デルが販売する Inspiron 15 (3535) は、AMD Ryzen 7000シリーズモバイルプロセッサーを搭載した 15.6型ノートパソコンです。
エントリークラスのスタンダードノートながら、しっかり使える処理性能を搭載。動作も軽快で快適に使えます。
シンプルでスタイリッシュなデザインの筐体は 15.6インチながら意外に軽く部屋間の移動など扱いやすさも良好です。
■Inspiron 15 (3535) の特徴
- AMD Ryzen 7000シリーズモバイルプロセッサーを搭載
- シンプルでスタイリッシュなデザイン
- 15.6インチサイズながらスリムで意外に軽量
- フルHD液晶ディスプレイ
- リフトアップヒンジによりタイピングしやすいキーボード
- 指紋認証センサー搭載可能(オプション)
レビューではメーカーからお借りした実機を試用して、前半で外観デザイン/ディスプレイ/キーボードなどをチェック、後半では各種ベンチマークを使った性能評価を行います。
【 目 次 】
レビューは 2023年8月18日時点の内容です。
スペック構成
Inspiron 15 (3535) は、CPU/メモリ/ストレージなどスペック構成の異なるモデルが複数ラインナップしています。
おもなスペックは以下のとおり。
※記事執筆時点で販売中のモデルのスペック。
OS | ■Windows 11 Home ■Windows 11 Pro |
CPU | ■AMD Ryzen 3 7320U プロセッサー ■AMD Ryzen 5 7530U プロセッサー ■AMD Ryzen 7 7730U プロセッサー |
メモリ | ■8GB 5500MHz LPDDR5 ■16GB(8GB×2) DDR4 3200MHz |
ストレージ | ■256GB SSD (PCIe NVMe) ■512GB SSD (PCIe NVMe) |
ディスプレイ | 15.6インチ ディスプレイ Full HD (1920X1080) 非光沢 250nit |
グラフィックス | AMD Radeon グラフィックス |
ワイヤレス | Realtek Wi-Fi 5 RTL8821CE, 1×1, 802.11ac, MU-MIMO, Bluetooth ワイヤレス カード |
Webカメラ、マイク | ワイドスクリーンHD (720p) Webカメラ、シングル デジタル マイク |
バッテリー駆動時間 | 非公開 |
本体カラー | ■プラチナシルバー ■カーボンブラック |
本体サイズ(W×D×H) | 約 358.50×235.56×16.96~18.99 mm |
本体質量 | 約 1.63kg |
ラインナップしているモデルの詳細なスペックや価格などの最新情報はデル直販サイト(デルオンラインストア)をご確認ください。
Inspiron 15 (3535)
税込5万円台から
外観チェック
シンプルでスタイリッシュなデザイン
Inspiron 15 (3535) のデザインはシンプルながらスタイリッシュです。
レビュー機のカラーは「プラチナシルバー」。スタイリッシュ感をアップさせてくれる色合いです。
天面中央の「DELL」ロゴマークがアクセント
天面はサラサラした感触で上質な仕上がり。指紋や皮脂の跡が目立たないところも好印象です。
本体は 15.6インチでもスリム。
本体はスリム
底面カバーの構造は剛性を重視したユニボディで見た目もスッキリとしています。
ゴム足は四隅に実装されています。細長い形状のゴム足ですが本体の安定感は良好です。
また、ヒンジは本体奥側を持ち上げるリフトアップヒンジです。
キーボードに適度な傾斜ができてタイピングしやすく、底面からの吸気効率がアップするメリットもあります。
なお、排気口はヒンジのあいだに実装されています。
必要十分なインターフェース
Inspiron 15 (3535) は必要十分なインターフェースを実装しています。
左側面
①電源ジャック
②HDMI 1.4
③USB 3.2 Gen 1 Type-Aポート
④USB 3.2 Gen 1 Type-Cポート(データ専用)
右側面
⑤SDカード リーダー
⑥USB 2.0ポート
⑦ヘッドセット ジャック
以下、インターフェースについての補足です。
USB Type-C ポートはデータ転送のみ可能です。映像出力や PD充電器には対応していません。
また、SDカードリーダーは抜き差し方式です。カードをシッカリ挿し込んだ状態でも意外に出っ張りますが、そのぶんカードは取り出しやすいです。
SDカードをシッカリ挿し込んだ状態
電源ボタンはキーボード右上に実装
電源ボタンはキーボード右上にレイアウトされています。
電源ボタン
キーの一部として実装されていますが、押し間違えても短押し(1秒未満くらい)なら無反応です。ただし、1,2秒程度ならスリープへ移行し、さらに長押しすると強制的に電源オフされます。
スピーカーは底面の左右に搭載
スピーカーは底面の左右に2基搭載されています。
スピーカー
低音域から高音域まで広い音域を再現して意外に高音質です。
スリムな本体&意外に軽量
本体の大きさのイメージです。本体の上に A4コピー用紙と B5版ノートを載せています。
本体の大きさイメージ
本体を閉じたときの高さのイメージです。
本体の高さを CD ケース(通常サイズ)2枚と比較
(通常サイズの CDケースの厚さは 10mm)
ゴム足を含めた本体の高さは実測で 19~22.5(最厚部)mm。意外にスリムです。
本体や電源アダプターなどの重量を実測します。
・本体:1,599g
・電源アダプター:217g
・電源コード:101g
本体は15.6インチサイズながら意外に軽量です。持ち歩くことはキビシイですが、部屋間の移動などの取り回しはラクにできる重量感です。
電源アダプターの最大出力は 65W。その大きさは手のひらに収まるくらいのサイズです。
ディスプレイのチェック
自然な色合い描画できるディスプレイ
レビュー機の液晶パネルは BOE製[型番:BOE0A8A NV15N4U]。描画される映像は自然な色合いです。
画像の表示例(その1)
画像の表示例(その2)
テキストの表示例
トーンカーブは RGB ともに理想的な 45度の角度に近い形状です。
トーンカーブ
(キャリブレーションツール「i1Display Pro」で計測)
輝度の計測結果はディスプレイの明るさ設定 100 のとき「249 nit」。室内で使うなら十分な明るさです。
色域の計測結果です。
色域
(色度図作成ソフト「ColorAC」にて作成)
規格 | カバー率 | 比 |
---|---|---|
sRGB | 62.6% | 63.8% |
Adobe RGB | 47.3% | 47.3% |
NTSC | 45.2% | 45.2% |
液晶パネルの性能としては標準クラスですが、ネット検索や動画鑑賞、オフィスソフトなど一般的な用途には十分な性能レベルです。
狭額縁ベゼル
ベゼルは狭額縁です。
上部ベゼルはカメラユニットを収納しているためか少し幅がありますが、左右のベゼルは鉛筆の太さと同じくらいの幅で、画面周りはスッキリしています。
映り込みはほとんど気にならない
ディスプレイの映り込み具合をチェックします。
Inspiron 15 (3535) は非光沢液晶です。映り込みが気になることはほとんどなく眼への負担も軽減できます。
広い視野角
視野角をチェックします。
正面
右側 ディスプレイ面から30度の角度
上側 ディスプレイ面から30度の角度
水平方向、垂直方向ともに視野角は広く、斜めからもハッキリとした映像を観ることができます。
ディスプレイを開く角度は十分な範囲をカバー
ディスプレイを開くことのできる最大角度は 約134度。
クラムシェルタイプのノートパソコンとして十分な範囲をカバーしています。
キーボード&タッチパッドのチェック
タイピングしやすいキーボード
Inspiron 15 (3535) のキーボードレイアウトは標準的です。
キーピッチの仕様は 18.70mm。フルサイズキーボードと同等のキーピッチです。
なお、テンキーのキーピッチは実測で 約16mm と少し狭いですが打ちにくさはありません。
テンキーは標準的な4列配置
キートップはサラサラした感触で中央部分が少しへこんだ形状です。
キーストロークは(感覚的には)ノートパソコンの平均的はストローク幅 1.5mm くらい。
タイプ音は「ドスドス」という音。音の大きさは静か
キーの押し込む強さやキーを押し込んだ後の反発もちょうど良い感じでタイピングできます。
なお、レビュー機のキーボードはバックライト非搭載です。
質感の良いパームレスト
パームレストはサラサラした感触で上質感ある仕上がりです。
指紋や皮脂の跡が目立たないところも好印象で、気持ちよくタイピング操作をすることができます。
大きめサイズで操作性の良いタッチパッド
タッチパッドはクリックボタンが一体化したタイプ。感触はツルツルしていてスベリはなめらかです。
タッチパッドのサイズ感
大きめサイズで扱いやすくジェスチャー操作もスムーズです。
ベンチマークによる性能評価
ベンチマークでは、レビュー機の CPU・グラフィック・ストレージ性能のほかバッテリー性能や総合的なパフォーマンスを評価します。
レビュー機の基本スペック
CPU | AMD Ryzen 3 7320U プロセッサー |
---|---|
メモリ | 8GB 5500MHz LPDDR5 |
ストレージ | 256GB SSD (PCIe NVMe) |
グラフィックス | AMD Radeon グラフィックス |
評価に使用したベンチマークは以下のとおり。
評価項目 | 使用するベンチマーク |
---|---|
CPU性能 | CINEBENCH R20[CPUのレンダリング性能評価] |
CPU Mark (PassMark PerformanceTest)[CPU性能の総合評価] | |
グラフィック性能 | 3DMark FireStrike |
ドラゴンクエストX[軽量級のゲーム] | |
ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ[中量級のゲーム] | |
ファイナルファンタジーXV[重量級のゲーム] | |
ストレージ性能 | CrystalDiskMark |
総合的なパフォーマンス | PCMark 10 |
バッテリー | BatteryInfoView(バッテリー残量測定用) |
なお、ベンチマークの実施にあたっては、電源オプションの電源プランは「バランス」に設定し、電源とバッテリーの電源モードを「バランス」と「最適なパフォーマンス」の2モードそれぞれで実施しています。
電源プランの設定
電源モードの設定
CPU性能
CPU性能は CINEBENCH R20 と CPU Mark(PassMark PerformanceTest) のベンチマークスコアで評価します。
評価にあたっては、性能レベルを把握するため下記 CPU のスコアと比較します。
・AMD Ryzen 7 7730U プロセッサー
・AMD Ryzen 5 7530U プロセッサー
・AMD Ryzen 7 5825U プロセッサー
・AMD Ryzen 5 5625U プロセッサー
・インテル Core i7-1360P プロセッサー
・インテル Core i5-1340P プロセッサー
・インテル Core i7-1355U プロセッサー
・インテル Core i5-1335U プロセッサー
・インテル Core i7-1260P プロセッサー
・インテル Core i5-1240P プロセッサー
・インテル Core i7-1255U プロセッサー
・インテル Core i5-1235U プロセッサー
※当サイトで計測したスコアの平均値
■CINEBENCH R20[CPUのレンダリング性能評価]
CPU | |
---|---|
Core i7-1360P |
4081 pts
|
Ryzen 7 5825U |
4078 pts
|
Core i5-1340P |
3986 pts
|
Ryzen 7 7730U |
3969 pts
|
Core i7-1260P |
3627 pts
|
Core i5-1240P |
3412 pts
|
Ryzen 5 7530U |
3013 pts
|
Ryzen 5 5625U |
2974 pts
|
Core i7-1355U |
2876 pts
|
Core i5-1235U |
2734 pts
|
Core i5-1335U |
2648 pts
|
Core i7-1255U |
2340 pts
|
Ryzen 3 7320U(レビュー機/最適なパフォーマンス) |
1915 pts
|
Ryzen 3 7320U(レビュー機/バランス) |
1913 pts
|
■CPU Mark (PassMark PerformanceTest)[CPU性能の総合評価]
CPU Mark | |
---|---|
Core i7-1360P |
22190
|
Core i5-1340P |
21252
|
Ryzen 7 7730U |
20668
|
Ryzen 7 5825U |
20320
|
Core i7-1260P |
19117
|
Core i5-1240P |
17932
|
Core i7-1355U |
16659
|
Ryzen 5 5625U |
16291
|
Ryzen 5 7530U |
14885
|
Core i5-1335U |
14180
|
Core i5-1235U |
13984
|
Core i7-1255U |
13869
|
Ryzen 3 7320U(レビュー機/バランス) |
9019
|
Ryzen 3 7320U(レビュー機/最適なパフォーマンス) |
8720
|
レビュー機は性能相応のスコアが出ており良好なパフォーマンスです。
一般的なふだん使い(ネット検索・メール・動画鑑賞など)なら十分なパフォーマンスで使うことができるでしょう。
なお、Inspiron 15 (3535) には Ryzen 5 7530U 搭載モデルや Ryzen 7 7730U 搭載モデルもラインナップしています。負荷の高い作業にも使うなら Ryzen 5 以上がおすすめです。
グラフィック性能
グラフィック性能はゲーム系のベンチマークで性能評価を行います。
評価にあたっては、グラフィックス性能レベルを把握するため当サイトでレビューした下記グラフィックスのスコアと比較します。
・AMD Radeon グラフィックス(Ryzen 7 7730U搭載機)
・AMD Radeon グラフィックス(Ryzen 5 7530U搭載機)
・AMD Radeon グラフィックス(Ryzen 7 5825U搭載機)
・AMD Radeon グラフィックス(Ryzen 5 5625U搭載機)
・インテル Iris Xe グラフィックス(Core i7-1360P搭載機)
・インテル Iris Xe グラフィックス(Core i5-1340P搭載機)
・インテル Iris Xe グラフィックス(Core i7-1355U搭載機)
・インテル Iris Xe グラフィックス(Core i5-1335U搭載機)
・インテル Iris Xe グラフィックス(Core i7-1260P搭載機)
・インテル Iris Xe グラフィックス(Core i5-1240P搭載機)
・インテル Iris Xe グラフィックス(Core i7-1255U搭載機)
・インテル Iris Xe グラフィックス(Core i5-1235U搭載機)
※当サイトで計測したスコアの平均値
3DMark FireStrike
3DMark FireStrike のベンチマーク結果です。
Fire Strike は DirectX 11 を使用したハイパフォーマンスゲーミングPC向けのグラフィックス性能テストです。
3DMark Fire Strike | |
---|---|
インテル Iris Xe(Core i7-1360P) |
5252
|
インテル Iris Xe(Core i7-1260P) |
4769
|
インテル Iris Xe(Core i7-1355U) |
4751
|
インテル Iris Xe(Core i5-1340P) |
4370
|
インテル Iris Xe(Core i5-1240P) |
4134
|
インテル Iris Xe(Core i7-1255U) |
3678
|
インテル Iris Xe(Core i5-1235U) |
3610
|
AMD Radeon(Ryzen 7 5825U) |
3425
|
AMD Radeon(Ryzen 7 7730U) |
3319
|
AMD Radeon(Ryzen 5 5625U) |
2995
|
AMD Radeon(Ryzen 5 7530U) |
2986
|
インテル Iris Xe(Core i5-1335U) |
2833
|
AMD Radeon(レビュー機/バランス) |
1496
|
AMD Radeon(レビュー機/最適なパフォーマンス) |
1388
|
ドラゴンクエストX[軽量級のゲーム]
ドラゴンクエストX のベンチマーク結果です。
ドラゴンクエストX | |
---|---|
AMD Radeon(Ryzen 7 5825U) |
10526
|
インテル Iris Xe(Core i7-1360P) |
10283
|
AMD Radeon(Ryzen 7 7730U) |
10081
|
インテル Iris Xe(Core i7-1355U) |
9537
|
AMD Radeon(Ryzen 5 5625U) |
9531
|
インテル Iris Xe(Core i7-1260P) |
9444
|
インテル Iris Xe(Core i7-1255U) |
8647
|
インテル Iris Xe(Core i5-1340P) |
7486
|
AMD Radeon(Ryzen 5 7530U) |
7411
|
インテル Iris Xe(Core i5-1240P) |
6792
|
インテル Iris Xe(Core i5-1235U) |
6540
|
インテル Iris Xe(Core i5-1335U) |
6358
|
AMD Radeon(レビュー機/最適なパフォーマンス) |
3470
|
AMD Radeon(レビュー機/バランス) |
3191
|
※最高品質/解像度 1920×1080 で実施
ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ[中量級のゲーム]
ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズのベンチマーク結果です。
漆黒のヴィランズ | |
---|---|
インテル Iris Xe(Core i7-1360P) |
6300
|
インテル Iris Xe(Core i7-1355U) |
5704
|
インテル Iris Xe(Core i7-1260P) |
5398
|
インテル Iris Xe(Core i5-1340P) |
5391
|
インテル Iris Xe(Core i5-1240P) |
4790
|
インテル Iris Xe(Core i7-1255U) |
4261
|
インテル Iris Xe(Core i5-1235U) |
4027
|
AMD Radeon(Ryzen 7 7730U) |
3947
|
AMD Radeon(Ryzen 7 5825U) |
3937
|
AMD Radeon(Ryzen 5 5625U) |
3561
|
インテル Iris Xe(Core i5-1335U) |
3132
|
AMD Radeon(Ryzen 5 7530U) |
3064
|
AMD Radeon(レビュー機/最適なパフォーマンス) |
1931
|
AMD Radeon(レビュー機/バランス) |
1921
|
※高品質(ノートPC)/解像度 1920×1080 で実施
ファイナルファンタジーXV[重量級のゲーム]
ファイナルファンタジーXV のベンチマーク結果です。
ファイナルファンタジーXV | |
---|---|
インテル Iris Xe(Core i7-1360P) |
4499
|
インテル Iris Xe(Core i7-1355U) |
3959
|
インテル Iris Xe(Core i5-1340P) |
3860
|
インテル Iris Xe(Core i7-1260P) |
3828
|
AMD Radeon(Ryzen 7 7730U) |
3694
|
インテル Iris Xe(Core i5-1240P) |
3485
|
AMD Radeon(Ryzen 7 5825U) |
3340
|
インテル Iris Xe(Core i7-1255U) |
3174
|
AMD Radeon(Ryzen 5 5625U) |
3141
|
インテル Iris Xe(Core i5-1235U) |
2954
|
AMD Radeon(Ryzen 5 7530U) |
2772
|
インテル Iris Xe(Core i5-1335U) |
2661
|
AMD Radeon(レビュー機/バランス) |
1769
|
AMD Radeon(レビュー機/最適なパフォーマンス) |
1645
|
※軽量品質/解像度 1280×720 で実施
グラフィックスのスコアもスペック相応です。
一般的な使いかた(ネット・メール・オフィスソフト・動画閲覧など)には十分なパフォーマンスです。
ただし、8GBメモリということもあり、複数のソフトを動かしながらオンライン会議を行う場合は厳しいかもしれません。
レビュー機のスペックは あくまでも一般的な使いかたやふだん使い向けであって、オンライン会議でも使うなら Ryzen 5/16GBメモリ以上のスペックをおすすめします。
ストレージ性能
レビュー機のストレージは、NVMe対応の SSD(容量 512GB) が搭載されています。
以下は、データ転送速度の計測結果です。
レビュー機のデータ転送速度
※電源モードを「バランス」に設定したときの計測結果。最適なパフォーマンスでの計測結果も同等です。
計測結果は優秀です。実際の動作としても Windows やアプリの起動は早いです。
総合的なパフォーマンス
PCMark 10 を使って、実際の使用を想定した性能評価を行います。
評価にあたっては、性能レベルの程度を把握するため当サイトでレビューした下記機種のスコアと比較します。
・ThinkBook 15 Gen 5 (AMD)
・Inspiron 14 (5435)
・HP Pavilion 15-eg (2023年モデル)
※当サイトで計測したスコア(パフォーマンスモードに相当した設定でのスコア)
おもなスペックは以下のとおり。
スペック | Inspiron 15 3535 (レビュー機) |
ThinkBook 15 | Inspiron 14 5435 | HP Pavilion 15 |
---|---|---|---|---|
CPU | AMD Ryzen 3 7320U | AMD Ryzen 5 7530U | AMD Ryzen 7 7730U | インテル Core i7-1355U |
メモリ | 8GBメモリ | 16GBメモリ | 16GBメモリ | 16GBメモリ |
ストレージ | 256GB SSD (NVMe) | 512GB SSD (NVMe) | 512GB SSD (NVMe) | 1TB SSD (NVMe) |
グラフィックス | AMD Radeon | AMD Radeon | AMD Radeon | Intel Iris Xe |
ベンチマーク結果は以下のとおり。
Essentials | |
---|---|
Inspiron 15 3535(バランス) |
7139
|
Inspiron 15 3535(最適なパフォーマンス) |
6833
|
ThinkBook 15 |
9405
|
Inspiron 14 5435 |
9495
|
HP Pavilion 15 |
10676
|
目標値 |
4100
|
Productivity | |
Inspiron 15 3535(バランス) |
6714
|
Inspiron 15 3535(最適なパフォーマンス) |
6719
|
ThinkBook 15 |
9629
|
Inspiron 14 5435 |
9546
|
HP Pavilion 15 |
7778
|
目標値 |
4500
|
Digital Contents Creation | |
Inspiron 15 3535(バランス) |
3462
|
Inspiron 15 3535(最適なパフォーマンス) |
3378
|
ThinkBook 15 |
5719
|
Inspiron 14 5435 |
6090
|
HP Pavilion 15 |
6062
|
目標値 |
3450
|
※テスト項目説明
・Essentials(普段の作業を想定した基本的なテスト)
・Productivity(ビジネスソフトの使用を想定したテスト)
・Digital Contents Creation(写真・動画編集を想定したテスト)
※目標値はベンチマークソフト開発メーカーの推奨スコア
レビュー機は、Essentials テストや Productivity テストではまずまずの結果です。やはり、ふだん使いやオフィスソフトの使用をメインとした使いかたが良いでしょう。
写真・動画編集にも使えますが、そのぶん処理時間がかかります。クリエイティブ作業にも使うなら上位スペック(Ryzen 5/16GBメモリ以上)の検討をおすすめします。
なお、比較対象機のスコアはスペックのモデルを検討する際の参考にしてください。
関連記事
バッテリー
バッテリー性能については、レビュー機のバッテリー駆動時間と充電時間を計測・評価します。
■駆動時間の測定条件
・無線LANでインターネットに接続
・YouTubeを全画面で連続再生
・画面の明るさ:最大レベル
・音量:最大レベル
■充電時間の測定条件
・測定開始はバッテリー残量がほぼゼロの状態
・電源アダプターを接続し Windows を起動
・スクリーンセーバー(ラインアート)でパソコンはアイドル状態
※スクリーンタイムアウトや PCスリープは設定しない。
バッテリーの駆動時間と充電時間の測定結果は以下のとおり。
バッテリー駆動時間 | 4時間 46分 |
---|---|
バッテリー充電時間 (50%までの充電時間) |
57分 |
バッテリー充電時間 (80%までの充電時間) |
1時間 33分 |
バッテリー充電時間 (100%までの充電時間) |
2時間 30分 |
バッテリーを多く消費する条件なので、5時間近くバッテリーで駆動できれば十分といえます(バッテリー駆動時間のスペックは非公開)。
バッテリー駆動で使用するときは、画面の明るさを調整するなどバッテリー消費を抑える使いかたが良さそうです。駆動時間をさらに伸ばすことができます。
実際の使用にあたっては、環境や使い方などによりバッテリーの駆動時間は変動するので参考値としてください。
クリエイティブ性能の評価
クリエイティブ性能は RAWデータ現像(JPEGファイル書き出し)と動画エンコードの処理時間で評価します。
評価にあたっては、上記の総合的なパフォーマンスで使用した機種の処理時間と比較します。
・ThinkBook 15 Gen 5 (AMD)
・Inspiron 14 (5435)
・HP Pavilion 15-eg (2023年モデル)
※当サイトで計測した処理時間(パフォーマンスモードに相当した設定での処理時間)
RAWデータ現像
RAWデータ現像に使用したソフトウェアや条件、処理時間は以下のとおりです。
■使用ソフトウェア
CyberLink PhotoDirector
Adobe Photoshop Lightroom
Adobe Photoshop Lightroom Classic
■条件等
・RAWデータ 50ファイルをJPEG形式で一括書き出し
・RAWデータサイズ 4,592×3,056(約14MB)
・プリセット等 編集は適用しない
・ほかのアプリは起動しない(常駐アプリは除く)
PhotoDirector | |
---|---|
Inspiron 15 3535(バランス) |
1分53秒3
|
Inspiron 15 3535(最適なパフォーマンス) |
1分29秒3
|
ThinkBook 15 |
1分0秒3
|
Inspiron 14 5435 |
52秒2
|
HP Pavilion 15 |
44秒8
|
Photoshop Lightroom | |
Inspiron 15 3535(バランス) |
1分3秒2
|
Inspiron 15 3535(最適なパフォーマンス) |
59秒8
|
ThinkBook 15 |
34秒9
|
Inspiron 14 5435 |
32秒5
|
HP Pavilion 15 |
22秒3
|
Lightroom Classic | |
Inspiron 15 3535(バランス) |
1分5秒9
|
Inspiron 15 3535(最適なパフォーマンス) |
1分5秒7
|
ThinkBook 15 |
39秒7
|
Inspiron 14 5435 |
32秒4
|
HP Pavilion 15 |
27秒6
|
動画エンコード
動画エンコードに使用したソフトウェアや条件、処理時間は以下のとおりです。
■使用ソフトウェア
CyberLink PowerDirector
■条件等
・AVCHD動画(1920×1080)を mp4 形式で出力(m2ts→mp4、720p、1280×720/30p 16Mbps)
・動画再生時間 10分間
・ほかのアプリは起動しない(常駐アプリは除く)
PowerDirector | |
---|---|
Inspiron 15 3535(バランス) |
2分40秒2
|
Inspiron 15 3535(最適なパフォーマンス) |
2分42秒7
|
ThinkBook 15 |
2分12秒8
|
Inspiron 14 5435 |
2分7秒6
|
HP Pavilion 15 |
1分57秒3
|
実際のソフトウェアを使った検証でもそれなりに処理時間がかかっています。
写真・動画編集にも使うならスペックアップすることをおすすめします。
駆動音・表面温度のチェック
駆動音のチェック
駆動音は、下記処理中の音量(デシベル)を測定し、評価します
・CPU ベンチマーク「CINEBENCH R20 /マルチ Core」実行中
・10分間動画のエンコード処理中
※一般住宅で周囲の音ができるだけ入らないようにして測定(室温:25℃)
音量計測イメージ
(使用測定器:Meterk SLM01)
■測定結果
モード | アイドル状態 (最小音量) |
最大音量 下段はピーク時の音量推移 |
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---|---|---|---|
ベンチマーク中 | 動画エンコード中 | ||
バランス | 33.6db | 41.4db (40~41db) |
41.5db (40~41db) |
最適なパフォーマンス | 33.7db | 41.0db (39~41db) |
40.4db (39~40db) |
■騒音の目安
騒音の大きさ | 騒音の具体例 |
---|---|
60 デシベル | 走行中の自動車内 普通の会話 デパート店内 |
50 デシベル | 家庭用エアコンの室外機 静かな事務所の中 |
40 デシベル | 閑静な住宅地の昼 図書館内 |
30 デシベル | 深夜の郊外 鉛筆での執筆音 |
20 デシベル | 木の葉の触れ合う音 雪の降る音 |
参考:埼玉県深谷市ホームページ「騒音・振動の規制について」
平常時は静かです。
高負荷な状態では「サーッ」という気流音が大きくなりますが、うるさく感じるほどではありません。
負荷低減後は、30秒くらい経過してから気流音は小さくなりはじめ、2~3分くらい経過するとアイドル時の状態に戻ります。
表面温度のチェック
表面温度については、下記を実施したときの表面温度を測定し評価します。
・アイドル状態で10分放置後
・Youtube 動画 30分間視聴後
・10分間動画のエンコード実行後
※単位:℃、測定時の室温:25℃
※電源とバッテリーの電源モードを「バランス」に設定して実施
※写真の左がキーボード表面、右が底面側の計測結果
■アイドル状態で10分放置
■Youtube 動画 30分間視聴後
■10分間動画エンコード実行後
高負荷な状態ではキーボード奥 左側から中央寄りにかけて温度が上昇します。多少温かさを感じる程度でタイピングに影響はありません。
また、パームレストは負荷状態にかかわらず本体内部の熱の影響を受けにくいので不快に感じることはないと思います。
サウンド チェック
Inspiron 15 (3535) で実際にサウンドを聴いた印象は以下のとおり。
■スピーカー
・低音域から高音域まで広い音域を再現して高音質
・音量を最大にしても音割れしない
・音声もはっきり聴き取れる
■ヘッドホン
・低音域から高音域まで増幅されて臨場感がアップする
・メリハリの効いた厚みのあるサウンドを楽しめる
Windows の起動・再起動 時間計測
Windows の起動、再起動時間を それぞれ 5回ずつ計測しました。
起動 | 再起動 | |
---|---|---|
1回目 | 13.2秒 | 57.4秒 |
2回目 | 12.7秒 | 56.2秒 |
3回目 | 13.1秒 | 55.1秒 |
4回目 | 15.3秒 | 55.3秒 |
5回目 | 12.8秒 | 54.4秒 |
平均 | 13.4秒 | 55.7秒 |
起動は早いですが、再起動は思いのほか時間がかかります。ただ、再起動は頻繁に実行する処理ではないので処理待ちのストレスを感じることはないでしょう。
なお、実際の使用にあたってはインストールしているアプリや Windows の更新など使用状況により時間は変動するので参考値としてください。
同梱品
Inspiron 15 (3535) の本体ほか付属品一式です。
同梱品リスト
・Inspiron 15 (3535) 本体
・電源アダプター
・電源コード
・ドキュメント類
まとめ
以上、Inspiron 15 (3535) のレビュー記事をお届けしました。
Inspiron 15 (3535) は 15.6インチとしてはスリムで比較的軽く、部屋間の移動など取り回しがラクにできるノートパソコンです。
レビュー機は Ryzen 3 搭載モデルのためベンチマーク結果はそれなりに低めのスコアでしたが、ふだん使いには十分なパフォーマンスです。それだけに Ryzen 5/Ryzen 7 搭載モデルではかなりのパフォーマンスが期待できます。
販売価格が 5万円台からと低予算で入手できる点も好印象。まさに価格以上に高性能で高コスパなノートパソコンといえるでしょう。
高評価のポイント
- しっかり使える処理性能
- シンプルながらスタイリッシュなデザイン
- スリムで比較的軽量なので取り回しがラクにできる
- リフトアップヒンジでタイピングしやすいキーボード
- スピーカーは意外に高音質
- 価格以上に高性能で高コスパ
気をつけておきたい点
- Wi-Fi 6 に対応していない
- USB Type-C はデータ転送のみ
- HDMI から出力される映像の最大解像度は 1920×1080 (60Hz) まで
ラインナップモデルや価格などの最新情報はデル直販サイト(デルオンラインストア)をご確認ください。
Inspiron 15 (3535)
税込5万円台から