日本HP が販売する OMEN 35L (AMD) 2024年モデルは、AMD Ryzen 8000 シリーズプロセッサーと NVIDIA GeForce RTX 40 シリーズを搭載したゲーミング・デスクトップPCです。
高負荷な状態でもとにかく静か!ゲーミングPC 特有の高負荷時の轟音ともいえる排気音がほとんど聞こえません。静音性とパフォーマンスを両立し、重量級ゲームもプレイに集中できます。
本体内部へのアクセスがかんたんで、メンテナンス性にもすぐれているところもポイント。
- AMD Ryzen 8000 シリーズプロセッサーと NVIDIA GeForce RTX 40 シリーズを搭載
- Kingston Furyメモリ 32GB & PCIe Gen4 対応 SSD 1TB を搭載
- 空気力学を追求し、システム全体の冷却効率が向上
- 高負荷時も静か! 静音性をパフォーマンスを両立
- シースルーのフロントパネルとサイドパネルがカッコいい
- オーバークロック調整や LEDライティングなど、ゲーム体験を快適にするソフトウェア OMEN GAMING HUB を搭載
- 本体内部へのアクセスがかんたんで、メンテナンス性にもすぐれている
本記事ではメーカーからお借りした実機を試用し、前半で外観デザインや本体内部をチェック、後半では各種ベンチマークを使った性能評価を行います。
【 目 次 】
レビューは 2024年12月3時点の内容です。
スペック構成
OMEN 35L (AMD) のおもなスペックは以下のとおり。
シリーズ名 | OMEN 35L Gaming Desktop GT16-0000jp シリーズ |
OS | Windows 11 Home |
プロセッサー | ■AMD Ryzen 5 8500G プロセッサー ■AMD Ryzen 7 8700G プロセッサー |
メモリ | Kingston FURY 32GB (16GB×2) DDR5-5200MT/s AMD EXPO 対応 RGB (最大128GB) |
ストレージ | 1TB M.2 SSD (PCIe Gen4 NVMe) |
グラフィックス | ■NVIDIA GeForce RTX 4060 Ti ■NVIDIA GeForce RTX 4070 SUPER ■NVIDIA GeForce RTX 4070 Ti SUPER |
LAN | 10/100/1000 Mbps オンボードネットワークコネクション |
ワイヤレス | IEEE 802.11be (Wi-Fi 7)、 Bluetooth5.4 |
本体サイズ (W×D×H) | 約 210×408×410 mm (縦置き) |
重量 | 約 14.5 kg |
OMEN 35L (AMD) は、CPU、グラフィックスタイプの構成により以下の3モデルがラインナップしています。
■モデレートモデル
Ryzen 5 8500G/ RTX 4060 Ti
■アドバンスモデル
Ryzen 7 8700G/ RTX 4070 SUPER
■アドバンスプラスモデル
Ryzen 7 8700G/ RTX 4070 Ti SUPER
詳しいスペックや価格などの最新情報は日本HP公式サイトをご確認ください。
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お買い得情報
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・モデレートモデル:19万8000円
・アドバンスモデル:25万8000円
・アドバンスプラスモデル:29万8000円
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外観チェック
フロントパネルとシースルーのサイドパネルがカッコいい!
OMEN 35L (AMD) はシックで高級感あるデザイン。
前後左右からの外観です。
前面側と背面側
左側面(本体正面に向かって)
右側面(本体正面に向かって)
フロントパネルと左側面カバーはシースルーの強化ガラス製。
フロントパネル
パーツ・コンポーネントは ほぼブラックで統一されています。ライティングで照らされた空間がカッコいいです。
ライティング設定は、付属のソフトウェア「OMEN Gaming Hub」でカラーやブリンクなどお好みのライティングに変更できます。
お好みのライティングにすることでゲームプレイ中の雰囲気も盛り上がるはずです。
なお、天面側と底面側の外観イメージは以下のとおり。
天面側
底面側
ゴム足は前面側と背面側に実装されています。ゴム足の高さは実測で約 15mm。
本体の安定感は良好です。
安定感のあるゴム足
サイズ感は意外にコンパクト
本体の大きさは 約 210(幅)×408(奥行き)×410(高さ) mm。容量は 35L ですが意外にコンパクトなサイズ感です。
2リットルのペットボトルと大きさ比較
23.8インチサイズのモニターと並べたときのイメージは以下のとおり。
23.8インチモニターと大きさ比較
デスク上に設置しても圧迫感は少なく、ライティングを楽しみながらゲームプレイすることが可能です。
ただし、本体の重量 約14.5kg にくわえモニターなどの総重量に対する耐荷重をクリアするデスクを使用してください。
ダストフィルターのメンテナンスがかんたん
ダストフィルターは、フロント側と底面側に装着されており、メンテナンス作業はかんたんにできます。
フロント側ダストフィルターにアクセスするときは、フロントパネルの下側に手をかけてパネルを引っ張り下側から開くようにはずします。
フロントパネルの内側にダストフィルターが装着されています。
フロント側のダストフィルター
ダストフィルター上部のリリース タブを押して取りはずします。
また、底面側のダストフィルターを取りはずすときは、本体を横向きにしてください。
ダストフィルターの前後にある左右のタブを内側に押しフィルタを反らしながら取りはずします。
底面側のダストフィルター
マシンのパフォーマンスと静音性を維持するためにも、ダストフィルターのメンテナンスは定期的に実施することをおすすめします。
インターフェースのチェック
OMEN 35L (AMD) のインターフェースは、天面フロント側と背面側に実装されています。
■天面フロント側
①ヘッドフォン出力/マイク入力コンボポート
②USB Type-C 10Gbps (Power Delivery, 電源オフUSBチャージ機能対応)
③USB Type-A 5Gbps (電源オフUSBチャージ機能対応) ×2
④電源ボタン
■背面側
①USB 2.0 Type-A ×4
②USB Type-C 10Gbps (Power Delivery、電源オフUSBチャージ機能対応)
③USB Type-A 5Gbps (電源オフUSBチャージ機能対応) ×2
④イーサネット・コネクター(RJ-45)
⑤左から マイク入力、ライン出力、ライン入力
⑥HDMI 2.1
⑦DisplayPort 1.4a ×3
ポートは用途に合わせてアクセスしやすく種類・数とも豊富です。
本体内部のチェック
OMEN 35L (AMD) の本体を分解、内部をチェックします。
※ご自身でパーツを増設・換装するときは自己責任での作業をお願いします。
本体内部へのアクセスはかんたん
本体内部へアクセスするためには固定しているネジをはずしてから側面カバーを背面側にスライドさせて取りはずします。
※ネジは基本的にツールレスで外すことができますが、ネジの締め付けが固いときはプラスまたはマイナスドライバーを使用してください。
矢印の指すネジをはずす
ネジを外したら側面カバーを背面側へスライドしてカバーを取りはずします(左右の側面カバーともに取りはずせます)。
本体内部の全体イメージです。
本体内部の全体イメージ(左側面)
本体内部の全体イメージ(右側面)
各パーツの実装エリアをチェックします。
CPU、メモリの実装エリアです。
右側からメモリ(2スロット)、CPU、排熱用ファン(120mm)
CPU ファンはサイドフロータイプ。ファンの後ろ側には大きめのヒートシンクが装着されています。
CPU ファン(120mm)はサイドフロータイプ
SSD は CPU の下側に実装されています。
SSD
SSD の下側にグラフィックスボードを実装。
レビュー機のグラフィックスボードは NVIDIA GeForce RTX 4060 Ti
無線LANカードは、グラフィックスボードの下側に実装されています。(LANカードにアクセスることはないとは思いますが)LANカードアクセスするにはグラフィックスボードを取りはずす必要があります。
無線LANカード
電源ユニットは無印ですが、仕様によるとレビュー機では 80 Plus Gold(最大出力 600W)が搭載されています。
電源ユニットは 80 Plus Gold(最大出力 600W)
※レビュー機は「モデレートモデル」です。上位モデルの「アドバンスモデル」「アドバンスプラスモデル」の電源ユニットは 80 Plus Gold(最大出力 850W)が搭載されます。
フロント側には吸気用ファンを 2基(140mm)搭載。
CPUファン(120mm)と背面側ファン(120mm)とあわせて、システム全体の効果的な冷却が期待できるエアフローです。エアフローのイメージは以下のとおり。
エアフローのイメージ
また、本機は 3.5インチ(または2.5インチ)ストレージ 1基の増設が可能です。
3.5インチストレージ実装エリア
ストレージはホルダーに装着できるタイプです。ホルダーの取り出しはツメを両側から押し込んで引っ張るだけ。
ホルダーにはグロメットピンがあるのでツールレスで増設が可能です。
マザーボードの SATAコネクタの実装位置は以下のとおり。
矢印の指すところが SATAコネクタ
なお、SATAケーブルは接続されていないため、増設するときは別途用意してください。
ちなみに、SATA電源ケーブルのコネクタはトレイが収納されている奥にあります。
上記のとおり、本体内部のパーツへのアクセスはかんたんですが拡張性は低めです。
ベンチマークによる性能評価
ベンチマークでは、レビュー機の CPU・グラフィック・ストレージ性能のほか総合的なパフォーマンスを評価します。
※レビューでは「モデレートモデル」を試用しています。
■レビュー機の基本スペック
OS | Windows 11 Home |
CPU | AMD Ryzen 5 8500G |
メモリ | 32GB (16GB×2) DDR5-5200MT/s |
ストレージ | 1TB M.2 SSD (PCIe Gen4 NVMe) |
グラフィックス | NVIDIA GeForce RTX 4060 Ti |
■使用したベンチマーク
比較項目 | 使用するベンチマーク |
---|---|
CPU性能 | CINEBENCH R23[CPUのレンダリング性能評価] |
CPU Mark (PassMark PerformanceTest)[CPU性能の総合評価] | |
グラフィック性能 | 3DMark Time Spy |
ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ[中量級のゲーム] | |
ファイナルファンタジーXV[重量級のゲーム] | |
ストレージ性能 | CrystalDiskMark |
総合的なパフォーマンス | PCMark 10 |
なお、OMEN 35L (AMD) にはパフォーマンスなどを使い方にあわせてコントロールできるアプリケーション「OMEN Gaming Hub」がインストールされています。
ベンチマークの実施にあたっては、OMEN Gaming Hub の電源モードと温度コントロールを「最適-標準」「パフォーマンス-パフォーマンス」の2つのモードに設定して実行しています。
OMEN Gaming Hub パフォーマンスコントロール
また、メモリのオーバークロックは初期設定にしています。
OMEN Gaming Hub オーバークロック
メモリオーバークロックは、メモリの速度を 5200 MT/s(メガトランスファー毎秒)から 6000 MT/s に高速化することで、システムのパフォーマンスを向上させる機能です。これによりゲームプレイのパフォーマンスのさらなるアップが期待できます。
CPU性能
CPU性能は CINEBENCH R23(マルチコア/シングルコア) と CPU Mark(PassMark PerformanceTest) のベンチマークスコアで評価します。
評価にあたっては、性能レベルを把握するため下記 CPU のスコアと比較します。
・インテル Core i7-14700F プロセッサー
・インテル Core i5-14400 プロセッサー
・インテル Core i7-13700K プロセッサー
・インテル Core i7-13700F プロセッサー
・インテル Core i5-13400 プロセッサー
・インテル Core i7-12700 プロセッサー
・インテル Core i7-12700K プロセッサー
・AMD Ryzen 5 5600X プロセッサー
・インテル Core Ultra 9 プロセッサー 185H (*1)
・インテル Core Ultra 7 プロセッサー 155H (*1)
・インテル Core Ultra 5 プロセッサー 125H (*1)
・インテル Core i7-13700HX プロセッサー(*1)
・インテル Core i7-13700H プロセッサー(*1)
・インテル Core i5-13500H プロセッサー(*1)
・AMD Ryzen 7 7730U プロセッサー(*1)
・AMD Ryzen 5 7530U プロセッサー(*1)
※当サイトで計測したスコアの平均値
(*1)はノートPC 向け CPU のスコア
CINEBENCH R23[CPUのレンダリング性能評価]
CINEBENCH R23 (マルチコア) | |
---|---|
Core i7-13700K |
28431 pts
|
Core i7-14700F |
25086 pts
|
Core i7-13700F |
24151 pts
|
Core i7-12700K |
22459 pts
|
Core i7-12700 |
18566 pts
|
Core Ultra 9 185H |
18296 pts
|
Core i7-13700HX |
17945 pts
|
Core i7-13700H |
15945 pts
|
Core i5-13500H |
14234 pts
|
Core i5-13400 |
14327 pts
|
Core i5-14400 |
13897 pts
|
Core Ultra 7 155H |
12346 pts
|
Ryzen 5 8500G(レビュー機/パフォーマンス) |
11080 pts
|
Ryzen 5 8500G(レビュー機/最適) |
11108 pts
|
Ryzen 5 5600X |
10431 pts
|
Core Ultra 5 125H |
9920 pts
|
Ryzen 7 7730U |
9117 pts
|
Ryzen 5 7530U |
7627 pts
|
CINEBENCH R23 (シングルコア) | |
---|---|
Core i7-13700K |
2076 pts
|
Core i7-14700F |
2056 pts
|
Core i7-13700F |
1997 pts
|
Core i7-12700K |
1924 pts
|
Core i7-13700H |
1880 pts
|
Core i7-12700 |
1866 pts
|
Core i7-13700HX |
1858 pts
|
Core i5-14400 |
1787 pts
|
Core Ultra 9 185H |
1782 pts
|
Ryzen 5 8500G(レビュー機/最適) |
1774 pts
|
Core i5-13400 |
1744 pts
|
Core Ultra 7 155H |
1687 pts
|
Core Ultra 5 125H |
1661 pts
|
Ryzen 5 5600X |
1521 pts
|
Core i5-13500H |
1501 pts
|
Ryzen 7 7730U |
1431 pts
|
Ryzen 5 7530U |
1419 pts
|
Ryzen 5 8500G(レビュー機/パフォーマンス) |
1172 pts
|
CPU Mark (PassMark PerformanceTest)[CPU性能の総合評価]
CPU Mark (PassMark PerformanceTest) | |
---|---|
Core i7-13700K |
46366
|
Core i7-13700F |
40791
|
Core i7-14700F |
39925
|
Core i7-12700K |
34664
|
Core i7-12700 |
32463
|
Core Ultra 9 185H |
32079
|
Core i7-13700HX |
31774
|
Core i7-13700H |
28429
|
Core Ultra 7 155H |
25686
|
Core i5-13500H |
25438
|
Core i5-14400 |
25413
|
Ryzen 5 8500G(レビュー機/パフォーマンス) |
21805
|
Ryzen 5 8500G(レビュー機/最適) |
21782
|
Core i5-13400 |
21695
|
Ryzen 5 5600X |
21679
|
Core Ultra 5 125H |
21632
|
Ryzen 7 7730U |
18677
|
Ryzen 5 7530U |
15930
|
レビュー機に搭載されている Ryzen 5 8500G プロセッサーの性能レベルはインテル Core i5-14400 より少し低い程度です。
一般的にエントリークラスのゲーミングPC に搭載されるプロセッサーレベルですが、入門機としてなら十分なパフォーマンスが期待できます。
中・上級者クラスのユーザーのほか末永くマシンを愛用するなら Ryzen 7 8700G プロセッサーを搭載した「アドバンスモデル」や「アドバンスプラスモデル」の検討をおすすめします。
グラフィック性能
グラフィック性能はゲーム系のベンチマークで評価します。
評価にあたっては、グラフィックス性能レベルを把握するため当サイトでレビューした下記グラフィックスのスコアと比較します。
・NVIDIA GeForce RTX 4070 Ti
・NVIDIA GeForce RTX 4070
・NVIDIA GeForce RTX 4060 Ti
・NVIDIA GeForce RTX 3060 Ti
・NVIDIA GeForce RTX 3060
・NVIDIA GeForce RTX 2070 SUPER
・NVIDIA GeForce RTX 2060 SUPER
・NVIDIA GeForce GTX 1660 Ti
・AMD Radeon RX 6700XT
※当サイトで計測したスコアの平均値
3DMark Time Spy
Time Spy は DirectX 12 を使用したハイパフォーマンスゲーミングPC向けのグラフィックス性能テストです。
3DMark Time Spy | |
---|---|
RTX 4070 Ti |
21024
|
RTX 4070 |
17196
|
RTX 4060 Ti |
12981
|
RTX 4060 Ti(レビュー機/パフォーマンス) |
12081
|
RTX 4060 Ti(レビュー機/最適) |
12068
|
RTX 3060 Ti |
11416
|
AMD Radeon RX 6700XT |
11272
|
RTX 2070 SUPER |
9766
|
RTX 3060 |
9211
|
RTX 2060 SUPER |
8709
|
GTX 1660 Ti |
6372
|
ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ[中量級のゲーム]
ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ | |
---|---|
RTX 4070 Ti |
33664
|
RTX 4070 |
30500
|
RTX 4060 Ti |
24453
|
RTX 3060 Ti |
23758
|
AMD Radeon RX 6700XT |
22184
|
RTX 4060 Ti(レビュー機/パフォーマンス) |
20927 (非常に快適)
|
RTX 4060 Ti(レビュー機/最適) |
20924 (非常に快適)
|
RTX 3060 |
20814
|
RTX 2070 SUPER |
(未実施)
|
RTX 2060 SUPER |
(未実施)
|
GTX 1660 Ti |
(未実施)
|
※最高品質/解像度 1920×1080 で実施
ファイナルファンタジーXV[重量級のゲーム]
ファイナルファンタジーXV | |
---|---|
RTX 4070 Ti |
17066
|
AMD Radeon RX 6700XT |
16014
|
RTX 4070 |
15420
|
RTX 4060 Ti |
11261
|
RTX 4060 Ti(レビュー機/パフォーマンス) |
10855 (とても快適)
|
RTX 4060 Ti(レビュー機/最適) |
10519 (とても快適)
|
RTX 3060 Ti |
10271
|
RTX 2070 SUPER |
9104
|
RTX 2060 SUPER |
7758
|
RTX 3060 |
6599
|
GTX 1660 Ti |
5851
|
※高品質/解像度 解像度 1920×1080 で実施
レビュー機のスコアは おおむね平均値相当で、グラフィックス性能は良好です。
レビュー機に搭載されている GeForce RTX 4060 Ti は、RTX 40 シリーズのなかでは下位モデルの位置づけですが、中量級から重量級のゲームまでたいていのゲームを快適なパフォーマンスで楽しむことができる性能レベルです。
重量級や超重量級のゲームタイトルをメインにプレイするなら RTX 4070 SUPER や RTX 4070 Ti SUPER を搭載した上位モデルがおすすめです。
ストレージ性能
レビュー機のストレージは PCIe4.0/NVMe2.0 対応の SSD (容量 1TB) を搭載しています。
ストレージ情報
ストレージ性能については、CrystalDiskMark を使用して計測したデータ転送速度で評価します。
データ転送速度
※OMEN Gaming Hub の電源モードと温度コントロールを「最適-標準」に設定して計測した結果。「パフォーマンス-パフォーマンス」の計測結果も同等です。
計測結果は良好です。PCIe4.0/NVMe2.0 対応の SSD は体感的にもアクセス速度が高速です。
総合的なパフォーマンス
PCMark 10 Extended を使って、実際の使用を想定した性能評価を行います。
評価にあたっては、性能レベルの違いを把握するため下記機種のスコアと比較します。
・Victus 15L 2024年モデル
・Lenovo LOQ Tower 17IRR9
・Alienware Aurora R16 2024年モデル
※パフォーマンスモードに相当する設定で計測した結果
各機種の基本スペックは以下のとおり。
スペック | OMEN 35L (レビュー機) |
Victus 15L | LOQ Tower | Alienware Aurora |
---|---|---|---|---|
CPU | AMD Ryzen 5 8500G | インテル Core i7-14700F | インテル Core i7-14700F | インテル Core i7-14700F |
メモリ | 32GB(16GB×2) | 16GB(8GB×2) | 16GB(8GB×2) | 16GB(8GB×2) |
ストレージ | 1TB SSD | 1TB SSD | 512GB SSD+2TB HDD | 1TB SSD |
グラフィックス | GeForce RTX 4060 Ti | GeForce RTX 4060 Ti | GeForce RTX 4060 | GeForce RTX 4070 |
ベンチマーク結果は以下のとおり。
■ベンチマーク結果
Essentials | |
---|---|
OMEN 35L (レビュー機/最適) |
9761
|
OMEN 35L (レビュー機/パフォーマンス) |
9742
|
Victus 15L |
11269
|
LOQ Tower (レビュー機/パフォーマンス) |
10934
|
Alienware Aurora |
10720
|
目標値 |
4100
|
Productivity | |
OMEN 35L (レビュー機/最適) |
10529
|
OMEN 35L (レビュー機/パフォーマンス) |
11098
|
Victus 15L |
11780
|
LOQ Tower (レビュー機/パフォーマンス) |
10640
|
Alienware Aurora |
9483
|
目標値 |
4500
|
Digital Contents Creation | |
OMEN 35L (レビュー機/最適) |
11667
|
OMEN 35L (レビュー機/パフォーマンス) |
11650
|
Victus 15L |
14373
|
LOQ Tower (レビュー機/パフォーマンス) |
14894
|
Alienware Aurora |
16035
|
目標値 |
3450
|
Gaming | |
OMEN 35L (レビュー機/最適) |
21880
|
OMEN 35L (レビュー機/パフォーマンス) |
21826
|
Victus 15L |
25572
|
LOQ Tower (レビュー機/パフォーマンス) |
22588
|
Alienware Aurora |
32354
|
※テスト項目説明
・Essentials(普段の作業を想定した基本的なテスト)
・Productivity(ビジネスソフトの使用を想定したテスト)
・Digital Contents Creation(写真・動画編集を想定したテスト)
・Gaming(ゲーミングソフトの使用を想定したテスト)
※目標値はベンチマークソフト開発メーカーの推奨スコア
レビュー機のスコアは、CPU 性能が影響しているためか、少し物足りなさを感じます。
とはいえ、レビューでは「モデレートモデル」を試用しているため妥当な結果といえます。モデレートモデルの性能レベルであれば、ゲーム入門者のほか中級者も満足できるパフォーマンスでプレイすることができるでしょう。
関連記事
クリエイティブ性能の評価
クリエイティブ性能は RAWデータ現像(JPEGファイル書き出し)と動画エンコードの処理時間で評価します。
評価にあたっては、上記の総合的なパフォーマンスで使用した機種の処理時間と比較します。
・Victus 15L 2024年モデル
・Lenovo LOQ Tower 17IRR9
・Alienware Aurora R16 2024年モデル
※パフォーマンスモードに相当する設定で計測した処理時間
RAWデータ現像
RAWデータ現像に使用したソフトウェアや条件、処理時間は以下のとおりです。
■使用ソフトウェア
Adobe Photoshop Lightroom
Adobe Photoshop Lightroom Classic
■条件等
・RAWデータ 50ファイルをJPEG形式で一括書き出し
・RAWデータサイズ 4,592×3,056(約14MB)
・プリセット等 編集は適用しない
・ほかのアプリは起動しない(常駐アプリは除く)
■処理結果
Photoshop Lightroom | |
---|---|
OMEN 35L (レビュー機/最適) |
16秒6
|
OMEN 35L (レビュー機/パフォーマンス) |
16秒6
|
Victus 15L |
16秒0
|
LOQ Tower (レビュー機/パフォーマンス) |
16秒4
|
Alienware Aurora |
7秒8
|
Lightroom Classic | |
OMEN 35L (レビュー機/最適) |
16秒4
|
OMEN 35L (レビュー機/パフォーマンス) |
16秒1
|
Victus 15L |
20秒8
|
LOQ Tower (レビュー機/パフォーマンス) |
15秒1
|
Alienware Aurora |
12秒8
|
動画エンコード
動画エンコードに使用したソフトウェアや条件、処理時間は以下のとおりです。
■使用ソフトウェア
CyberLink PowerDirector
■条件等
・AVCHD動画(1920×1080)を mp4 形式で出力(m2ts→mp4、720p、1280×720/30p 16Mbps)
・動画再生時間 10分間
・ほかのアプリは起動しない(常駐アプリは除く)
■処理結果
PowerDirector | |
---|---|
OMEN 35L (レビュー機/最適) |
1分12秒9
|
OMEN 35L (レビュー機/パフォーマンス) |
1分12秒5
|
Victus 15L |
51秒9
|
LOQ Tower (レビュー機/パフォーマンス) |
53秒4
|
Alienware Aurora |
56秒3
|
実際のソフトウェアを使った検証は、動画エンコード処理に時間がかかるものの、レビュー機のスペック構成を見ればまずまずの結果です。ゲームプレイのほかクリエイティブな作業にも十分快適なパフォーマンスで活用できます。
駆動音・パーツ温度のチェック
駆動音は、下記処理中の音量(デシベル)を測定し、評価します。
・10分間動画のエンコード処理中
・ファイナルファンタジーXV (1920×1080/高品質) ベンチマーク実行中
※OMEN Gaming Hub の電源モードと温度コントロールを「最適-標準」「パフォーマンス-パフォーマンス」の2つのモードで測定
※一般住宅で周囲の音ができるだけ入らないようにして測定(室温:25℃)
音量計測イメージ
(使用測定器:Meterk SLM01)
■測定結果
モード | アイドル状態 (最小音量) |
最大音量 下段はピーク時の音量推移 |
|
---|---|---|---|
動画エンコード | ファイナルファンタジー | ||
バランス | 34.4db | 35.8db (35db台) |
36.3db (35~36db) |
パフォーマンス | 34.4db | 37.1db (36~37db) |
37.6db (36~37b) |
■騒音の目安
騒音の大きさ | 騒音の具体例 |
---|---|
60 デシベル | 走行中の自動車内 普通の会話 デパート店内 |
50 デシベル | 家庭用エアコンの室外機 静かな事務所の中 |
40 デシベル | 閑静な住宅地の昼 図書館内 |
30 デシベル | 深夜の郊外 鉛筆での執筆音 |
20 デシベル | 木の葉の触れ合う音 雪の降る音 |
参考:埼玉県深谷市ホームページ「騒音・振動の規制について」
アイドル状態では「ウーッ」というファン音がかすかに聞こえる程度で静かです。デスクの下ならほとんど聞こえないレベルです。
高負荷時でも「ウーッ」というファン音がかすかに聞こえる程度で、体感的にはアイドル状態のときと同じくらいで本当に静かです。
ちなみに、OMEN Gaming Hub の温度コントロールを「手動」にしたときファン音と気流音がかなり大きくなります。
すべてのファン(吸気用ファン、CPUファン、排気用ファンなど)の回転数を任意に制御でき、全ファンの回転数を最大に設定したときの音量は 57dbくらいまで増加します。そのぶん本体内部を急速に冷却できますが、手動で温度コントロールするときは使用環境やゲームプレイの状況にあわせたチューニングが必要かもしれません。
パーツ温度のチェック
パーツ温度については、下記を実施中の CPUとdGPU(グラボ)の動作周波数(動作クロック)と温度を計測・評価します。
・CPU ベンチマーク「CINEBENCH R23 Multi Core」10分間実行
・ファイナルファンタジーXV (1920×1080/高品質) ベンチマーク実行中
※OMEN Gaming Hub の電源モードと温度コントロールを「パフォーマンス-パフォーマンス」に設定して計測
※CPU ベンチマークでは CPU の周波数/温度のみを計測
※CPU の動作周波数と温度は各コアの平均値
※計測時の室温:25℃
CPU ベンチマーク実行中
ファイナルファンタジーXV 実行中
冷却性能は非常に優秀です。
高負荷な状態でも CPU/dGPU ともに超高温になることはありません。高いパフォーマンスを維持しつつ安定して推移しています。駆動音も静かで、静音性とパフォーマンスが両立されていることを実感できます。
Windows の起動・再起動・シャットダウン時間計測
Windows の起動時間、再起動時間、シャットダウン時間を それぞれ 5回ずつ計測しました。
起動 | 再起動 | シャットダウン | |
---|---|---|---|
1回目 | 23.5秒 | 31.4秒 | 6.4秒 |
2回目 | 23.4秒 | 31.0秒 | 8.3秒 |
3回目 | 23.3秒 | 29.4秒 | 8.2秒 |
4回目 | 23.3秒 | 29.5秒 | 8.1秒 |
5回目 | 23.6秒 | 31.3秒 | 6.4秒 |
平均 | 23.4秒 | 30.5秒 | 7.5秒 |
実際の使用にあたってはインストールしているアプリや Windows Update など状態により変動するので参考値としてください。
同梱品
本体ほか同梱品一式です。
同梱品リスト
・OMEN 35L (AMD) 本体
・電源コード(2P)
・ドキュメント類
まとめ
以上、OMEN 35L (AMD) のレビュー記事をお届けしました。
OMEN 35L (AMD) は、静音性とパフォーマンスを両立したゲーミングデスクトップPC です。
高負荷な状態でも本当に静か。高いパフォーマンスを維持しつつ、静音性にすぐれているところがいちばんのウリ。
レビュー機はモデレートモデルのため、ミドルレンジクラスのライバル機にくらべ性能は多少ひかえめなところはあったもののエントリーユーザーには十分なパフォーマンスです。
中上級クラスのユーザーにはアドバンスモデルやアドバンスプラスモデルがおすすめです。きっと、ゲームプレイ中でも静かなことに驚くことでしょう。
高評価のポイント
- 静音性とパフォーマンスを両立し、高負荷な状態でも静か
- 冷却性能は非常に優秀で高負荷時でもハイパフォーマンスをキープ
- ライティングがカッコよくゲームプレイを演出
- 本体内部へのアクセスがかんたん
- ダストフィルターや本体内部のクリーニングなどメンテナンスしやすい
- コンパクトサイズで省スペースに設置できる
気をつけておきたいところ
- 筐体は重量感がある(15kgくらい)
- 下位モデルの「モデレートモデル」はエントリークラスの性能レベル。中上級クラスのユーザーは「アドバンスモデル」「アドバンスプラスモデル」を狙うべし
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・モデレートモデル:19万8000円
・アドバンスモデル:25万8000円
・アドバンスプラスモデル:29万8000円
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