デル『Inspiron 14 5000 (5480)』の実機レビュー 後編です。
後編は、各種ベンチマークのほか、RAWデータ現像・動画エンコード処理時間計測、起動・再起動時間計測など、『Inspiron 14 5000 (5480)』の性能レビューを行います。
なお、レビューでは「プラチナ」モデルを使用しています。スペックについては「スペック構成」の章をご覧ください。
(後編) ベンチマーク RAWデータ現像・動画エンコード処理時間計測 駆動音・表面温度 サウンド チェック Windows の起動・再起動時間計測 搭載ソフトウェア 付属品 まとめ |
レビュー内容は 2019年1月16日時点のものです。
ベンチマーク
『Inspiron 14 5000 (5480)』の基本性能や総合的なパフォーマンスのほか、CPU、グラフィック、ストレージ、バッテリーの性能を測定します。
基本性能
Windowsに搭載されているシステム評価ツール「WinSATコマンド」と、パソコンの各性能レベルを客観的に評価する「PASS MARK PerformanceTest 9.0」を使用して、パソコンの基本性能を測定します。
WinSAT
「WinSAT」による測定は、PCの性能を相対的に数値化して表現したもので、各項目の説明は次のとおりです。
CPUScore | CPU のスコア |
D3DScore | ゲーム用グラフィックスのスコア ただし、従来のゲーム用グラフィックスのスコアのため Windows 10では計測対象外(9.9というスコアは無視) |
DiskScore | プライマリハードディスクのスコア |
GraphicsScore | グラフィックスのスコア |
MemoryScore | メモリのスコア |
TimeTaken | 前回の評価(「MostRecentAssessment」は直近の評価を表します) |
WinSATAssessmentState | 評価の状態を表す値(1:評価済み、2:要再評価) |
WinSPRLevel | 基本スコア(SPR:System Performance Rating) |
PASS MARK PerformanceTest 9.0
「PASS MARK PerformanceTest 9.0」で計測されたスコアは、全世界のパソコンがアップロードしたスコアと比較、Percentile(パーセンタイル)の数値から自分のパソコンの性能レベルを客観的に把握することができます。
上記の測定結果を例にすると、トータル性能を示す「PassMark Rating」のスコア「3874.6」のパーセンタイルは「79th Percentile」で、計測を行った他のパソコン 79% よりも上位のスコアという意味です。
別な言い方をすると、「PASS MARK PerformanceTest 9.0」で計測しスコアをアップロードした全世界のパソコンのなかで、上位のスコアから 21%(100% - 79%)に位置するスコアということです。
ゲーミングPC やクリエイティブな作業に使うPC などハイレベルなパソコンも混在するなかでもトータル性能は上位クラスに迫るスコアです。
『Inspiron 14 5000 (5480)』(プラチナ)はミドルレンジクラスの位置づけながら、その性能レベルは意外と高いことが分かります。
CPU性能
「CINEBENCH」を使って、CPU性能を測定します。
レビュー機『Inspiron 14 5000 (5480)』(プラチナ)の CPU にはインテル Core i7-8565U プロセッサーが搭載されています。
参考までに、別機種に搭載されていたインテル Core i5-8265U プロセッサーのスコアと比較します。
Core i7-8565U | Core i5-8265U | |
---|---|---|
OpenGL | 77.25 fps | 48.99 fps |
Ref.Match | 99.6 % | 97.8 % |
CPU | 574 cb | 473 cb |
CPU (Single Core) | 158 cb | 160 cb |
MP Ratio | 3.63 x | 2.95 x |
Core i5-8265U プロセッサーを搭載した「プレミアム」モデルとの比較検討の参考にしてください。
なお、OpenGL のスコアの差については、レビュー機に搭載されている専用グラフィックスによるものです。
グラフィック性能
グラフィック性能は以下のベンチマークソフトを使って測定します。
■3DMark
■ドラゴンクエストX
■ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター
3DMark
3DMark のベンチマーク結果です。
各テストの内容は以下のとおり。
Cloud Gate | ホームPCやノートPC向けで DirectX 10 を想定したグラフィックス性能テスト |
---|---|
Night Raid | DirectX 12 を使用したモバイルPCなど低スペックPC向けのグラフィックス性能テスト |
Sky Diver | DirectX 11 を使用したミドルレンジ・ゲーミングノート向けのグラフィックス性能テスト |
Fire Strike | DirectX 11 を使用したハイパフォーマンスゲーミングPC向けのグラフィックス性能テスト |
Time Spy | DirectX 12 を使用したゲーミングPC向けのグラフィックス性能テスト |
ドラゴンクエストX
ドラゴンクエストX ベンチマークの結果です。
標準品質、解像度 1280×720
最高品質、解像度 1280×720
ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター
ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター ベンチマークの結果です。
高品質(ノートPC)、解像度 1280×720、DirectX 11
最高品質 解像度 1280×720、DirectX 11
上記のベンチマークソフトを使ったグラフィック性能の測定結果をみると、『Inspiron 14 5000 (5480)』(プラチナ)のグラフィック性能レベルは、ミドルレンジクラスのノートパソコンとして十分満足できるレベルです。
少し重めのゲームタイトルや写真・動画編集など、ある程度の高度なグラフィック処理もそこそこ快適に楽しめる性能を備えています。
ストレージ
ストレージのベンチマークです。
レビュー機のストレージには Western Digital製の SSD 128GB(PCIe NVMe)と SEAGATE製の HDD 1TB (5400 rpm) がデュアルドライブで搭載されています。
ストレージ情報
(デバイスマネージャーから抜粋)
ドライブ構成は次のようになります。
SSD のデータ転送速度です。
データ転送速度(SSD)
SSD が搭載されていると、測定結果が示す通り Windows や アプリの起動も高速です。
とくに、搭載されている SSD は、対応規格 PCIe / 転送モード NVMe なので、Windows やアプリの起動などストレージへのアクセスは、体感的にも爆速です。
NVMe は、SATA接続の SSD よりも 高速なデータアクセスが可能なインターフェースです。SSD の高速アクセスを活かしてくれるインターフェースなので、Windows や アプリもより高速に起動できます。
HDD のデータ転送速度です。
データ転送速度(HDD)
回転数が 5400rpm の HDD としては平均的なスコアです。
SSD と HDD のデュアルドライブ構成は、Windows や アプリは SSD から素早く起動でき、写真や動画などサイズの大きいデータは HDD にたくさん保存することができる、ストレージとしてコストパフォーマンスに優れた構成です。
総合的なパフォーマンス
「PCMark 8」および「PCMark 10」を使用して、PCのアプリケーション実行における総合的なパフォーマンスを測定します。
PCMark 8(Home Test)
家庭での利用を想定したテストです。
OpenCL対応の Accelerated にて測定
(テスト結果はクリックで拡大表示できます)
PCMark 8(Creative Test)
クリエイティブな利用を想定したテストです。
OpenCL対応の Accelerated にて測定
(テスト結果はクリックで拡大表示できます)
PCMark 10 Extended
PCMark 10 Extended は、以下の 4つの Test Group のテストを実施します。
(テスト結果はクリックで拡大表示できます)
■Essentials(普段の作業を想定した基本的なテスト)
■Productivity(ビジネスソフトの使用を想定したテスト)
■Digital Contents Creation(写真・動画編集を想定したテスト)
■Gaming(ゲーミングソフトの使用を想定したテスト)
総合的なパフォーマンスは、ミドルレンジクラスのノートPC として高い性能レベルです。ミドルレンジクラスのなかでも上位クラスの性能レベルです。
とくに、PCMark 10 Extended では Digital Contents Creation や Gaming を含めすべてのテストグループで良好なスコアで、性能バランスにも優れていることが分かります。(スコア 2000 を快適性の目安としています)
バッテリー
『Inspiron 14 5000 (5480)』に搭載されているバッテリーの性能(駆動時間と充電時間)を測定します。
■駆動時間
バッテリーでの駆動は、次の条件でバッテリーによる駆動時間を計測します。
・無線LANでインターネットに接続
・YouTubeを全画面で連続再生
・画面の明るさ:最大レベル
・音量:最大レベル
■充電時間
バッテリー充電時間の計測は以下の条件で行います。
・測定開始はバッテリー残量がほぼゼロの状態
・電源アダプターを接続し Windows を起動
・スクリーンセーバー(ラインアート)でパソコンはアイドル状態
※スクリーンタイムアウトや PCスリープは設定しない。
バッテリーの駆動時間と充電時間の測定結果は以下のようになります。
バッテリー駆動時間 | 2時間 19分 |
---|---|
バッテリー充電時間 (50%) |
58分 |
バッテリー充電時間 (100%) |
2時間 32分 |
画面の明るさや音量を適正レベルに調整すればバッテリー駆動時間はさらに伸びるとは思いますが、バッテリー性能は高くはないようです。
外出先に持ち出す際には電源アダプターやコードも一緒に持って行ったほうが良いかもしれません。
とくに、バッテリー駆動のときにバッテリー残量が 20% を切ると 10分程度で Windows は休止状態となるので、データ保存や電源コンセントへの接続などの対応をおすすめします。
なお、実際の使用にあたっては、環境や使い方などによりバッテリーの駆動時間は変動するので、参考値としてください。
RAWデータ現像・動画エンコード処理時間計測
『Inspiron 14 5000 (5480)』で、RAWデータ現像と動画エンコードの処理時間を計測します。
RAWデータ現像
RAWデータ現像に使用したソフトウェアや条件、処理時間は以下のとおりです。
■使用ソフトウェア
CyberLink PhotoDirector 7
(筆者所有のソフトウェア)
■条件等
・RAWデータ 50ファイルを一括書き出し
・プリセット等 編集は適用しない
・RAWデータサイズ 4,592×3,056(約14MB)
・ほかのアプリは起動しない(常駐アプリは除く)
■処理時間
出力先 | 処理時間 | メモリ使用量 |
---|---|---|
SSD | 1分17秒3 | 6.8GB |
HDD | 1分 7秒3 | 6.8GB |
※メモリ使用量は処理中の「コミット済みメモリ」(最大値)。
(パソコンがシステム全体で実際に使用しているメモリの使用量)
動画エンコード
動画エンコードに使用したソフトウェアや条件、処理時間は以下のとおりです。
■使用ソフトウェア
CyberLink PowerDirector 15
(筆者所有のソフトウェア)
■条件等
・AVCHD動画(1920×1080)を mp4 形式で出力
(m2ts→mp4、720p、1280×720/30p 16Mbps)
・動画再生時間 10分間
・ほかのアプリは起動しない(常駐アプリは除く)
■処理時間
出力先 | 処理時間 | メモリ使用量 |
---|---|---|
SSD | 4分19秒3 | 6.7GB |
HDD | 4分18秒5 | 6.7GB |
※メモリ使用量は処理中の「コミット済みメモリ」(最大値)。
(パソコンがシステム全体で実際に使用しているメモリの使用量)
レビュー機の『Inspiron 14 5000 (5480)』のスペックを鑑みると処理速度は まずまずの印象です。
ただ、RAW現像に関しては SSD の処理時間が HDD よりも 10秒ほど長くかかっています。測定は2回実施していますが同様の結果でした。(原因は不明です)
RAWデータ現像・動画エンコード処理についてもミドルレンジクラスのノートPC ながら意外にストレスなく快適に使えそうです。
駆動音・表面温度
駆動音については、負荷のかかる処理になると排熱のためファンがフル回転し「サーッ」という排気音が大きくなります。
個人差はありますが耳ざわりに感じるかもしれません。
ただ、負荷が低減して本体内部の温度が下がってくると排気音(ファン音)も静かになります。
平常時は静かである点や、パソコンを使っているあいだ終始負荷のかかる状態が続くわけではないことを考えれば、それほど気にすることはないと思います。
本体の表面温度については、負荷のかかる処理になると、キーボード奥側ヒンジ近くが温かくなります。
また、キーボード上は手のひらを置いてみると温かさを感じる程度、パームレストは本体内部の熱の影響はほとんどないので不快な感じはありません。
キーボードの表面温度(単位:℃)
左側の画像:平常時(Windows起動後10分放置)
右側の画像:動画エンコード時(10分間の動画エンコード終了直前)
底面部の表面温度(単位:℃)
左側の画像:平常時(Windows起動後10分放置)
右側の画像:動画エンコード時(10分間の動画エンコード終了直前)
サウンド チェック
『Inspiron 14 5000 (5480)』は サウンドユーティリティソフト「Waves MaxxAudio Pro」が搭載されています。
Waves MaxxAudio Pro には、サウンドに合わせたプリセットが数多く設定されているほか、スピーカーやヘッドフォンなどサウンドを再生する機器に合わせて、お好みのサウンドにチューニングすることもできますが、微調整しなくても良いくらい初期設定の状態で高音質サウンドを楽しめます。
Waves MaxxAudio Pro サウンド ユーティリティソフト
実際にサウンドを聴いてみた印象としては・・・
■スピーカー
低音域から高音域まで広い音域をカバーした高音質サウンド。
若干低音域が弱い感じがするが音の広がりもあってカジュアルに楽しむなら十分満足できるレベル。
■ヘッドホン
スピーカーのサウンドイメージに、重低音も再現できてサウンド全体に厚みが増し迫力もアップする。
重低音のきいたサウンドを楽しむなら、ヘッドホンがおすすめ。
Windows の起動・再起動時間計測
Windows の起動時間、再起動時間を それぞれ 5回ずつ計測しました。
起動 | 再起動 | |
---|---|---|
1回目 | 16.6秒 | 31.9秒 |
2回目 | 15.9秒 | 32.1秒 |
3回目 | 14.5秒 | 32.2秒 |
4回目 | 14.8秒 | 31.9秒 |
5回目 | 15.0秒 | 28.6秒 |
平均 | 15.4秒 | 31.3秒 |
起動、再起動ともにまずまずの数字といえます。
搭載ソフトウェア
『Inspiron 14 5000 (5480)』に搭載されている主なソフトウェアです。(クリックで拡大表示できます)
Windows標準のソフトのほか、Dell サポート関連ソフト、セキュリティソフト「マカフィー リブセーブ」などがインストールされています。
あらかじめインストールされているソフトウェアとしては必要最低限といった印象です。
付属品
『Inspiron 14 5000 (5480)』の本体ほか同梱品一式(電源アダプター、電源コード、ドキュメント類など)です。
マニュアル類は簡易的でかんたんな内容が記載されている程度ですが、製品の使い方や取り扱いに関する詳細な情報はデル公式サイトで公開されています。
まとめ
以上、『Inspiron 14 5000 (5480)』のレビュー記事をお届けしました。
『Inspiron 14 5000 (5480)』は Whiskey Lake 世代のインテル Core プロセッサーの搭載により、ミドルレンジクラスの位置づけながら性能レベルが意外と高く、動作も軽快で快適に使えます。
持ち運びのしやすさは、13.3インチサイズには及びませんが、画面が一回り大きい分、描画領域が広くなり表示される文字が見やすくなります。
評価のポイントをまとめると・・・
高評価のポイント
・性能レベルが意外と高く動作も軽快で快適に使える
・モバイルも可能な質量(約1.5kg)とサイズ感
・13.3インチサイズにくらべ画面の見やすさに優位性あり
・リーズナブルな価格で高コスパ
チョット残念なところ
・高負荷時の駆動音が大きく感じるかも。
・バッテリー性能は高くない
『Inspiron 14 5000 (5480)』の通常価格は 97,178円~。(税込・配送料込の価格。クーポンの割引率によってはかなりお買い得価格になるときもあります。)
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