日本HP『HP Desktop 190』の実機レビューです。
『HP Desktop 190』は Raven Ridge 世代の Ryzen プロセッサーを搭載、性能レベルも意外に高く動作も軽快、快適パフォーマンスのデスクトップPCです。
ドットテクスチャのフロントパネルのデザインが上質でオシャレ感があり、デスクトップPCながらコンパクトなサイズなので省スペースに置くことができます。
価格は税込4万円台からとリーズナブル。リビングや書斎などに置いてふだんの生活で気軽に使えるモデルです。
- 性能レベルが意外と高く快適パフォーマンス
- コンパクトで省スペースに置ける
- フロントパネルが上質でオシャレ感のあるデザイン
- リーズナブルな価格で高コスパ
レビューでは、前半で外観デザインや本体内部をチェック、後半では各種ベンチマークを使った性能レビューを行います。
【 目 次 】
レビュー内容については 2019年4月16日時点のものです。
スペック構成
『HP Desktop 190』には、CPU スペックにより「エレメンタルモデル」と「モデレートモデル」がラインナップしています。
エレメンタルモデル (レビュー機) |
モデレートモデル | |
---|---|---|
OS | Windows 10 Home (64bit) | |
CPU | AMD Ryzen 3 2200Gプロセッサー | AMD Ryzen 5 2400Gプロセッサー |
メモリ | 8GB (8GB×2) DDR-2666MHz (最大16GB) | |
ストレージ | 2TB ハードドライブ (SATA, 7200回転) | |
光学ドライブ | DVDライター | |
グラフィックス | AMD Radeon Vega 8 グラフィックス (CPU 内蔵) | AMD Radeon RX Vega 11 グラフィックス (CPU 内蔵) |
LAN | 10/100/1000 Mbps オンボードネットワークコネクション | |
ワイヤレス | なし | |
インターフェース | ■前面 USB3.1 Gen1×4、ヘッドフォン出力/マイク入力コンボポート ■背面 USB2.0×4、アナログRGBミニD-sub15ピン、ライン入力、ライン出力 |
|
拡張スロット | PCI Express x16×1スロット(空1)、PCI Express ×1スロット (空1)、M.2×1スロット(空1) | |
キーボード&マウス | なし | |
本体サイズ(W×D×H) | 縦置き:約 136×280×313 mm | |
本体質量 | 約 3.96kg |
今回レビューを行うのは「エレメンタルモデル」です。
なお、最新の価格は日本HPの直販サイト「HP Directplus」をご確認ください。
日本HP直販「HP Directplus」公式サイト
⇒ 『HP Desktop 190』製品ページ
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外観チェック
『HP Desktop 190』は、光沢のあるブラックにドットテクスチャのフロントパネルがオシャレで上質な印象を与えてくれます。
前後から見た写真です。
左右の側面です。
左側面
右側面
天面と底面です。
天面
底面
底面のゴム足は前面側の左右に実装されています。背面側は型取りされたボディの一部ですが安定性は良好です。
本体の大きさのイメージです。
本体の大きさイメージ(比較対象はティシューボックス)
フロントパネルの幅、奥行きともに一般的なミニタワーPC より小さくコンパクトなので、省スペースのデスクやテーブルなどにも設置できます。
インターフェース
前面側と背面側のインターフェースです。
■前面側
①電源ボタン(LED内蔵)
②ヘッドフォン出力/マイク入力コンボポート
③USB 3.1 Gen1×4
④DVDライター
■背面側
⑤ライン入力
⑥ライン出力
⑦HDMI出力
⑧アナログRGBミニD-sub15ピン
⑨USB2.0×4
⑩ネットワークコントローラー(LANポート)
⑪電源コネクター
SDカードスロットがないのは残念な点。
とはいえ、USBポートは充実しているので、USB対応のカードリーダーがあれば SDカードの使用も可能です。
また HDMI とミニD-sub15 ピンを併用すれば 2画面出力も可能です。
DVDライターへメディアをセットする向きは左側となります。
本体内部
『HP Desktop 190』の本体内部をチェックします。
サイドカバーは 1本のネジを外せば簡単に開けることができます。なお、工具は星形ドライバー(正式名称は T型トルクスレンチというらしい)かマイナスドライバーが必要です。
矢印の指すところがサイドカバーを固定しているネジ
本体内部の全体イメージです。
各パーツの実装エリアをチェックします。
CPU と HDD の実装エリアです。
CPU と HDD
CPU には排熱用のフードがかぶせてあって直接排気口に排熱する、効率の良いエアフローになっています。
メモリの実装エリアです。
メモリスロット(空き 1スロット)
メモリの実装エリアにアクセスするには、フロントパネルをはずしてから HDD のマウンタや DVDドライブを取りはずせばアクセスできると思うのですが、フロントパネルがはずしにくいため断念しました。(涙)
矢印はフロントパネルを固定しているツメ
メモリ実装エリアにアクセスするときには、HPカスタマーサポートへの問い合わせをおすすめします。
拡張スロットの実装エリア。
拡張スロット
電源ユニットは、最大出力 180W【80PLUS GOLD】を搭載しています。
本体内部をチェックしたところ、かんたんに拡張できそうなパーツは PCI Express カードです。
本体内部の拡張性はあまり高くないようです。
ベンチマーク
『HP Desktop 190』エレメンタルモデルの基本性能にくわえ CPU・グラフィック・ストレージ各パーツの性能のほか、総合的なパフォーマンスを測定します。
基本性能
パソコンの各性能レベルを客観的に評価する「PASS MARK PerformanceTest 9.0」を使用して、パソコンの基本性能を測定します。
PASS MARK PerformanceTest 9.0
「PASS MARK PerformanceTest 9.0」で計測されたスコアは、全世界のパソコンがアップロードしたスコアと比較、Percentile(パーセンタイル)の数値から自分のパソコンの性能レベルを客観的に把握することができます。
上記の測定結果を例にすると、トータル性能を示す「PassMark Rating」のスコア「2293.1」のパーセンタイルは「50th Percentile」で、計測を行った他のパソコン 50% よりも上位のスコアという意味です。
別な言い方をすると、「PASS MARK PerformanceTest 9.0」で計測しスコアをアップロードした全世界のパソコンのなかで、上位のスコアから 50%(100% - 50%)に位置するスコアということです。
レビュー機の『HP Desktop 190』はエレメンタルモデルながら、ハイスペックのゲーミングPC など、さまざまなジャンルのなかでもミドルレンジクラスの性能レベルです。
とくに、各パーツの性能レベルもミドルレンジクラスの性能レベルで全体的なバランスが取れているようです。
CPU性能
「CINEBENCH」を使って、CPU性能を測定します。
レビュー機『HP Desktop 190』の CPU には AMD Ryzen 3 2200Gプロセッサーが搭載されています。
参考までに、以前レビューした「HP ENVY 13 x360」に搭載されていた「AMD Ryzen 5 2500U」のスコアと比較します。
Ryzen 3 2200G | Ryzen 5 2500U | |
---|---|---|
OpenGL | 37.39 fps | 36.42 fps |
Ref.Match | 98.0 % | 98.0 % |
CPU | 542 cb | 604 cb |
CPU (Single Core) | 140 cb | 141 cb |
MP Ratio | 3.88 x | 4.29 x |
スコアを見る限りではレビュー機『HP Desktop 190』に搭載されている CPU は、ノートパソコン向けの Ryzen 5 プロセッサーに迫る性能レベルであることがわかります。
グラフィック性能
グラフィック性能は以下のゲーム系ベンチマークソフトを使って測定します。
■3DMark
■ドラゴンクエストX
■ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター
■ファイナルファンタジーXV
3DMark
3DMark のベンチマーク結果です。
各テストの内容は以下のとおり。
Cloud Gate | ホームPCやノートPC向けで DirectX 10 を想定したグラフィックス性能テスト |
---|---|
Night Raid | DirectX 12 を使用したモバイルPCなど低スペックPC向けのグラフィックス性能テスト |
Sky Diver | DirectX 11 を使用したミドルレンジ・ゲーミングノート向けのグラフィックス性能テスト |
Fire Strike | DirectX 11 を使用したハイパフォーマンスゲーミングPC向けのグラフィックス性能テスト |
Time Spy | DirectX 12 を使用したゲーミングPC向けのグラフィックス性能テスト |
ドラゴンクエストX
ドラゴンクエストX ベンチマークの結果です。
標準品質、解像度 1280×720
最高品質、解像度 1280×720
ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター
ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター ベンチマークの結果です。
標準品質(デスクトップPC)、解像度 1280×720、DirectX 11
高品質(デスクトップPC)、解像度 1280×720、DirectX 11
ファイナルファンタジーXV
ファイナルファンタジーXV ベンチマークの結果です。
軽量品質、解像度 1280×720
上記のベンチマークソフトを使ったグラフィック性能の測定結果から、レビュー機のグラフィック性能は それなりの印象です。
ヘビーなゲームタイトルのような かなり高度なグラフィックス処理は苦手とするものの、ライトなゲームや写真・動画編集は、快適に使える性能レベルです。
ストレージ
ストレージのベンチマークです。
レビュー機に搭載されているストレージは SEAGATE製の HDD で 容量は 2TB、回転数は 7200rpm です。
ストレージ情報
ドライブ構成は次のようになります。
ストレージのデータ転送速度です。
データ転送速度
回転数が 7200rpm の HDD としては平均的なスコアです。
総合的なパフォーマンス
「PCMark 8」および「PCMark 10」を使用して、PCのアプリケーション実行における総合的なパフォーマンスを測定します。
PCMark 8(Home Test)
家庭での利用を想定したテストです。
PCMark 8(Home Test) OpenCL対応の Accelerated にて測定
(テスト結果はクリックで拡大表示できます)
PCMark 8(Creative Test)
クリエイティブな利用を想定したテストです。
PCMark 8(Creative Test) OpenCL対応の Accelerated にて測定
(テスト結果はクリックで拡大表示できます)
PCMark 10 Extended
PCMark 10 Extended は、以下の 4つの Test Group のテストを実施します。
(テスト結果はクリックで拡大表示できます)
■Essentials(普段の作業を想定した基本的なテスト)
■Productivity(ビジネスソフトの使用を想定したテスト)
■Digital Contents Creation(写真・動画編集を想定したテスト)
■Gaming(ゲーミングソフトの使用を想定したテスト)
総合的なパフォーマンスでは、実際の使用を想定したテストを実施しています。
スコアを見ると性能レベルは意外に高く、とくに PCMark 10 Extended では Essentials や Productivity のジャンルのスコアレベルの高さにくわえ、Digital Content Creation のスコアも高いです。
普段の作業やビジネスソフトを使用した作業はもちろんのこと、写真・動画編集でも そこそこ快適に使える性能レベルです。(スコア 2000 を基準にしています)
RAWデータ現像・動画エンコード処理時間計測
レビュー機の『HP Desktop 190』で、RAWデータ現像と動画エンコードの処理時間を計測してみます。
RAWデータ現像
RAWデータ現像に使用したソフトウェアや条件、処理時間は以下のとおりです。
■使用ソフトウェア
CyberLink PhotoDirector 7
(筆者所有のソフトウェア)
■条件等
・RAWデータ 50ファイルを一括書き出し
・プリセット等 編集は適用しない
・RAWデータサイズ 4,592×3,056(約14MB)
・ほかのアプリは起動しない(常駐アプリは除く)
■処理時間
処理時間 | メモリ使用量 |
---|---|
1分13秒0 | 4.2GB |
※メモリ使用量は処理中の「コミット済みメモリ」(最大値)。
(パソコンがシステム全体で実際に使用しているメモリの使用量)
動画エンコード
動画エンコードに使用したソフトウェアや条件、処理時間は以下のとおりです。
■使用ソフトウェア
CyberLink PowerDirector 15
(筆者所有のソフトウェア)
■条件等
・AVCHD動画(1920×1080)を mp4 形式で出力
(m2ts→mp4、720p、1280×720/30p 16Mbps)
・動画再生時間 10分間
・ほかのアプリは起動しない(常駐アプリは除く)
■処理時間
処理時間 | メモリ使用量 |
---|---|
4分 5秒9 | 4.2GB |
※メモリ使用量は処理中の「コミット済みメモリ」(最大値)。
(パソコンがシステム全体で実際に使用しているメモリの使用量)
ハイスペックなクリエイティブPC にくらべ 2倍~3倍程度の処理時間はかかりますが、写真・動画編集もそこそこ快適に楽しめる性能レベルです。
駆動音・パーツの温度
駆動音については平常時でも「ブーン」という HDD のモーター音が聞こえます。それほど大きな音ではないですが、静寂性を求めるユーザーは少し気になるかもしれません。
ただ、負荷のかかる処理中でも駆動音が大きくなることはないので、それほど気になることはないと思います。
本体の表面温度については、負荷のかかる処理になると、本体に向かって右側奥 天面近くが若干暖かいかなと感じる程度です。
なお、以下の画像は、「平常時」「ベンチマーク実行時」「動画エンコード時」の CPU温度のキャプチャーです。(温度は左から「現在値」「最小値」「最大値」)
平常時の CPU温度
ベンチマーク実行時の CPU温度
(ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーターを1回実行)
動画エンコード時の CPU温度
(10分間の動画エンコード処理開始から終了まで)
Windows の起動・再起動・シャットダウン時間計測
Windows の起動時間、再起動時間、シャットダウン時間を それぞれ 5回ずつ計測しました。
起動 | 再起動 | シャットダウン | |
---|---|---|---|
1回目 | 22.3秒 | 1分10秒6 | 16.1秒 |
2回目 | 19.8秒 | 58.9秒 | 15.8秒 |
3回目 | 16.9秒 | 58.3秒 | 13.6秒 |
4回目 | 18.1秒 | 56.9秒 | 14.1秒 |
5回目 | 20.4秒 | 1分3秒2 | 11.8秒 |
平均 | 19.6秒 | 1分3秒2 | 14.3秒 |
Windows 起動とシャットダウン時間は そこそこ早いですが、再起動時間については 1分前後かかります。
ただ、再起動を行うのは Windows Updateなど限られたシーンであるため待ち時間のストレスはそれほど感じないと思います。
なお、起動・再起動・シャットダウン時間は状況により多少変動するので、参考値としてください。
搭載ソフトウェア
『HP Desktop 190』に搭載されている主なソフトウェアです。
Windows標準のソフトのほか、HPヘルプ&サポートソフト、セキュリティソフト「マカフィー リブセーブ」などがインストールされています。
DVD 再生ソフトとしては「Power Media Player 14」がインストールされています。
Power Media Player 14
インストールされているソフトウェアは必要最低限といったところでしょうか。
付属品
『HP Desktop 190』の本体ほか電源コード、ドキュメント類が同梱されています。
キーボードやマウスは標準添付されません。カスタマイズあるいは別途市販品など購入が必要です。
付属しているドキュメント類です。
付属のドキュメント
【上記写真のドキュメント類について】 ■上段右側から ・コンピューターの準備 ・パソコン生活まるごと ガイドブック ・サポートガイド(保証規定) ■下段右側から ・速攻!HPパソコンナビ 特別編 ・お友達・ご家族紹介キャンペーン ・アンケートの案内 ・将来の下取りでプレミアムキャッシュバック受け取りの案内 |
「速攻!HPパソコンナビ 特別編」はマイナビから出版された Windows 10 の解説書で、Windows 10 の使い方や活用方法など、分かりやすく記載されています。
まとめ
以上、『HP Desktop 190』のレビュー記事をお届けしました。
『HP Desktop 190』は、シンプル設計ながら Ryzen プロセッサーの搭載により快適なパフォーマンスで動作してくれます。
ドットテクスチャのフロントパネルはオシャレ感と上質感があり、コンパクトで省スペースに置くことができるのも好印象です。
価格は、エレメンタルモデルが 税込4万円台~、モデレートモデルが 税込6万円台~ とかなりリーズナブルです。
※価格は記事執筆時点のキャンペーン価格です。
評価のポイントをまとめると・・・
高評価のポイント
・シンプル設計でも意外と快適パフォーマンス
・オシャレ感と上質感のあるデザインで省スペースに置ける
・リーズナブルな価格で高コスパ
残念なポイント
・SDカードを使うには別途カードリーダーが必要
・本体内部の拡張性は今ひとつかも
軽快に動作してくれる性能レベルにくわえシックで上品なデザインは、プライベートシーンのほかビジネスシーンにもマッチするデスクトップPCといえます。
なお、最新の価格やキャンペーンなどの情報は、日本HPの直販サイト「HP Directplus」をご確認ください。
日本HP直販「HP Directplus」公式サイト
⇒ 『HP Desktop 190』製品ページ
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