マイクロソフ『Surface Book 2』13.5型モデルの実機レビュー 後編です。
後編は各種ベンチマークによる性能レビューです。
(後編) ベンチマーク サウンド チェック Windows の起動・再起動 時間計測 搭載ソフトウェア まとめ |
レビュー内容については 2018年5月2日時点のものです。
レビュー機のスペック構成については「スペックについて」の章をご覧ください。
ベンチマーク
『Surface Book 2』の基本性能や総合的なパフォーマンスのほか、CPU、グラフィック、ストレージ、バッテリーの性能を測定します。
基本性能
Windowsに搭載されているシステム評価ツール「WinSATコマンド」と、パソコンの各性能レベルを客観的に評価する「PASS MARK PerformanceTest 9.0」を使用して、パソコンの基本性能を測定します。
WinSAT
「WinSAT」による測定は、PCの性能を相対的に数値化して表現したもので、各項目の説明は次のとおりです。
CPUScore | CPU のスコア |
D3DScore | ゲーム用グラフィックスのスコア ただし、従来のゲーム用グラフィックスのスコアのため Windows 10では計測対象外(9.9というスコアは無視) |
DiskScore | プライマリハードディスクのスコア |
GraphicsScore | グラフィックスのスコア |
MemoryScore | メモリのスコア |
TimeTaken | 前回の評価(「MostRecentAssessment」は直近の評価を表します) |
WinSATAssessmentState | 評価の状態を表す値(1:評価済み、2:要再評価) |
WinSPRLevel | 基本スコア(SPR:System Performance Rating) |
PASS MARK PerformanceTest 9.0
「PASS MARK PerformanceTest 9.0」で計測されたスコアは、全世界のパソコンがアップロードしたスコアと比較、Percentile(パーセンタイル)の数値から自分のパソコンの性能レベルを客観的に把握することができます。
上記の測定結果を例にすると、トータル性能を示す「PassMark Rating」のスコア「3826.1」のパーセンタイルは「79th Percentile」で、計測を行った他のパソコン 79% よりも上位のスコアという意味です。
別な言い方をすると、「PASS MARK PerformanceTest 9.0」で計測しスコアをアップロードした全世界のパソコンのなかで、上位のスコアから 21%(100% - 79%)に位置するスコアということです。
個別のスコアでみると 2D Graphics Mark のスコアが少し足を引っ張った結果ですが、さまざまなジャンルのパソコンのなかでもトータルスコアのランクは上位クラスにあたり、『Surface Book 2』の基本性能は高いレベルであることが分かります。
CPU性能
「CINEBENCH」を使って、CPU性能を測定します。
レビュー機『Surface Book 2』の CPU には第8世代 インテル Core i7-8650U プロセッサーが搭載されています。
参考までに、ほかの主な CPU のスコアを掲載します。
■第7世代インテル Core i7-7500U プロセッサー
CPU スコア:350cb 前後
■第8世代インテル Core i7-8550U プロセッサー
CPU スコア:510cb 前後
グラフィック性能
グラフィック性能は以下のゲーム系ベンチマークソフトを使って測定します。
■3DMark
■ドラゴンクエストX
■ファイナルファンタジーXIV: 蒼天のイシュガルド
■ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター
■ファイナルファンタジーXV
3DMark
3DMark は、「ICE STORM」「CLOUD GATE」「SKY DIVER」「FIRE STRIKE」「TIME SPY」、各シーンについてグラフィック性能を測定します。
結果は以下のとおり。
測定前に流されるデモ映像を見たイメージとしては、次のような印象でした。
Ice Strom | なめらか描画 |
Cloud Gate | なめらか描画 |
Sky Diver | なめらか描画 |
Fire Strike | なめらか描画 |
Time Spy | カクカクした描画 |
ドラゴンクエストX
ドラゴンクエストX では、HD解像度(1280×720) とフルHD解像度(1920×1080) それぞれの標準品質と最高品質で測定します。
結果は以下のとおり。
ファイナルファンタジーXIV:蒼天のイシュガルド
ファイナルファンタジーXIV:蒼天のイシュガルドでは、HD解像度(1280×720) と フルHD解像度(1920×1080) それぞれの高品質(ノートPC)と最高品質で測定します。
結果は以下のとおり。
ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター
ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーターでも、HD解像度(1280×720) と フルHD解像度(1920×1080) それぞれの高品質(ノートPC)と最高品質で測定します。
結果は以下のとおり。
ファイナルファンタジーXV
ファイナルファンタジーXV では、HD解像度(1280×720) と フルHD解像度(1920×1080) それぞれの軽量品質と標準品質で測定します。
上記、5つのベンチマークソフトを使ったグラフィック性能の測定結果から分かるとおり、『Surface Book 2』のグラフィック性能はとても高いレベルです。写真・動画の編集やゲームなど、クリエイティブな作業からエンターテイメントまで快適に楽しむことができるレベルです。
ストレージ
レビュー機の『Surface Book 2』には、SAMSUNG製の SSD で 容量は 1TB、接続規格 M.2 (Type2280) / インタフェース PCIe / 転送規格 NVMe です。
ストレージ情報
ドライブ構成は次のようになります。
ストレージのデータ転送速度の測定結果です。
ストレージのデータ転送速度
SSD が搭載されていると、数字が示す通り Windows や アプリの起動も高速です。
とくに、レビュー機の『Surface Book 2』に搭載されている SSD は、インタフェース PCIe / 転送規格 NVMe なので、Windows やアプリの起動などストレージへのアクセスは体感的にも爆速です。
総合的なパフォーマンス
「PCMark 8」および「PCMark 10」を使用して、PCのアプリケーション実行における総合的なパフォーマンスを測定します。
PCMark 8(Home Test)
家庭での利用を想定したテスト内容です。
(テスト結果はクリックで拡大表示できます)
PCMark 8(Home Test) OpenCL対応の Accelerated にて測定
PCMark 8(Creative Test)
クリエイティブな利用を想定したテスト内容です。
(テスト結果はクリックで拡大表示できます)
PCMark 8(Creative Test) OpenCL対応の Accelerated にて測定
PCMark 10 Extended
PCMark 10 Extended は、以下の 4つの Test Group のテストを実施します。
(テスト結果はクリックで拡大表示できます)
■Essentials(普段の作業を想定した基本的なテスト)
■Productivity(ビジネスソフトの使用を想定したテスト)
■Digital Contents Creation(写真・動画編集を想定したテスト)
■Gaming(ゲーミングソフトの使用を想定したテスト)
総合的なパフォーマンスとしては、ゲーミングPC には及ばないものの、一般的なノートパソコンの性能を上回る快適なパフォーマンスが期待できるスコアです。
実際に使ってみた印象としても快適なパフォーマンスで動きも軽快でした。
とくに、PCMark 10 Extended では Digital Contents Creation や Gaming のジャンルのスコアも良く、すべてのジャンルで快適に使える性能バランスを備えているといえます。
動作音・動作熱
動作音については、負荷のかかる処理中でも静かです。
「サーッ」という音がかすかに聞こえる程度ですが、無音に近い状態といっても良いくらいです。
動作熱については、負荷のかかる処理中はディスプレイ背面側(中央部くらい)やヒンジが温かくなります。
とくに、キーボード奥の排気口や底面部は少し熱くなるので、ラップトップモードにして膝の上での作業は避けた方が良いでしょう。(ヒンジにも熱が伝わります)
また、キーボードは本体内部の熱がキートップの隙間から伝わってきて温かさを感じます。(キーボードの奥に行くほど温かくなる)
なお、パームレストは本体内部の熱の影響を受けず、ひんやりとしていて不快な感じはありません。
バッテリー
『Surface Book 2』に搭載されているバッテリーの性能(駆動時間と充電時間)を測定します。
『Surface Book 2』には、キーボードとタブレットの両方にバッテリーが搭載されており、今回の測定ではタブレットをキーボードに装着したラップトップモードで行います。
■駆動時間
バッテリーでの駆動は、次の条件でバッテリーによる駆動時間を計測します。
・無線LANでインターネットに接続
・YouTubeを全画面で連続再生
・画面の明るさ:最大レベル
・音量:最大レベル
■充電時間
バッテリー充電時間の計測は以下の条件で行います。
・測定開始はバッテリー残量がほぼゼロの状態
・電源アダプターを接続し Windows を起動
・スクリーンセーバー(ラインアート)でパソコンはアイドル状態
※スクリーンタイムアウトや PCスリープは設定しない。
バッテリーの駆動時間と充電時間の測定結果は以下のようになります。
バッテリーによる駆動は 11時間36分経過後、Windows がバッテリー不足を検知し、パソコンはシャットダウンしました。
バッテリーを多く消費する条件でもバッテリー駆動時間が 11時間以上持続できることは驚きです。
以前、当サイトで旧モデル「Surface Book」のバッテリー性能を同じ条件で測定したときは 7時間14分だったので、『Surface Book 2』ではバッテリー駆動時間が大幅に伸びたことが分かります。
バッテリー充電については、50%まで充電するのにかかった時間は キーボード側バッテリーが 58分、タブレット側バッテリーが 1時間 2分でした。
以上の検証から、『Surface Book 2』のバッテリー性能は かなり高いレベルに進化したといえます。
なお、実際の使用にあたっては、環境や条件などによりバッテリーの駆動時間は変動するので、参考値としてください。
サウンド チェック
『Surface Book 2』は、音質などをチューニングできるユーティリティソフトはインストールされていませんが、意外にも高音質です。
実際にサウンドを聴いてみた印象です。
■スピーカー
低音域から高音域まで再生できる音域が広く高音質。
ボリュームを最大まで上げても音割れはほとんどない。
■ヘッドフォン
低音域が強調されサウンドに厚みが増す。
臨場感のある迫力あるサウンドを楽しめる。
通常のヘッドホンでも十分楽しめる。
ヘッドホンジャックを挿し込むと、ボリュームレベルが前回ヘッドホンで聞いていたレベルに自動設定され、また、ヘッドホンジャックを抜くと、前回スピーカーで聞いていたレベルに自動的に設定されます。
地味な機能ですが、使う側にとっては意外とウレシイ機能です。
Windows の起動・再起動 時間計測
Windows の起動時間、再起動時間を それぞれ 5回ずつ計測しました。
感覚的にも結果が示す通り「早い」です。
搭載ソフトウェア
『Surface Book 2』に搭載されているソフトウェアは、Windows標準のソフトのほか、Office Home & Business Premium プラス Office 365 サービスがインストールされています。
Surface 固有のソフトウェアはインストールされていませんでした。
付属品
『Surface Book 2』には、本体のほか電源アダプター、電源コード、マニュアル類が同梱されています。
マニュアル類には、Office Home & Business Premium のライセンスカードも含まれています。
『Surface Book 2』ドキュメント一式
まとめ
以上、『Surface Book 2』のレビュー記事をお届けしました。
『Surface Book 2』は、性能レベルが高く、快適パフォーマンスで軽快に動作してくれます。
タイピングしやすいキーボードやモバイルするときでもあんしんのタフネスバッテリーなど使いやすさにくわえ、堅牢性も兼ね備えた質感の高いスタイリッシュなデザインも好印象です。
性能・デザイン・使いやすさなど、高価格帯も納得できるトータルバランスに優れたモデルといえます。
ラインナップしているモデルのスペックや価格などの最新情報は、Microsoft ストア公式サイトでチェックしてください。
マイクロソフトストア公式サイト ⇒ Microsoft Surface Book 2 |