 10 Extended は、以下の 4つの Test Group のテストを実施します。
(テスト結果はクリックで拡大表示できます)
■Essentials(普段の作業を想定した基本的なテスト)
■Productivity(ビジネスソフトの使用を想定したテスト)
■Digital Contents Creation(写真・動画編集を想定したテスト)
■Gaming(ゲーミングソフトの使用を想定したテスト)
総合的なパフォーマンスとしてはゲーミングPC に迫るくらいの高いレベルのスコアで、快適なパフォーマンスが期待できる性能を備えていることが分かります。
とくに、PCMark 10 Extended では、すべての Test Group で高いスコアが出ています。高いレベルで性能バランスに優れていることが分かります。
バッテリー
『XPS 15 2-in-1 (9575)』に搭載されているバッテリーの性能(駆動時間と充電時間)を測定します。
■駆動時間
バッテリーでの駆動は、次の条件でバッテリーによる駆動時間を計測します。
・無線LANでインターネットに接続
・YouTubeを全画面で連続再生
・画面の明るさ:最大レベル
・音量:最大レベル
■充電時間
バッテリー充電時間の計測は以下の条件で行います。
・測定開始はバッテリー残量がほぼゼロの状態
・電源アダプターを接続し Windows を起動
・スクリーンセーバー(ラインアート)でパソコンはアイドル状態
※スクリーンタイムアウトや PCスリープは設定しない。
バッテリーの駆動時間と充電時間の測定結果は以下のようになります。
バッテリーの残量は、大よその数字で 1時間当たり 20% 減少し、残量 20%を切ったとたんにガクンとバッテリー残量が減ってしまいました。
バッテリーによる駆動は 4時間2分経過後、Windows がバッテリー不足を検知し、パソコンは休止状態になりました。
グラフのとおり、バッテリー残量が 20% を切る前にはデータ保存や電源コンセントへの接続など何らかの対応が必要かもしれません。
ちなみに、画面の明るさや音量レベルなどを通常の使用レベルに調整すれば、バッテリー駆動時間はもう少し伸びるはずです。
バッテリー充電については、50%まで充電するのに 1時間14分、充電完了までの所要時間は 2時間33分でした。
バッテリー駆動時間と充電時間を見ると、近くにコンセントがあるときはシッカリ充電をしておいた方が良さそうです。
なお、実際の使用にあたっては、環境や使い方などによりバッテリーの駆動時間は変動するので、参考値としてください。
RAWデータ現像・動画エンコード処理時間計測
『XPS 15 2-in-1 (9575)』で、RAWデータ現像と動画エンコードの処理時間を計測してみます。
RAWデータ現像
RAWデータ現像に使用したソフトウェアや条件、処理時間は以下のとおりです。
■使用ソフトウェア
CyberLink PhotoDirector 7
(筆者所有のソフトウェア)
■条件等
・RAWデータ 50ファイルを一括書き出し
・プリセット等 編集は適用しない
・RAWデータサイズ 4,592×3,056(約14MB)
・ほかのアプリは起動しない(常駐アプリは除く)
■処理時間
処理時間 | メモリ使用量 |
---|---|
1分4秒1 | 7.1GB |
※メモリ使用量は処理中の「コミット済みメモリ」(最大値)。
(パソコンがシステム全体で実際に使用しているメモリの使用量)
動画エンコード
動画エンコードに使用したソフトウェアや条件、処理時間は以下のとおりです。
■使用ソフトウェア
CyberLink PowerDirector 15
(筆者所有のソフトウェア)
■条件等
・AVCHD動画(1920×1080)を mp4 形式で出力
(m2ts→mp4、720p、1280×720/30p 16Mbps)
・動画再生時間 10分間
・ほかのアプリは起動しない(常駐アプリは除く)
■処理時間
処理時間 | メモリ使用量 |
---|---|
2分51秒1 | 6.8GB |
※メモリ使用量は処理中の「コミット済みメモリ」(最大値)。
(パソコンがシステム全体で実際に使用しているメモリの使用量)
写真・動画編集も充分快適にこなせそうです。
駆動音・表面温度
駆動音については、負荷のかかる処理になると「サーッ」という排熱の音が少し大きくなります。
平常時は静かである点や、パソコンを使っているあいだ終始負荷のかかる状態が続くわけではないことを考えれば、それほど気にすることはないと思います。
本体の表面温度については、負荷のかかる処理になると、キーボード奥の排気口の近くほど本体内部の熱の影響で少し熱くなり、キーボード上も若干温かさを感じます。
ただ、パームレストについては、負荷のかかる処理中でも本体内部の熱の影響をほとんど受けないので不快な感じはありません。
キーボードの表面温度(単位:℃)
左側の画像:平常時(Windows起動後10分放置)
右側の画像:動画エンコード時(10分間の動画エンコード終了直前)
底面部の表面温度(単位:℃)
左側の画像:平常時(Windows起動後10分放置)
右側の画像:動画エンコード時(10分間の動画エンコード終了直前)
サウンド チェック
『XPS 15 2-in-1 (9575)』は サウンドユーティリティソフト「Waves MaxxAudio Pro」が搭載されています。
Waves MaxxAudio Pro には、サウンドに合わせたプリセットが数多く設定されているほか、スピーカーやヘッドフォンなどサウンドを再生する機器に合わせて、お好みのサウンドにチューニングすることもできます。
Waves MaxxAudio Pro サウンド ユーティリティソフト
実際にサウンドを聴いてみた印象としては・・・
■スピーカー
低音域から高音域まで広い音域をカバーした高音質サウンドで音の広がりもある。
欲を言えば低音域はもう少し強めの方が良い気もするが、カジュアルに高音質サウンドを楽しめる。
■ヘッドホン
スピーカーのサウンドイメージに、重低音も再現できてサウンド全体に厚みが増し迫力もアップする。
重低音の効いたサウンドを楽しむなら、ヘッドホンがおすすめ。
Windows の起動・再起動 時間計測
Windows の起動時間、再起動時間を それぞれ 5回ずつ計測しました。
起動 | 再起動 | |
---|---|---|
1回目 | 19.7秒 | 35.0秒 |
2回目 | 18.9秒 | 35.3秒 |
3回目 | 19.2秒 | 34.8秒 |
4回目 | 19.0秒 | 35.0秒 |
5回目 | 19.5秒 | 34.7秒 |
平均 | 19.3秒 | 35.0秒 |
スペックのわりには時間がかかっている印象ですが、体感的に遅いという感じはありませんでした。
搭載ソフトウェア
『XPS 15 2-in-1 (9575)』に搭載されている主なソフトウェアです。(クリックで拡大表示できます)
Windows標準のソフトのほか、Dell サポート関連ソフト、セキュリティソフト「マカフィー リブセーブ」などがインストールされています。
あらかじめインストールされているソフトウェアとしては必要最低限といった印象です。
付属品
『XPS 15 2-in-1 (9575)』には、本体のほかアクティブペン、電源アダプター、電源コード、マニュアル類が同梱されています。
マニュアル類は簡易的でかんたんな内容が記載されている程度ですが、製品の使い方や取り扱いに関する詳細な情報はデル公式サイトで公開されています。
まとめ
以上、『XPS 15 2-in-1 (9575)』のレビュー記事をお届けしました。
『XPS 15 2-in-1 (9575)』は、高いレベルの性能を搭載したコンバーチブルタイプの 2in1 ノートPC です。
スタイル自在に使えるコンバーチブルタイプの 2in1 ノートは利便性も高く、同梱のアクティブペンで思いついたアイディアも気軽にメモしておけます。
とくにアクティブペンは、なめらかな描き心地で4,096段階の筆圧検知と傾き検知に対応しておりとても扱いやすいです。
評価のポイントをまとめると・・・
高評価のポイント
・スタイリッシュなデザイン
・パワフルでバランスの取れた性能
・クリエイティブな作業もこなせる
・スタイル自在に使える
・4K映像が超高精細で鮮やか、超キレイ!
チョット残念なところ
・気軽にモバイルするには少し重さを感じるかも
・15インチサイズでもテンキーがない
『XPS 15 2-in-1 (9575)』の通常価格は 税込232,174円~。(クーポンの割引率によってはかなりお買い得価格になるときもあります。)
プライベートからビジネスまでいろいろなシーンで活用でき、テレワークなど場所や時間にとらわれない柔軟な働き方にも活用できるモデルといえます。
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