マイクロソフト『Surface Pro 6』の実機レビュー 後編です。
後編は、『Surface Pro 6』の各種ベンチマークのほか、RAWデータ現像・動画エンコード処理時間計測、起動・再起動時間計測などの性能レビューを行います。
なお、レビューでは「Core i5 / 8GBメモリ / 256GB SSD」モデルを使用しています。
スペック構成については「スペックについて」の章をご覧ください。
【 目 次 】
(前編)
(後編)
レビュー内容については 2018年11月24日時点のものです。
ベンチマーク
レビュー機『Surface Pro 6』(Core i5 / 8GBメモリ / 256GB SSD)の基本性能や総合的なパフォーマンスのほか、CPU、グラフィック、ストレージ、バッテリーの性能を測定します。
基本性能
Windowsに搭載されているシステム評価ツール「WinSATコマンド」を使用して、パソコンの基本性能を測定します。
WinSAT
「WinSAT」による測定は、PCの性能を相対的に数値化して表現したもので、各項目の説明は次のとおりです。
CPUScore | CPU のスコア |
D3DScore | ゲーム用グラフィックスのスコア ただし、従来のゲーム用グラフィックスのスコアのため Windows 10では計測対象外(9.9というスコアは無視) |
DiskScore | プライマリハードディスクのスコア |
GraphicsScore | グラフィックスのスコア |
MemoryScore | メモリのスコア |
TimeTaken | 前回の評価(「MostRecentAssessment」は直近の評価を表します) |
WinSATAssessmentState | 評価の状態を表す値(1:評価済み、2:要再評価) |
WinSPRLevel | 基本スコア(SPR:System Performance Rating) |
PASS MARK PerformanceTest 9.0
「PASS MARK PerformanceTest 9.0」で計測されたスコアは、全世界のパソコンがアップロードしたスコアと比較、Percentile(パーセンタイル)の数値から自分のパソコンの性能レベルを客観的に把握することができます。
上記の測定結果を例にすると、トータル性能を示す「PassMark Rating」のスコア「2996.3」のパーセンタイルは「65th Percentile」で、計測を行った他のパソコン 65% よりも上位のスコアという意味です。
別な言い方をすると、「PASS MARK PerformanceTest 9.0」で計測しスコアをアップロードした全世界のパソコンのなかで、上位のスコアから 35%(100% - 65%)に位置するスコアということです。
ゲーミングPC やクリエイティブな作業に使うPC などハイレベルなパソコンも混在するなかでもトータル性能はミドルレンジクラスのスコアです。2in1モバイルノートとして十分快適に使える性能レベルといえるでしょう。
CPU性能
「CINEBENCH」を使って、CPU性能を測定します。
レビュー機『Surface Pro 6』の CPU には第8世代インテル Core i5-8250U プロセッサーが搭載されています。
参考までに、以前レビューした別機種に搭載されていた「第8世代インテル Core i7-8550U プロセッサー」「第8世代インテル Core i3-8130U プロセッサー」のスコアと比較します。
Core i5-8250U | Core i7-8550U | Core i3-8130U | |
---|---|---|---|
OpenGL | 42.13 fps | 50.83 fps | 41.36 fps |
Ref.Match | 97.8 % | 97.8 % | 97.8 % |
CPU | 577 cb | 520 cb | 335 cb |
CPU (Single Core) | 145 cb | 169 cb | 143 cb |
MP Ratio | 3.99 x | 3.07 x | 2.35 x |
スコアを見る限り、CPU 性能のうちマルチコアの性能は Core i7 よりも良いスコアです。
常駐アプリや起動アプリの数など動作環境にもよりますが、マルチコアで動作するアプリでは、その処理スピードはほとんど同じ(あるいは逆転するかも)ということになります。
ちなみに、CINEBENCH を実行中の動作環境としては、CINEBENCH 以外のアプリは起動せず、常駐アプリは初期設定のままで計測しています。
『Surface Pro 6』の CPU を選択する際の参考にしてください。
グラフィック性能
グラフィック性能は以下のゲーム系ベンチマークソフトを使って測定します。
■3DMark
■ドラゴンクエストX
■ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター
3DMark
3DMark のベンチマーク結果です。
ドラゴンクエストX
ドラゴンクエストX ベンチマークの結果です。
標準品質、解像度 1280×720
最高品質、解像度 1280×720
ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター
ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター ベンチマークの結果です。
標準品質(ノートPC)、解像度 1280×720、DirectX 11
高品質(ノートPC)、解像度 1280×720、DirectX 11
上記のベンチマークソフトを使ったグラフィック性能の測定結果をみると、『Surface Pro 6』(Core i5 / 8GBメモリ / 256GB SSD)のグラフィック性能レベルは、2in1モバイルノートとして十分満足できるレベルです。
Youtubeなどの動画は快適に視聴できますし、ライトなゲームタイトルや写真・動画編集も気軽に楽しめる性能を備えています。
ストレージ
ストレージのベンチマークです。
レビュー機に搭載されているストレージは 東芝製の SSD で、容量は 256GB(PCIe NVMe)です。
ストレージ情報
ドライブ構成は次のようになります。
ストレージのデータ転送速度の測定結果です。
データ転送速度
SSD が搭載されていると、測定結果が示す通り Windows や アプリの起動も高速です。
とくに、搭載されている SSD は、対応規格 PCIe / 転送モード NVMe なので、Windows やアプリの起動などストレージへのアクセスは、体感的にも爆速です。
高速な SSD がシステム全体のパフォーマンスを底上げしている印象です。
総合的なパフォーマンス
「PCMark 8」および「PCMark 10」を使用して、PCのアプリケーション実行における総合的なパフォーマンスを測定します。
PCMark 8(Home Test)
家庭での利用を想定したテストです。
OpenCL対応の Accelerated にて測定
(テスト結果はクリックで拡大表示できます)
PCMark 8(Creative Test)
クリエイティブな利用を想定したテストです。
OpenCL対応の Accelerated にて測定
(テスト結果はクリックで拡大表示できます)
PCMark 10 Extended
PCMark 10 Extended は、以下の 4つの Test Group のテストを実施します。
(テスト結果はクリックで拡大表示できます)
■Essentials(普段の作業を想定した基本的なテスト)
■Productivity(ビジネスソフトの使用を想定したテスト)
■Digital Contents Creation(写真・動画編集を想定したテスト)
■Gaming(ゲーミングソフトの使用を想定したテスト)
総合的なパフォーマンスは、2in1モバイルノートとして性能レベルが高く、快適なパフォーマンスが期待できるスコアです。
とくに、PCMark 10 Extended では Essentials や Productivity では良好なスコアですし、Digital Contents Creation も思いのほか良好なスコアです。(スコア 2000 を快適性の目安としています)
バッテリー
『Surface Pro 6』に搭載されているバッテリーの性能(駆動時間と充電時間)を測定します。
■駆動時間
バッテリーでの駆動は、次の条件でバッテリーによる駆動時間を計測します。
・無線LANでインターネットに接続
・YouTubeを全画面で連続再生
・画面の明るさ:最大レベル
・音量:最大レベル
■充電時間
バッテリー充電時間の計測は以下の条件で行います。
・測定開始はバッテリー残量がほぼゼロの状態
・電源アダプターを接続し Windows を起動
・スクリーンセーバー(ラインアート)でパソコンはアイドル状態
※スクリーンタイムアウトや PCスリープは設定しない。
バッテリーの駆動時間と充電時間の測定結果は以下のようになります。
バッテリーによる駆動は 7時間25分経過後、Windows がバッテリー不足を検知し、パソコンは休止状態になりました。
バッテリー駆動時の減少割合は、大よその数字で 1時間当たり 12% ~ 15% の減少です。
モバイルノートとしてはまずまずの駆動時間といえます。
画面の明るさや音量を適正レベルに調整すればバッテリー駆動時間はさらに伸びるはずです。
バッテリー充電については、50%まで充電するのに 1時間 6分、充電完了までの所要時間は 2時間44分でした。
なお、実際の使用にあたっては、環境や使い方などによりバッテリーの駆動時間は変動するので、参考値としてください。
RAWデータ現像・動画エンコード処理時間計測
『Surface Pro 6』で、RAWデータ現像と動画エンコードの処理時間を計測します。
RAWデータ現像
RAWデータ現像に使用したソフトウェアや条件、処理時間は以下のとおりです。
■使用ソフトウェア
CyberLink PhotoDirector 7
(筆者所有のソフトウェア)
■条件等
・RAWデータ 50ファイルを一括書き出し
・プリセット等 編集は適用しない
・RAWデータサイズ 4,592×3,056(約14MB)
・ほかのアプリは起動しない(常駐アプリは除く)
■処理時間
処理時間 | メモリ使用量 |
---|---|
1分 2秒7 | 4.1GB |
※メモリ使用量は処理中の「コミット済みメモリ」(最大値)。
(パソコンがシステム全体で実際に使用しているメモリの使用量)
動画エンコード
動画エンコードに使用したソフトウェアや条件、処理時間は以下のとおりです。
■使用ソフトウェア
CyberLink PowerDirector 15
(筆者所有のソフトウェア)
■条件等
・AVCHD動画(1920×1080)を mp4 形式で出力
(m2ts→mp4、720p、1280×720/30p 16Mbps)
・動画再生時間 10分間
・ほかのアプリは起動しない(常駐アプリは除く)
■処理時間
処理時間 | メモリ使用量 |
---|---|
3分47秒4 | 4.2GB |
※メモリ使用量は処理中の「コミット済みメモリ」(最大値)。
(パソコンがシステム全体で実際に使用しているメモリの使用量)
レビュー機の『Surface Pro 6』のスペックを鑑みると処理時間は意外に短く、2in1モバイルノートながら写真・動画編集でも意外に快適に使えそうです。
駆動音・表面温度
駆動音については負荷のかかる処理中でも静かです。
本体の表面温度については、負荷のかかる処理になると、Surface Pro 6 本体の背面側が少し温かくなります。(とくに上部)
タイプカバーのキーボード表面は Surface Pro 本体の熱の影響はほとんどありません。
Surface Pro 本体背面側の表面温度(単位:℃)
左側の画像:平常時(Windows起動後10分放置)
右側の画像:動画エンコード時(10分間の動画エンコード終了直前)
タイプカバー・キーボードの表面温度(単位:℃)
左側の画像:平常時(Windows起動後10分放置)
右側の画像:動画エンコード時(10分間の動画エンコード終了直前)
サウンド チェック
『Surface Pro 6』のスピーカーは、ベゼルに収納されたコンパクトサイズのスピーカーですが意外に高音質です。
(音質などをチューニングできるユーティリティソフトは搭載されていません)
実際にサウンドを聴いてみた印象です。
■スピーカー
低音域から高音域まで広い音域をカバーしている。
(低音域が若干弱い感じもするが許容できる)
音質も良く、カジュアルに高音質サウンドを楽しめる。
■ヘッドホン
低音域が強調され、サウンドに厚みが増し、より高音質なサウンドを楽しめる。
Windows の起動・再起動 時間計測
Windows の起動時間、再起動時間を それぞれ 5回ずつ計測しました。
起動 | 再起動 | |
---|---|---|
1回目 | 11.8秒 | 30.6秒 |
2回目 | 11.4秒 | 26.2秒 |
3回目 | 11.8秒 | 26.1秒 |
4回目 | 11.7秒 | 26.1秒 |
5回目 | 12.8秒 | 26.0秒 |
平均 | 11.9秒 | 27.0秒 |
起動、再起動ともに、感覚的にも早いので待ち時間のストレスもなく快適に使えます。
なお、起動・再起動時間は状況により多少変動するので、参考値としてください。
搭載ソフトウェア
『Surface Pro 6』に搭載されているソフトウェアは、Windows標準のソフトのほか、Office Home & Business 2016 がインストールされています。
Surface Pro 6 固有のソフトウェアはインストールされていませんでした。
まとめ
以上、『Surface Pro 6』のレビュー記事をお届けしました。
Surface Pro は、2in1タブレットPC として完成度の高い機種です。
新しい Surface Pro 6 は、第8世代インテル Core プロセッサーを搭載したことで、より快適なパフォーマンスで使えます。
品質の高さもさることながら、性能・デザイン性・使いやすさなど、高いレベルでトータルバランスに優れた 2in1モバイルノートです。
評価のポイントをまとめると・・・
高評価のポイント
・薄型で軽量、持ち歩きもラク
・2in1タブレットPC としての性能レベルが高く動作も軽快
・駆動音が静か
・スタイル自在に場所や時間にとらわれない使い方ができる
・新色のブラックはバツグンの存在感
チョット残念なところ
・タイプカバーが別売
『Surface Pro 6』の価格は 129,384円(税込)~。
価格は高そうに感じますが、オフィスソフトも入っていて使いやすさにも定評があり、そして高品質です。
プライベートからビジネスまでいろいろなシーンで活用でき、テレワークなど場所や時間にとらわれない柔軟な働き方にも活用できるモデルといえます。
なお、最新の価格やキャンペーンなどの最新情報はマイクロソフトストアでチェックしてください。
マイクロソフトストア 公式サイト
⇒ 『Surface Pro 6』 製品ページ
マイクロソフトストアで購入した製品は 30日以内なら返品・交換可能です。
たとえば、「Core i7 / 8GBメモリ / 256GB SSD」を実際に使ってみてストレージやメモリの容量が足りないと感じたなら、「Core i7 / 16GBメモリ / 512GB SSD」に交換することもできます。(国内なら返品送料は無料です)