革張りデザインの『HP Spectre Folio 13』実機レビュー 後編です。
後編は、『HP Spectre Folio 13』の各種ベンチマークのほか、RAWデータ現像・動画エンコード処理時間計測、起動・シャットダウン時間計測などの性能レビューを行います。
なお、レビューではベーシックモデルを使用しています。
スペック構成については「スペック構成」の章をご覧ください。
(後編) ベンチマーク RAWデータ現像・動画エンコード処理時間計測 駆動音・表面温度 サウンド チェック Windows の起動・再起動・シャットダウン時間計測 搭載ソフトウェア 付属品 まとめ |
レビュー内容は 2018年12月4日時点のものになります。
ベンチマーク
『HP Spectre Folio 13』(ベーシックモデル)の基本性能や総合的なパフォーマンスのほか、CPU、グラフィック、ストレージ、バッテリーの性能を測定します。
基本性能
Windowsに搭載されているシステム評価ツール「WinSATコマンド」と、パソコンの各性能レベルを客観的に評価する「PASS MARK PerformanceTest 9.0」を使用して、パソコンの基本性能を測定します。
WinSAT
「WinSAT」による測定は、PCの性能を相対的に数値化して表現したもので、各項目の説明は次のとおりです。
CPUScore | CPU のスコア |
D3DScore | ゲーム用グラフィックスのスコア ただし、従来のゲーム用グラフィックスのスコアのため Windows 10では計測対象外(9.9というスコアは無視) |
DiskScore | プライマリハードディスクのスコア |
GraphicsScore | グラフィックスのスコア |
MemoryScore | メモリのスコア |
TimeTaken | 前回の評価(「MostRecentAssessment」は直近の評価を表します) |
WinSATAssessmentState | 評価の状態を表す値(1:評価済み、2:要再評価) |
WinSPRLevel | 基本スコア(SPR:System Performance Rating) |
PASS MARK PerformanceTest 9.0
「PASS MARK PerformanceTest 9.0」で計測されたスコアは、全世界のパソコンがアップロードしたスコアと比較、Percentile(パーセンタイル)の数値から自分のパソコンの性能レベルを客観的に把握することができます。
上記の測定結果を例にすると、トータル性能を示す「PassMark Rating」のスコア「2752.2」のパーセンタイルは「63rd Percentile」で、計測を行った他のパソコン 63% よりも上位のスコアという意味です。
別な言い方をすると、「PASS MARK PerformanceTest 9.0」で計測しスコアをアップロードした全世界のパソコンのなかで、上位のスコアから 37%(100% - 63%)に位置するスコアということです。
ゲーミングPC やクリエイティブな作業に使うPC などハイレベルなパソコンも混在するなかでもミドルレンジクラスのスコアです。
レビュー機の『HP Spectre Folio 13』(ベーシックモデル)の基本性能は、2in1 モバイルノートとしてまずまずのレベルといえるでしょう。
CPU性能
「CINEBENCH」を使って、CPU性能を測定します。
レビュー機『HP Spectre Folio 13』の CPU には インテル Core i5-8200Y プロセッサーが搭載されています。
参考までに、以前レビューした別機種に搭載されていた「第8世代インテル Core i5-8250U プロセッサー」「第8世代インテル Core i3-8130U プロセッサー」のスコアと比較します。
Core i5-8200Y | Core i5-8250U | Core i3-8130U | |
---|---|---|---|
OpenGL | 44.80 fps | 47.09 fps | 41.36 fps |
Ref.Match | 97.8 % | 97.8 % | 97.8 % |
CPU | 281 cb | 499 cb | 335 cb |
CPU (Single Core) | 129 cb | 144 cb | 143 cb |
MP Ratio | 2.18 x | 3.47 x | 2.35 x |
超低消費電力の「Yシリーズ」の CPU なので、性能面では多くのノートパソコンに採用されている「Uシリーズ」には及びませんが、ウェブ閲覧やメール、オフィスソフトなど、一般的なビジネスシーンでは快適なパフォーマンスで使える性能レベルです。
グラフィック性能
グラフィック性能は以下のゲーム系ベンチマークソフトを使って測定します。
■3DMark
■ドラゴンクエストX
■ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター
3DMark
3DMark は、「CLOUD GATE」「NIGHT RAID」「SKY DIVER」「FIRE STRIKE」「TIME SPY」、各シーンについてグラフィック性能を測定します。
結果は以下のとおり。
ドラゴンクエストX
ドラゴンクエストX ベンチマークの結果です。
標準品質、解像度 1280×720
最高品質、解像度 1280×720
ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター
ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター ベンチマークの結果です。
標準品質(ノートPC)、解像度 1280×720、DirectX 11
高品質(ノートPC)、解像度 1280×720、DirectX 11
上記のベンチマークソフトを使ったグラフィック性能の測定結果をみると、『HP Spectre Folio 13』(ベーシックモデル)のグラフィック性能はそれなりです。
とはいえ、ふだん使いでの映像描画や動画視聴はもちろんのこと、ビジネスシーンでのビデオチャットなど、充分快適に使える性能レベルです。
ストレージ
ストレージのベンチマークです。
レビュー機に搭載されているストレージは 東芝製の SSD(PCIe NVMe M.2)で容量は 512GB です。(製品により SSD のメーカーが異なる場合もあります)
ストレージ情報
ドライブ構成は次のようになります。
ストレージのデータ転送速度の測定結果です。
データ転送速度
SSD が搭載されていると、測定結果が示す通り Windows や アプリの起動も高速です。
とくに、『HP Spectre Folio 13』に搭載されている SSD は、対応規格 PCIe / 転送モード NVMe なので、Windows やアプリの起動などストレージへのアクセスは、体感的にも爆速です。
NVMe は、SATA接続の SSD よりも 高速なデータアクセスが可能なインターフェースです。SSD の高速アクセスを活かしてくれるインターフェースなので、Windows や アプリもより高速に起動できます。
総合的なパフォーマンス
「PCMark 8」および「PCMark 10」を使用して、PCのアプリケーション実行における総合的なパフォーマンスを測定します。
PCMark 8(Home Test)
家庭での利用を想定したテストです。
PCMark 8(Home Test) OpenCL対応の Accelerated にて測定
(テスト結果はクリックで拡大表示できます)
PCMark 8(Creative Test)
クリエイティブな利用を想定したテストです。
PCMark 8(Creative Test) OpenCL対応の Accelerated にて測定
(テスト結果はクリックで拡大表示できます)
PCMark 10 Extended
PCMark 10 Extended は、以下の 4つの Test Group のテストを実施します。
(テスト結果はクリックで拡大表示できます)
■Essentials(普段の作業を想定した基本的なテスト)
■Productivity(ビジネスソフトの使用を想定したテスト)
■Digital Contents Creation(写真・動画編集を想定したテスト)
■Gaming(ゲーミングソフトの使用を想定したテスト)
総合的なパフォーマンスとしては、モバイルノートとして快適なパフォーマンスが期待できるスコアです。
とくに、PCMark 10 Extended では Essentials や Productivity では良好なスコアですし、Digital Contents Creation でも思いのほか良好なスコアです。(スコア 2000 を快適性の目安としています)
バッテリー
『HP Spectre Folio 13』に搭載されているバッテリーの性能(駆動時間と充電時間)を測定します。
■駆動時間
バッテリーでの駆動は、次の条件でバッテリーによる駆動時間を計測します。
・無線LANでインターネットに接続
・YouTubeを全画面で連続再生
・画面の明るさ:最大レベル
・音量:最大レベル
■充電時間
バッテリー充電時間の計測は以下の条件で行います。
・測定開始はバッテリー残量がほぼゼロの状態
・電源アダプターを接続し Windows を起動
・スクリーンセーバー(ラインアート)でパソコンはアイドル状態
※スクリーンタイムアウトや PCスリープは設定しない。
バッテリーの駆動時間と充電時間の測定結果は以下のようになります。
バッテリーの残量は、大よその数字で 1時間当たり 6% ~ 8% 減少しています。
バッテリーによる駆動は 13時間11分経過後、Windows がバッテリー不足を検知し、パソコンは休止状態になりました。
バッテリーを多く消費する条件ながら、バッテリー駆動時間が 13時間を超えるのは驚異的!長時間の外出でもバッテリーを気にすることなく使えます。
バッテリー充電については、50%まで充電するのに 34分、充電完了までの所要時間は 2時間23分でした。
50%までの充電時間は短く、急速充電にも対応しており、バッテリー駆動とあわせ、その性能はかなり高いレベルといえます。
なお、実際の使用にあたっては、環境や使い方などによりバッテリーの駆動時間は変動するので、参考値としてください。
RAWデータ現像・動画エンコード処理時間計測
『HP Spectre Folio 13』は、本格的な写真・動画編集には不向きですが、その性能レベルを把握するために RAWデータ現像と動画エンコードの処理時間を計測します。
RAWデータ現像
RAWデータ現像に使用したソフトウェアや条件、処理時間は以下のとおりです。
■使用ソフトウェア
CyberLink PhotoDirector 7
(筆者所有のソフトウェア)
■条件等
・RAWデータ 50ファイルを一括書き出し
・プリセット等 編集は適用しない
・RAWデータサイズ 4,592×3,056(約14MB)
・ほかのアプリは起動しない(常駐アプリは除く)
■処理時間
処理時間 | メモリ使用量 |
---|---|
1分 28秒3 | 3.5GB |
※メモリ使用量は処理中の「コミット済みメモリ」(最大値)。
(パソコンがシステム全体で実際に使用しているメモリの使用量)
動画エンコード
動画エンコードに使用したソフトウェアや条件、処理時間は以下のとおりです。
■使用ソフトウェア
CyberLink PowerDirector 15
(筆者所有のソフトウェア)
■条件等
・AVCHD動画(1920×1080)を mp4 形式で出力
(m2ts→mp4、720p、1280×720/30p 16Mbps)
・動画再生時間 10分間
・ほかのアプリは起動しない(常駐アプリは除く)
■処理時間
処理時間 | メモリ使用量 |
---|---|
8分34秒35 | 3.7GB |
※メモリ使用量は処理中の「コミット済みメモリ」(最大値)。
(パソコンがシステム全体で実際に使用しているメモリの使用量)
参考までにハイスペックなクリエイティブ PC にくらべると 2倍から4倍の処理時間がかかります。
駆動音・表面温度
駆動音については、ファンレスCPU を搭載しているので負荷のかかる処理中でも静かです。
本体の表面温度については、負荷のかかる処理になると、ヒンジ近くが少し熱くなります。
ただ、キーボード上は手のひらを置いて温かさを感じる程度、パームレストは本体内部の熱の影響はないので不快な感じはありません。
底面部については、ヒンジ位置のあたりが少し熱くなります。手前側はわずかに温かさを感じる程度ですが、膝の上での長時間の作業は避けたほうが良いかもしれません。
キーボードの表面温度(単位:℃)
左側の画像:平常時(Windows起動後10分放置)
右側の画像:動画エンコード時(10分間の動画エンコード終了直前)
底面部の表面温度(単位:℃)
左側の画像:平常時(Windows起動後10分放置)
右側の画像:動画エンコード時(10分間の動画エンコード終了直前)
サウンド チェック
『HP Spectre Folio 13』は、BANG & OLUFSEN サウンドシステムを搭載、スピーカーは Bang & Olufsen クアッドスピーカーを内蔵しています。
音質を調整できるユーティリティソフトもインストールされています。
サウンドに合わせて最適化されたプリセット機能やお好みで微調整できるイコライジング機能も搭載されています。
実際にサウンドを聴いてみた印象としては・・・
■スピーカー
低音域から高音域まで広い音域をカバーした高音質サウンド。音の広がりもある。
カジュアルに高音質なサウンドを楽しめる。
低音域が若干弱い感じがするが、必要に応じて、低音、高音、イコライザーで調整できる。
■ヘッドホン
スピーカーのサウンドイメージに、重低音もしっかり再生されてサウンド全体に厚みが増し迫力もアップする。
重低音のきいたサウンドを楽しむなら、ヘッドホンがおすすめ。
スピーカーは、カジュアルに高音質サウンドも楽しめる。
Windows の起動・再起動・シャットダウン時間計測
Windows の起動時間、再起動時間、シャットダウン時間を それぞれ 5回ずつ計測しました。
起動 | 再起動 | シャットダウン | |
---|---|---|---|
1回目 | 32.2秒 | 41.5秒 | 12.5秒 |
2回目 | 33.4秒 | 38.2秒 | 11.7秒 |
3回目 | 33.5秒 | 38.0秒 | 11.8秒 |
4回目 | 34.3秒 | 41.8秒 | 12.0秒 |
5回目 | 33.3秒 | 38.5秒 | 11.9秒 |
平均 | 33.3秒 | 39.6秒 | 12.0秒 |
Spectre シリーズとしては少し時間がかかる印象ですが、許容できる範囲といえるでしょう。
搭載ソフトウェア
『HP Spectre Folio 13』に搭載されている主なソフトウェアです。(クリックで拡大表示できます)
Windows標準のソフトのほか、HPヘルプ&サポートソフト、セキュリティソフト「マカフィー リブセーブ」などがインストールされています。
インストールされているソフトウェアは必要最低限といった印象です。
なお、レビュー機には Word、Excel、PowerPointなどマイクロソフトオフィスがインストールされていましたが、記事作成時点でマイクロソフトオフィスのカスタマイズはできないようです。(オフィス互換ソフト「WPS Office Standard Edition」のカスタマイズは可)
付属品
『HP Spectre Folio 13』は専用の化粧箱の中に入っています。(外箱のなかに化粧箱が梱包されています)
化粧箱はオシャレで高級感があります。
『HP Spectre Folio 13』の本体ほか同梱品一式(電源アダプター、電源コード、ドキュメント類など)です。
矢印の指すのは「USB Type-C to USB A変換アダプター」
付属しているドキュメント類です。
【上記写真のドキュメント類について】 ■上段右側から ・クイックスタート ・パソコン生活まるごと ガイドブック ・サービスおよびサポートを受けるには ・将来の下取りでプレミアムキャッシュバック受け取りの案内 ■下段右側から ・速攻!HPパソコンナビ 特別編 ・製品の仕様に関する注意事項 ・アンケートの案内 ・お友達・ご家族紹介キャンペーン |
まとめ
以上、『HP Spectre Folio 13』のレビュー記事をお届けしました。
世界初の本革仕様の革張りモバイルノートには目を惹きつけられます。
画面を閉じた状態では、ぱっと見、システム手帳のようにも見えますが、画面を開けばノートパソコンに。そしてタブレットにもスタイルを変えられる。まさにデキる大人を演出してくれるデバイスです。
性能面では、写真・動画編集のような高負荷の処理は苦手とするものの、モバイルノートとしての性能レベルは高く、本革張りのデザインは圧倒的な所有満足度を得られます。
評価のポイントをまとめると・・・
高評価のポイント
・本革仕様で洗練されたデザイン、圧倒的所有感を得られる
・手触り感も良くスタイルも変えやすい
・使い込むほどに本革特有の風合いも期待できる
チョット残念なところ
・靴や鞄と同じ革製品なのでこまめな手入れが必要
『HP Spectre Folio 13』の価格は 183,384円(税込)~。
性能よりデザインを重視、圧倒的な所有満足度が得られるモデルといえるでしょう。
なお、価格やキャンペーンなどの最新情報は、日本HPの直販サイト「HP Directplus」をご確認ください。
日本HP直販「HP Directplus」公式サイト ⇒ 『HP Spectre Folio 13』 製品ページ |
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