日本HP『HP ENVY 13 x360』(2018年モデル)実機レビュー 後編です。
後編は、『HP ENVY 13 x360』(ベーシックモデル)を使用して、各種ベンチマークのほか、RAWデータ現像・動画エンコード処理時間計測、起動・シャットダウン時間計測などの性能レビューを行います。
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⇒ 『HP ENVY x360 13-ar0000』(2019年モデル)実機レビュー
スタンダードモデル(Ryzen 5/8GBメモリ/256GB SSD)の実機を使って外観チェックや使い勝手のほか、性能評価を実施しています。
(後編) ベンチマーク RAWデータ現像・動画エンコード処理時間計測 駆動音・表面温度 サウンド チェック Windows の起動・再起動・シャットダウン時間計測 搭載ソフトウェア 付属品 まとめ |
レビュー内容は 2018年9月9日時点のものになります。
レビュー機のスペック構成については「スペックについて」の章をご覧ください。
ベンチマーク
『HP ENVY 13 x360』(ベーシックモデル)の基本性能や総合的なパフォーマンスのほか、CPU、グラフィック、ストレージ、バッテリーの性能を測定します。
基本性能
Windowsに搭載されているシステム評価ツール「WinSATコマンド」と、パソコンの各性能レベルを客観的に評価する「PASS MARK PerformanceTest 9.0」を使用して、パソコンの基本性能を測定します。
WinSAT
「WinSAT」による測定は、PCの性能を相対的に数値化して表現したもので、各項目の説明は次のとおりです。
CPUScore | CPU のスコア |
D3DScore | ゲーム用グラフィックスのスコア ただし、従来のゲーム用グラフィックスのスコアのため Windows 10では計測対象外(9.9というスコアは無視) |
DiskScore | プライマリハードディスクのスコア |
GraphicsScore | グラフィックスのスコア |
MemoryScore | メモリのスコア |
TimeTaken | 前回の評価(「MostRecentAssessment」は直近の評価を表します) |
WinSATAssessmentState | 評価の状態を表す値(1:評価済み、2:要再評価) |
WinSPRLevel | 基本スコア(SPR:System Performance Rating) |
PASS MARK PerformanceTest 9.0
「PASS MARK PerformanceTest 9.0」で計測されたスコアは、全世界のパソコンがアップロードしたスコアと比較、Percentile(パーセンタイル)の数値から自分のパソコンの性能レベルを客観的に把握することができます。
上記の測定結果を例にすると、トータル性能を示す「PassMark Rating」のスコア「2820.0」のパーセンタイルは「64th Percentile」で、計測を行った他のパソコン 64% よりも上位のスコアという意味です。
別な言い方をすると、「PASS MARK PerformanceTest 9.0」で計測しスコアをアップロードした全世界のパソコンのなかで、上位のスコアから 36%(100% - 64%)に位置するスコアということです。
ゲーミングPC やクリエイティブな作業に使うPC などハイレベルなパソコンも混在するなかでも中位クラスのスコアです。
レビュー機の『HP ENVY 13 x360』(ベーシックモデル)の基本性能は、2in1 モバイルノートとして意外に高いレベルといえるでしょう。
CPU性能
「CINEBENCH」を使って、CPU性能を測定します。
レビュー機『HP ENVY 13 x360』の CPU には AMD Ryzen 3 2300U プロセッサーが搭載されています。
参考までに、インテルの最新世代 Core i7-8550U プロセッサーの CPU スコアは 510cb 前後ですから、AMD Ryzen 3 2300U は意外に高い性能を備えていることが分かります。
ちなみに、Single Core のスコアも良好なスコアです。
グラフィック性能
グラフィック性能は以下のゲーム系ベンチマークソフトを使って測定します。
■3DMark
■ドラゴンクエストX
■ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター
3DMark
3DMark は、「ICE STORM」「CLOUD GATE」「SKY DIVER」「FIRE STRIKE」「TIME SPY」、各シーンについてグラフィック性能を測定します。
結果は以下のとおり。
ドラゴンクエストX
ドラゴンクエストX ベンチマークの結果です。
標準品質、解像度 1280×720
最高品質、解像度 1280×720
標準品質、解像度 1920×1080
ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター
ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター ベンチマークの結果です。
標準品質(ノートPC)、解像度 1280×720、DirectX 11
高品質(ノートPC)、解像度 1280×720、DirectX 11
上記のベンチマークソフトを使ったグラフィック性能の測定結果をみると、『HP ENVY 13 x360』(ベーシックモデル)のグラフィック性能は意外に高く、モバイルノートして十分満足できるレベルです。
ヘビーなゲームや 3Dレンダリングのような高度なグラフィック処理には不向きですが、動画視聴はもちろんのこと、ライトなゲームプレイや写真・動画編集も気軽に楽しめる性能レベルです。
なお、『HP ENVY 13 x360』のグラフィックスに搭載されている「AMD Radeon Vega 6 グラフィックス」のパフォーマンスは、プリインストールされているユーティリティソフトで調整することもできます。
ただし、劇的にパフォーマンスがアップするわけではなく最適化する程度です。
ストレージ
ストレージのベンチマークです。
レビュー機に搭載されているストレージは LITEON(ライトン:台湾)製の SSD(PCIe NVMe M.2)で容量は 256GB です。(製品により SSD のメーカーが異なる場合もあります)
ストレージ情報
ドライブ構成は次のようになります。
ストレージのデータ転送速度の測定結果です。
データ転送速度
SSD が搭載されていると、測定結果が示す通り Windows や アプリの起動も高速です。
とくに、『HP ENVY 13 x360』に搭載されている SSD は、対応規格 PCIe / 転送モード NVMe なので、Windows やアプリの起動などストレージへのアクセスは、体感的にも爆速です。
NVMe は、SATA接続の SSD よりも 高速なデータアクセスが可能なインターフェースです。SSD の高速アクセスを活かしてくれるインターフェースなので、Windows や アプリもより高速に起動できます。
総合的なパフォーマンス
「PCMark 8」および「PCMark 10」を使用して、PCのアプリケーション実行における総合的なパフォーマンスを測定します。
PCMark 8(Home Test)
家庭での利用を想定したテストです。
PCMark 8(Home Test) OpenCL対応の Accelerated にて測定
(テスト結果はクリックで拡大表示できます)
PCMark 8(Creative Test)
クリエイティブな利用を想定したテストです。
PCMark 8(Creative Test) OpenCL対応の Accelerated にて測定
(テスト結果はクリックで拡大表示できます)
PCMark 10 Extended
PCMark 10 Extended は、以下の 4つの Test Group のテストを実施します。
(テスト結果はクリックで拡大表示できます)
■Essentials(普段の作業を想定した基本的なテスト)
■Productivity(ビジネスソフトの使用を想定したテスト)
■Digital Contents Creation(写真・動画編集を想定したテスト)
■Gaming(ゲーミングソフトの使用を想定したテスト)
テスト結果を見ると、モバイルノートとして快適に使える性能を備えている印象です。
総合的なパフォーマンスとしてはスコアレベルが高く、快適に使える性能を備えていることが分かります。
とくに、PCMark 10 Extended では、「Digital Contents Creation」や「Gaming」でも そこそこのスコアが出ており、性能バランスにも優れていることが分かります。
バッテリー
『HP ENVY 13 x360』に搭載されているバッテリーの性能(駆動時間と充電時間)を測定します。
■駆動時間
バッテリーでの駆動は、次の条件でバッテリーによる駆動時間を計測します。
・無線LANでインターネットに接続
・YouTubeを全画面で連続再生
・画面の明るさ:最大レベル
・音量:最大レベル
■充電時間
バッテリー充電時間の計測は以下の条件で行います。
・測定開始はバッテリー残量がほぼゼロの状態
・電源アダプターを接続し Windows を起動
・スクリーンセーバー(ラインアート)でパソコンはアイドル状態
※スクリーンタイムアウトや PCスリープは設定しない。
バッテリーの駆動時間と充電時間の測定結果は以下のようになります。
バッテリーの残量は、大よその数字で 1時間当たり 20% ~ 23% 減少しています。
バッテリーによる駆動は 4時間17分経過後、Windows がバッテリー不足を検知し、パソコンは休止状態になりました。
バッテリーを多く消費する条件とはいえ、バッテリー駆動時間が 4時間あまりであることは物足りなさを感じます。
画面の明るさや音量レベルなどを通常の使用レベルに調整すれば、バッテリー駆動時間はもう少し伸びるはずです。
バッテリー充電については、50%まで充電するのに 51分、充電完了までの所要時間は 2時間2分でした。
50%までの充電時間は意外と短く、充電に関しては十分満足できる性能レベルといえるでしょう。
なお、実際の使用にあたっては、環境や使い方などによりバッテリーの駆動時間は変動するので、参考値としてください。
RAWデータ現像・動画エンコード処理時間計測
『HP ENVY 13 x360』で、RAWデータ現像と動画エンコードの処理時間を計測してみます。
RAWデータ現像
RAWデータ現像に使用したソフトウェアや条件、処理時間は以下のとおりです。
■使用ソフトウェア
CyberLink PhotoDirector 7
(筆者所有のソフトウェア)
■条件等
・RAWデータ 50ファイルを一括書き出し
・プリセット等 編集は適用しない
・撮影カメラ SONY NEX-5
■処理時間
処理時間 | メモリ使用量 |
---|---|
1分11秒2 | 3.6GB |
※メモリ使用量は処理中の「コミット済みメモリ」(最大値)。
(パソコンがシステム全体で実際に使用しているメモリの使用量)
動画エンコード
動画エンコードに使用したソフトウェアや条件、処理時間は以下のとおりです。
■使用ソフトウェア
CyberLink PowerDirector 15
(筆者所有のソフトウェア)
■条件等
・AVCHD動画(1920×1080)を mp4 形式で出力
(m2ts→mp4、720p、1280×720/30p 16Mbps)
・動画再生時間 10分間
■処理時間
処理時間 | メモリ使用量 |
---|---|
5分36秒3 | 3.0GB |
※メモリ使用量は処理中の「コミット済みメモリ」(最大値)。
(パソコンがシステム全体で実際に使用しているメモリの使用量)
動画エンコードで処理時間が長いのは、おそらくメモリ容量 4GB が要因です。
動画エンコード以外にも、複数のアプリを並行して動かすようなマルチタスク環境で快適に使うなら、メモリは 8GB へのカスタマイズがおススメです。
駆動音・表面温度
駆動音については、負荷のかかる処理になると「サーッ」という排熱の音が少し大きくなりますが、音の大きさは耳ざわりに感じるほどではありません。
負荷が低減し、本体内部の熱も下がってくれば、排気音はほとんど聞こえなくなります。
平常時は静かである点や、パソコンを使っているあいだ終始負荷のかかる状態が続くわけではないことを考えれば、それほど気にすることはないと思います。
本体の表面温度については、負荷のかかる処理になると、全体的に温度が少し上昇し、キーボード奥側ほどが温かくなります。
パームレストは本体内部の熱の影響は少なく、不快な感じはありませんでした。
左側の画像:平常時(Windows起動後10分放置)
右側の画像:動画エンコード時(10分間の動画エンコード終了直前)
サウンド チェック
『HP ENVY 13 x360』は、BANG & OLUFSEN サウンドシステムを搭載、スピーカーは Bang & Olufsen クアッドスピーカーを内蔵しています。
音質を調整できるユーティリティソフトもインストールされています。
音域の出力量を調整できるイコライジング機能や音楽ジャンルに最適化されたプロファイルも搭載されています。
実際にサウンドを聴いてみた印象としては・・・
■スピーカー
低音域から高音域まで広い音域をカバーした高音質サウンド。
カジュアルに高音質なサウンドを楽しめる。
イコライザー機能もあるが、使う必要がないくらい最適化されている。
■ヘッドホン
スピーカーのサウンドイメージに、重低音も再現できてサウンド全体に厚みが増し迫力もアップする。
重低音のきいたサウンドを楽しむなら、ヘッドホンがおススメ。
Windows の起動・再起動・シャットダウン時間計測
Windows の起動時間、再起動時間、シャットダウン時間を それぞれ 5回ずつ計測しました。
起動とシャットダウン時間は、感覚的にもかなり「早い」です。
搭載ソフトウェア
『HP ENVY 13 x360』に搭載されている主なソフトウェアです。(クリックで拡大表示できます)
Windows標準のソフトのほか、HPヘルプ&サポートソフト、セキュリティソフト「マカフィー リブセーブ」などがインストールされています。
HPヘルプ&サポートソフトとしては、PCのメンテナンスや問題の回避/解決に役立つ機能が搭載された「HP Support Assistant」、パソコンのバックアップ・リカバリーに便利な「HP Recovery Manager」などがインストール。リカバリメディアを作成するツール「Recovery Media Creation」も入っています。リカバリメディアを作成しておけばコンピューターを出荷時の状態に復元することができます。
また、パソコン内の冷却機能の制御ができる「HP Command Center」もインストールされています。
HP Command Center
(クリックで拡大表示できます)
使い方に合わせて、ファンの回転数や CPU のパフォーマンスを調整してくれる便利なソフトです。
付属品
『HP Spectre x360 13』の本体ほか同梱品一式(電源アダプター、電源コード、ドキュメント類など)です。
付属しているドキュメント類です。
【上記写真のドキュメント類について】 ■上段右側から ・製品の仕様に関する注意事項 ・サービスおよびサポートを受けるには ・パソコン生活まるごと ガイドブック ・将来の下取りでプレミアムキャッシュバック受け取りの案内 ■中段 ・セットアップ手順 ■下段右側から ・速攻!HPパソコンナビ 特別編 ・アンケートの案内 ・お友達・ご家族紹介キャンペーン |
まとめ
以上、『HP ENVY 13 x360』のレビュー記事をお届けしました。
『HP ENVY 13 x360』は動作も軽快で快適に使えます。Ryzen プロセッサーは予想以上に性能レベルが高く、処理能力の高いプロセッサーであることを体感できました。
評価のポイントをまとめると・・・
高評価のポイント
・洗練されたシックな印象のデザイン
・性能バランスも良く、動作も軽快で快適に使える
・コンパクトで薄く持ち歩きしやすい
チョット残念なところ
・指紋や皮脂の跡が若干目立ちやすい
・バッテリー駆動時間が短く感じるかも
価格は7万円台~とかなりリーズナブルです。
コストパフォーマンスにくわえ性能・デザイン・使いやすさなどトータルバランスにも優れた 2in1 PC といえるでしょう。
なお、価格やキャンペーンなどの最新情報は、日本HPの直販サイト「HP Directplus」でチェックできます。
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⇒ 『HP ENVY 13 x360』 製品ページ
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