日本HP『HP ENVY 12 x2』実機レビュー 前編です。
『HP ENVY 12 x2』は、タブレットとキーボードが着脱するタイプの 12.3インチサイズの 2in1 タブレットPC です。
インテル Core i5-7Y54 プロセッサーや 8GBメモリ、256GB SSD の搭載により、タブレットPC としての性能レベルも高いモデルです。
また、4G LTE の SIMフリーにも対応しているのでスマホと同じように場所を選ばず高速なインターネット接続も可能、さらに同梱のアクティブペンでいつでも思いついたアイディアもメモできるなど、使いやすさと利便性にも優れています。
テレワークなど場所や時間にとらわれない柔軟な働き方にもマッチしたパソコンといえるでしょう。
前編は、外観デザインや、スペック、ディスプレイ、キーボード、アクティブペンなどのレビューのほか、iPad Pro との比較を行います。
なお、後編では、『HP ENVY x2 12-g000』の性能レビューを行います。
(後編) ベンチマーク 駆動音・表面温度 サウンド チェック Windows の起動・再起動・シャットダウン時間計測 搭載ソフトウェア 付属品 まとめ |
レビュー内容は 2018年8月29日時点のものになります。
<参考>
『HP ENVY 12 x2』のシリーズ名は「HP ENVY x2 12-g000」です。
スペックとしては「標準モデル」の 1種類のみですが、IIJmio データ通信専用 SIM がセットになったモデルもラインナップしています。
スペック構成については「スペックについて」の章をご覧ください。
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外観について
『HP ENVY 12 x2』は洗練されたスッキリとしたデザイン。
タブレットとキーボードはマグネットで装着されており、キーボードはタブレットの背面側もカバーしてくれるので、持ち歩くときでもキズや汚れを防いでくれます。
キーボードのカラーは「オックスフォードブルー」。ブラックに近い濃紺といったイメージです。
また、キーボードはタブレットのスタンドの役割も兼ねており、タブレットの角度が 3段階で「ノートブックモード」「リーディングモード」「タブレットモード」に切り替えできます。
ノートブックモード
リーディングモード
タブレットモード
タブレットモードへの切り替えは、キーボードを取り外す必要なくキーボードのカバーを折りたたむことで切り替えられます。(タブレットとキーボードのコネクタ部分は切り離します)
タブレットモードにすると、タブレットに適度な角度ができるのでペンも描きやすいです。
タブレットとキーボードのコネクタ部分です。
なお、タブレットとキーボードはマグネットで固定されているだけです。着脱は Windows起動中でも可能です。
タブレットとキーボードを装着した状態で天面を見てみます。
底面側です。
キーボードカバーの素材はレザー調に作られたいわゆるフェイクレザーですが、すこしボコボコとした加工が施されていて質感も良く手になじむ感触です。
ちなみに、キーボードカバーの内側にはアルミニウムが採用されており、たわみにも強いです。
タブレットの背面側です。
次に、インターフェース等を見てみます。
右側面のインターフェース類です。
①nanoSIMカードスロット(トレイタイプ)
②音量ボタン
③USB Type-C 3.1 Gen1
(電源オフUSBチャージ機能対応)
nanoSIMカードスロットは同梱されているピンを使ってトレイを引き出し、nanoSIMカードを装着します。
左側面のインターフェース類です。
④microSDカードスロット(トレイタイプ)
⑤USB Type-C 3.1 Gen1
(電源オフUSBチャージ機能対応)
⑥ヘッドフォン出力 /
マイク入力コンボポート
microSDカードスロットは、nanoSIMカードスロットと同じように同梱されているピンを使ってトレイを引き出し、microSDカードを装着します。
上部側のインターフェース類です。
⑦電源ボタン
⑧デュアルマイク
Webカメラです。
IRカメラ(赤外線カメラ)も搭載しているので、顔認証でかんたんに Windows にサインインできます。
IRカメラの認証精度は良好です。
外出先で使うときもセキュリティを確保しつつ、わずらわしいパスワード入力をせずに Windows に かんたんにサインインできるので利便性が高まります。
カメラは背面側にも実装されています。
スピーカーには Bang & Olufsen デュアルスピーカーを搭載しています。
矢印の指すところがスピーカー
(場所を分かりやすくすために照明をあてています)
本体の高さを CD ケース(通常サイズ)1枚の厚さと比べてみます。
キーボード装着時の高さ
タブレットのみの高さ
実測値は、キーボード装着時が 15.5mm、タブレットのみの高さが 9mm です。実際に手で持ってみた印象としても「とても薄い」です。
本体の大きさのイメージです。本体の下に A4コピー用紙を置き、本体の上には B5版ノートを載せています。
ピンクの点線が A4コピー用紙
本体の大きさは A4 サイズといって良いでしょう。
次に、本体や電源アダプターなどの重さを計測してみます。
本体(タブレット+キーボード)の重さは 1,243g。電源アダプター、電源コードの重さは、それぞれ 174g、117g です。
なお、タブレットとキーボードの重さは、それぞれ 783g、460g です。
本体は、タブレットとキーボードを一緒にしても軽く、持ち歩きもラクにできます。
電源アダプターの最大出力は 約45W(15V, 3A / 20V, 2.25A)です。
省電力タイプの電源アダプターなので、その大きさは手のひらサイズです。
スペックについて
レビューに使用した『HP ENVY 12 x2』のスペックです。
OS | Windows 10 Home (64bit) |
CPU | インテル Core i5-7Y54 プロセッサー |
メモリ | 8GB オンボード (1866MHz,LPDDR3 SDRAM) |
ストレージ | 256GB SSD (PCIe NVMe M.2) |
ディスプレイ | 12.3インチ・WUXGA+ブライトビュー・IPSタッチディスプレイ (1920×1280 / 最大1677万色 / 400nit / 188ppi) |
グラフィックス | インテル HD グラフィックス 615 (CPU に内蔵) |
ワイヤレス | IEEE802.11a/b/g/n/ac、Intel XMM 7360 LTE Advanced(GPS機能付き)、Bluetooth 4.2 |
Webカメラ | フロントカメラ:HP Wide Vision HD Webcam (約500万画素) / IRカメラ リアカメラ:HP 13MP Webcam (約1300万画素) |
オーディオ | Audio by Bang & Olufsen デュアルスピーカー、Realtek HighDefinition Audio準拠、内蔵デュアルマイク |
本体サイズ(W×D×H) | タブレット:約 293×209×8.5 mm タブレット+キーボードドック:約 293×214×15.5 mm |
質量 | タブレット:約 778 g タブレット+キーボードドック:約 1.24 kg |
CPUやメモリなど、ハードウェアの詳細な情報をキャプチャーした結果は次のようになります。
CPU
キャッシュ
メインボード
メモリ
グラフィックス(CPU内蔵)
CPU に搭載されているインテル Core i5-7Y54 プロセッサーはファンレス構造に対応した超省電力タイプのプロセッサーです。ファンなどの駆動音がしないので静音性にも優れ静かな環境でも周囲に気兼ねすることなく使えます。
また、8GBメモリや NVMe対応の SSD など、タブレットPC として快適で軽快な動作が期待できるスペック構成です。
ディスプレイ
『HP ENVY 12 x2』のディスプレイは 12.3インチサイズの フルHD液晶ディスプレイです。
高精細な解像度にくわえ高輝度なブライトビューディスプレイに描画される映像はきめ細やかで鮮やか、とてもキレイです。
ディスプレイの映り込み具合を見てみます。
光沢液晶ですが高輝度なので映り込みは かなり低減されています。
次に、視野角を確認してみます。
正面
右側 ディスプレイ面から45度の角度
右側 ディスプレイ面から30度の角度
上側 ディスプレイ面から45度の角度
上側 ディスプレイ面から30度の角度
水平、垂直方向ともに視野角は広く、斜めからでも鮮やかでキレイな映像を見ることができます。
次に、ディスプレイに表示される文字の大きさを確認してみます。
下の画像は、Microsoft Edge に『HP ENVY 12 x2』の製品ページを表示したものです。
Microsoft Edge の拡大設定でのデフォルト値は 100%、Windows 設定のディスプレイに表示するテキストスケーリングの推奨値は 150% です。
表示される文字の大きさは、筆者のように小さい文字が苦手なユーザーでもラクに見ることができる大きさです。
キーボード&タッチパッド
キーボードドック
『HP ENVY 12 x2』のキーボードのレイアウトです。
キーボードは英語配列です。
漢字入力モードへは、IMEのアイコンクリックや[shift]+[caps lock]キー押下で切り替え可能ですが、若干のわずらわしさがあります。記号の一部が日本語配列と異なっている点もチェックが必要です。
とはいえ、見た目がスッキリしてキーのサイズも大きく見えるのが英語配列の魅力の一つでもあります。
パームレストは外側と同じレザー調で、質感も良く手のひらにもなじみます。
キートップの表面は少しへこんでいてサラサラとした感触です。指先のフィット感は良好です。
キーストロークは浅くなくシッカリとした打鍵感でタイピングできます。
キーピッチ(キートップの中心から隣りのキートップの中心までの距離)は実測で およそ19mm。ゆったりとした感じで窮屈さはありません。
タイピングしやすいキーボードですが、英語配列であることはチェックしておいた方が良いでしょう。(とはいえ、キーボードは慣れれば違和感もなくなってくるものです。)
キーボードにはバックライトが搭載されています。
バックライト点灯
キーボード・バックライトは[F5]キー押下により 点灯/消灯 を切り替えられます。
キーボードのバックライトは地味な機能ですが、薄暗いところでタイピングするときにはとても役立ちます。
次がタッチパッド。
タッチパッドはクリックボタンが一体化したタイプで、タッチパッドの大きさもちょうど良いサイズです。
いたって普通のタッチパッドですが、タッチパッドは手触り感も良好、なめらかなスベリで指2本あるいは3本を使ってのジェスチャー操作もスムーズです。全体的に扱いやすい印象です。
タイピング中に手のひらがタッチパッドに触れても反応しない(タップ操作と認識しない)点も好印象です。
アクティブペン
『HP ENVY 12 x2』にはアクティブペンが同梱されています。
アクティブペンは、1,024段階の筆圧検知に対応しています。
ペンに実装されているボタンは親指のかかる箇所に 2つ。ユーティリティソフト「HP Pen Control」で、使い方に合わせた機能を割り当てることができます。
HP Pen Control
アクティブペンの重さは 17g。アクティブペンとしては軽めです。なお、ペンの電源は単6電池 1個です。
アクティブペンの描き心地はとてもなめらか。描画のレスポンスも良好です。
鉛筆で描くような感覚で筆圧を変えて描けば、線の濃さも自在に変えて描くことができるので、思いついたアイディアや作業メモも手軽に分かりやすく作成することができます。
iPad Pro との比較
「HP ENVY 12 x2」は、スペックや価格面から「iPad Pro」をライバル機の一つとしています。
そもそも、Windows 10 と iOS といった OS の違いや、「HP ENVY 12 x2」のベースはノートパソコンで「iPad Pro」のベースはタブレットであるなど、単純に比較できない部分が多くありますが、ここでは「HP ENVY 12 x2」と「iPad Pro」をかんたんに比較し、選ぶときのポイントについて解説します。
前編はこの章が最後ですので、「iPad Pro」との比較に興味がない人は 後編『HP ENVY 12 x2』性能レビュー へどうぞ。
スペック&価格比較
HP ENVY 12 x2 | iPad Pro | |
---|---|---|
OS | Windows 10 Home (64bit) | iOS 11 |
CPU | インテル Core i5-7Y54 プロセッサー | A10X |
メモリ | 8GB | 4GB |
ストレージ | 256GB SSD | 256GB SSD(64GB、512GB モデルも有り) |
ディスプレイ | 12.3インチ WUXGA+ブライトビュー・IPSタッチディスプレイ (解像度 1920×1280) | 12.9インチ Multi-Touch Retinaディスプレイ(解像度 2732×2048) |
ワイヤレス | WiFi(802.11a/b/g/n/ac)+ LTE、Bluetooth4.2 | WiFi(802.11a/b/g/n/ac)+ LTE、Bluetooth4.2 |
キーボード | 英語配列(同梱) | 英語配列(オプション) |
セキュリティ | Windows Hello 対応(顔認証) | 指紋認証 |
インターフェース | USB Type-C 3.1 ×2 | Lightning(Apple 独自のインターフェース) |
本体サイズ(W×D×H) | タブレット:約 293×209×8.5 mm タブレット+キーボードドック:約 293×214×15.5 mm |
305.7×220.6×6.9 mm |
本体質量 | タブレット:約 778 g タブレット+キーボードドック:約 1.24 kg |
Wi-Fiモデル:677 g Wi-Fi+Cellularモデル:692 g Smart Keyboard(オプション):330 g(実測値) |
バッテリー | 約 17 時間 | 約 10 時間 |
選ぶときのポイント
OS が「Windows 10」「iOS 11」と大きな違いはありますが、まず大切なポイントは、「パソコン・タブレットどちらのスタイルをメインとして使うか」です。
たとえば、どちらのスタイルも同じくらいの使用頻度ならパソコンをメインのスタイルとしてとして「HP ENVY 12 x2」を考えたほうが良いですし、パソコンとしてのスタイルをメインに考えていて iPad にもこだわりを感じるなら MacBook を選んだほうが良いと思います。
また、場所や時間にとらわれない柔軟な働き方、いわゆるテレワークなどでオフィスソフトが重要なファクタであるならば「HP ENVY 12 x2」のほうが有利です。
要は、さまざまなシーンにおいて、できる限り同じデバイス環境(パソコン/タブレット、Windows/iOS など)で使えるかということで、「自身にとっての重要なファクタで活用しやすいデバイスはどれか?」という観点が選ぶときの大きなポイントといえます。
レビュー前編は以上です。
後編では、『HP ENVY 12 x2』の機能・性能についてレビューしています。
日本HP直販「HP Directplus」公式サイト ⇒ 『HP ENVY 12 x2』 製品ページ |