HP EliteBook 850 G8 レビュー：実用性にすぐれた高性能で高品質な 15.6型スタンダードノートPC

HP EliteBook 850 G8 は、第11世代インテル Core プロセッサーを搭載した 15.6型ノートPCです。

CNCアルミ削り出しの筐体に高性能なスペックを搭載。ベンチマークによる性能評価では少しひかえめな印象もありましたが、総合的にはさまざまなビジネスシーンでシッカリ活用できるモデルです。

また、システム全体の品質レベルが高く、セキュリティ機能も充実しており、ビジネス向けとしての実用性にもすぐれています。

レビューではメーカーからお借りした実機を使用し、前半で外観デザイン／ディスプレイ／キーボードなどをチェック、後半では各種ベンチマークを使った性能評価を行います。

レビューは 2022年4月12日時点の内容です。

 

スペック構成

HP EliteBook 850 G8 のおもなスペックは以下のとおり。

HP EliteBook 850 G8 は、大きくわけて Core i5 搭載モデルと Core i7 搭載モデルがラインナップしています。

プロセッサーナンバーの大きい CPU の搭載モデルは記事執筆時点でラインナップしていませんが、現在販売中のモデルから置き換わる可能性が考えられます。

それぞれのモデルの詳細なスペック構成や価格など最新情報は日本HP公式サイトをご確認ください。

※HP EliteBook 850 G8 は法人向け PC ですが、個人ユーザーや SOHO、フリーランスのユーザーも購入できます。

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外観チェック

スタイリッシュなデザイン

HP EliteBook 850 G8 は、15.6インチサイズながらスリムでスタイリッシュなデザインです。

筐体の素材はアルミニウム。アルミニウムの塊から CNC削り出しで成型された本体は堅牢性（頑丈さ）にすぐれています。

高級感ある仕上がり

天面の hpスラッシュロゴと ヒンジあいだの ELITEBOOK がアクセント

15.6インチの大画面ノートでもスリムでスタイリッシュなフォルムです。

スリムなボディ

スタイリッシュなフォルム

天面とキーボード面はΣ（シグマ）フォルムで指のかかりやすいデザインです。

指がかかりやすいフィルムなので天面を開きやすい

排気口はヒンジのあいだに実装されています。本体の左右にモノを置いても排熱で温められることはありません。

排気口

底面部は剛性を重視した「ユニボディ」の構造で、見た目もスッキリしています。

ゴム足は前後に平行して実装されています。少し硬めのゴム足ですが本体の安定感は良好です。

必要十分なインターフェース

HP EliteBook 850 G8 のインターフェースをチェックします。

左側面のインターフェースなど各部名称です。

①セキュリティロック ケーブル用スロット

②USB Type-Aポート (パワーオフUSB充電対応)

③コンボステレオ ヘッドフォン/ マイクジャック

④スマートカードリーダー（日本では未使用）

右側面のインターフェースなど各部名称です。

⑤nano SIMスロット

⑥USB Type-C ポート×2 (Thunderbolt4対応）

⑦HDMI

⑧USB Type-Aポート

⑨電源コネクター

 

HP EliteBook 850 G8 は必要なインターフェースを実装しています。一般的な使いかたであれば十分といえるでしょう。

ただし、LANポートが実装されていないところはチェックが必要です。

 

nano SIMカードスロットはプッシュロック式です。爪などでスロットを押し込むとトレイが出てきます。

nano SIMカードスロット

トレイを収納するときは「カチッ」と音がするまで押し込みます。

また、USB Type-C コネクタは映像出力や PD充電器に対応しています。

■USB Type-C 対応表（当サイトの検証結果）
※2ポート共通

映像出力	〇
PD充電器（30W）	△（低速）
PD充電器（45W）	〇
PD充電器（65W）	〇

 

なお、PD充電器でも上記のとおり充電は可能ですが、純正品以外の場合、画面右下に以下のメッセージが表示されます。

電源ボタンはキーボード上にレイアウト

電源ボタンはキーの一部として［delete］キーの左隣りにレイアウトされています。

電源ボタンは LED内蔵

使用中に間違って電源ボタンを押しても無反応です。作業中のデータが破棄されることはありません。ただし、1,2秒程度の長押しはスリープへ移行し、さらに長押しすると強制的に電源オフされます。

スピーカーはキーボード奥に実装

スピーカーはキーボード奥に実装されています。

キーボード奥にスピーカー

Bang & Olufsen 監修によるスピーカーで、低音域から高音域まで広い音域を再現しており高音質です。音声も聞き取りやすいスピーカーです。

顔認証や指紋認証でかんたんサインイン

HP EliteBook 850 G8 は顔認証カメラと指紋センサーを標準搭載しています。

顔認証と指紋認証は併用が可能で、認証精度はいずれも良好です。Windows へのサインインもスムーズです。

顔認証でサインイン

指紋認証でサインイン

プライバシーシャッター搭載

カメラを遮断できる「プライバシーシャッター」も標準搭載されています。

上の画像：シャッターを開いてカメラ有効
下の画像：シャッターを閉じてカメラを遮断している
カメラの上側に切り替えスイッチがある

細長い形状のスライドスイッチでシャッターを開閉しますが、スムーズに操作できます。

また、マイクはカメラの両サイドのほか天面にも実装されています。

天面のマイク

15.6インチサイズでも、そこそこスリムで軽量

本体の大きさのイメージです。本体の上に A4コピー用紙と B5版ノートを載せています。

本体を閉じたときの高さのイメージです。

本体の高さを CD ケース（通常サイズ）2枚と比較
（通常サイズの CDケースの厚さは 10mm）

ゴム足を含めた本体の高さは実測でおよそ 17.5～23mm (最厚部)。15.6インチサイズながら意外にスリムで CDケース 2枚より少し厚みのある程度です。

本体や電源アダプターなどの重量を実測します。

・本体：1,736g
・電源アダプター：169g
・電源コード：65g

本体の重量は一般的な 15.6インチノートにくらべ軽量です。（一般的な15.6インチノートは 2kgくらい）

外出先への持ち運びはキビシイですが、部屋間の移動はラクにできる重量感です。

電源アダプターの最大出力は 45W。その大きさは手のひらに収まるサイズです。

 

ディスプレイのチェック

液晶ディスプレイは自然な色合い

レビュー機の液晶は InfoVision製のフルHD液晶パネルです（解像度 1920×1080）。

画像の表示例

テキストの表示例

トーンカーブは、緩やかにカーブしていますが理想的な 45度の角度に近い形状です。

トーンカーブ
（キャリブレーションツール「i1Display Pro」で計測）

輝度はディスプレイの明るさ設定 100 のとき「843 nits」。なお、パネル仕様では 輝度 1000 nits。測定値は少し低めですが、見た目にはとても明るくかなりの高輝度です。

 

色域の計測結果です。

色域
（色度図作成ソフト「ColorAC」にて作成）

規格	カバー率	比
sRGB	98.5%	106.3%
Adobe RGB	77.2%	78.8%

 

レビュー機の液晶は高輝度で広色域、描画される映像は自然な色合いで色再現性にもすぐれています。

 

調光センサーで画面の明るさを自動調整できる

HP ProBook 635 Aero G8 は、アンビエントライト (調光) センサーを搭載しています。

使用環境の明るさに応じて画面の明るさを自動調整する機能で、調光センサーの有効／無効はディスプレイの設定で切り替え可能です。

 

狭額ベゼルで画面周りスッキリ

ベゼルは狭額縁です。

15.6インチの大画面ながら左右のベゼルは鉛筆の太さと同じくらいの幅で画面周りがスッキリしています。

 

映り込みは気にならない

ディスプレイの映り込み具合をチェックします。

上記写真のとおり非光沢液晶は画面への映り込みはほとんど気になりません。眼への負担も軽減できます。

 

プライバシースクリーンで のぞき見防止

レビュー機の液晶パネルはプライバシースクリーンを内蔵しています。

プライバシースクリーンを有効にすれば 斜めから のぞき見されることはありません。（プライバシースクリーンの切り替えは［f2］キー）

正面（左がプライバシースクリーン無効／右が有効）

横方向 斜め45度の角度
（左がプライバシースクリーン無効／右が有効）

縦方向 斜め45度の角度
（左がプライバシースクリーン無効／右が有効）

縦方向も対応しているところもポイントで、オフィスなどで作業しているときに、となりやうしろにいる人からの のぞき見を防止できます。

視野角は広いが斜めからは少し見えにくい

視野角をチェックします。

※プライバシースクリーン機能はオフにしてチェック

正面

右側 ディスプレイ面から30度の角度

上側 ディスプレイ面から30度の角度

水平方向、垂直方向ともに視野角は広いですが、プライバシースクリーン内蔵のためか映像内容は把握できるものの少し見えにくいです。

ディスプレイを開ける角度は広い

ディスプレイを開くことができる最大角度は 約165度。

クラムシェルタイプのノートパソコンながら、かなり広い範囲をカバーしています。

 

キーボード＆タッチパッドのチェック

タイピングしやすいキーボード

HP EliteBook 850 G8 のキーボードレイアウトは標準的です。

（クリックで拡大表示できます）

キーピッチ（キートップの中心から隣りのキートップの中心までの距離）は実測で およそ18mm（仕様も 約18mm）。テンキーは実測値で 16.5mm。

フルサイズのキーピッチ 19mmにくらべ計測値は小さいものの感覚的には狭さは感じません。

キートップ表面は中央部分が少しへこんだ形状です。少しツルツルした感触で指先にフィットします。

キーストロークの仕様は 約1.5mm。

タイプ音は「タクタク」という音
音の大きさは普通

キーを押し込む硬さやキーを押し込んだ後の反発も良好で、シッカリとした打鍵感でタイピングできます。

トラックポイント搭載

HP EliteBook 850 G8 のキーボードは、レノボ ThinkPad シリーズのキーボードでおなじみのトラックポイントが搭載されています。

トラックポイント

トラックポイントの実装や使いやすさについては好みが分かれるところですが、使いなれれば利便性は向上すると思います。

キーボードバックライト搭載

HP EliteBook 850 G8 のキーボードはバックライトを搭載しています。

キーボード・バックライトの明るさは 2段階で切り替え可能です。

［f9］キー押下：点灯（明）→点灯（暗）→オフ

質感の良いパームレスト

パームレストはサラサラとした感触で上質感があります。

キーボード面も CNCアルミ削り出し

指紋や皮脂の跡は目立たず気持ちよくキーボード操作ができます。

スベリもなめらかで反応の良いタッチパッド

タッチパッドはクリックボタンが独立したタイプです。

タッチパッドのサイズ感

大きめサイズで感触はツルツルとしています。なめらかなスベリで指2本あるいは3本を使ってのジェスチャー操作もスムーズです。

なお、クリックボタンはタッチパッドの上側に実装されていますが、タッチパッドの下側の左右を押すことでもクリック操作は可能です。

 

ベンチマークによる性能評価

ベンチマークでは、HP EliteBook 850 G8 の CPU・グラフィック・ストレージ性能のほか総合的なパフォーマンスを評価します。

レビュー機の基本スペック

OS	Windows 10 Pro（64bit）
CPU	インテル Core i7-1165G7 プロセッサー
メモリ	16GB（8GB×2） SO-DIMM DDR4-3200
ストレージ	512GB SSD（NVMe）
グラフィックス	インテル Iris Xe グラフィックス

 

評価に使用したベンチマークは以下のとおりです。

なお、ベンチマークの実施にあたっては、電源オプションの電源プランを「HP Optimized (Modern Standby)」に、電源モードを「高パフォーマンス」に設定して実行しています。

電源プランの設定

※電源プラン「HP Optimized (Modern Standby)」は、エネルギー消費とパフォーマンスのバランスを最適化するメーカー独自の設定。

 

CPU性能

CPU性能は CINEBENCH R20 と CPU Mark（PassMark PerformanceTest） のベンチマークスコアで評価します。

評価にあたっては、性能レベルを把握するため下記 CPU のスコアと比較します。

・インテル Core i7-1165G7 プロセッサー

・インテル Core i5-1135G7 プロセッサー

・インテル Core i3-1115G4 プロセッサー

・インテル Core i7-10510U プロセッサー

・インテル Core i5-10210U プロセッサー

・インテル Core i3-10110U プロセッサー

・AMD Ryzen 7 5700U プロセッサー

・AMD Ryzen 5 5500U プロセッサー

・AMD Ryzen 7 4700U プロセッサー

・AMD Ryzen 5 4500U プロセッサー

※当サイトで計測したスコアの平均値

■CINEBENCH R20［CPUのレンダリング性能評価］

CPU
Ryzen 7 5800U	3629 pts
Ryzen 7 5700U	3418 pts
Ryzen 5 5600U	2999 pts
Ryzen 5 5500U	2743.2 pts
Core i7-1165G7	1908 pts
Core i5-1135G7	1812 pts
Core i7-1165G7（レビュー機）	1748 pts
Core i7-10510U	1500 pts
Core i5-10210U	1398 pts
Core i3-1115G4	1224 pts
Core i3-10110U	895 pts

■CPU Mark (PassMark PerformanceTest)［CPU性能の総合評価］

CPU Mark
Ryzen 7 5800U	19295
Ryzen 7 5700U	17487
Ryzen 5 5600U	16487
Ryzen 5 5500U	12801
Core i7-1165G7（レビュー機）	11426
Core i7-1165G7	11270
Core i5-1135G7	10914
Core i7-10510U	8122
Core i5-10210U	7611
Core i3-1115G4	6702
Core i3-10110U	5533

レビュー機の CPU パフォーマンスは、少しひかえめな印象はあるものの平均値相当と見てよいでしょう。

また、CPU パフォーマンスとしては Ryzen プロセッサーに及ばないものの、一般的なビジネスシーン（ネット・メール・オフィスソフト・オンライン会議など）では十分なパフォーマンスです。

 

グラフィック性能

グラフィック性能はゲーム系のベンチマークで性能評価を行います。

評価にあたっては、グラフィックス性能レベルを把握するため当サイトでレビューした下記グラフィックスのスコアと比較します。

・インテル Iris Xe グラフィックス（Core i7-1165G7搭載機）

・インテル Iris Xe グラフィックス（Core i5-1135G7搭載機）

・インテル UHD グラフィックス（Core i3-1115G4搭載機）

・インテル UHD グラフィックス（Core i7-10710U搭載機）

・インテル UHD グラフィックス（Core i5-10210U搭載機）

・インテル UHD グラフィックス（Core i3-10110U搭載機）

・AMD Radeon グラフィックス（Ryzen 7 5700U搭載機）

・AMD Radeon グラフィックス（Ryzen 5 5500U搭載機）

・AMD Radeon グラフィックス（Ryzen 7 4700U搭載機）

・AMD Radeon グラフィックス（Ryzen 5 4500U搭載機）

※当サイトで計測したスコアの平均値

3DMark FireStrike

3DMark FireStrike のベンチマーク結果です。

Fire Strike は DirectX 11 を使用したハイパフォーマンスゲーミングPC向けのグラフィックス性能テストです。

3DMark Fire Strike
インテル Iris Xe（Core i7-1165G7）	4090
インテル Iris Xe（レビュー機）	3581
AMD Radeon（Ryzen 7 5800U）	3449
AMD Radeon（Ryzen 7 5700U）	3374
インテル Iris Xe（Core i5-1135G7）	3114
AMD Radeon（Ryzen 5 5600U）	2971
AMD Radeon（Ryzen 5 5500U）	2356
インテル UHD（Core i3-1115G4）	2333
インテル UHD（Core i7-10510U）	1177
インテル UHD（Core i5-10210U）	1095
インテル UHD（Core i3-10110U）	836

ドラゴンクエストX［軽量級のゲーム］

ドラゴンクエストX のベンチマーク結果です。

ドラゴンクエストX
インテル Iris Xe（Core i7-1165G7）	11198
インテル Iris Xe（レビュー機）	10681
AMD Radeon（Ryzen 7 5800U）	10463
AMD Radeon（Ryzen 5 5600U）	9998
インテル Iris Xe（Core i5-1135G7）	9589
AMD Radeon（Ryzen 7 5700U）	9103
インテル UHD（Core i3-1115G4）	7706
AMD Radeon（Ryzen 5 5500U）	6594
インテル UHD（Core i7-10510U）	5161
インテル UHD（Core i5-10210U）	4671
インテル UHD（Core i3-10110U）	2650

※最高品質／解像度 1920×1080 で実施

ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ［中量級のゲーム］

ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズのベンチマーク結果です。

漆黒のヴィランズ
インテル Iris Xe（Core i7-1165G7）	4381
AMD Radeon（Ryzen 7 5800U）	3893
インテル Iris Xe（Core i5-1135G7）	3738
AMD Radeon（Ryzen 7 5700U）	3681
インテル Iris Xe（レビュー機）	3649
AMD Radeon（Ryzen 5 5600U）	3553
インテル UHD（Core i3-1115G4）	2661
AMD Radeon（Ryzen 5 5500U）	2589
インテル UHD（Core i7-10510U）	1695
インテル UHD（Core i5-10210U）	1500
インテル UHD（Core i3-10110U）	1081

※高品質（ノートPC）／解像度 1920×1080 で実施

ファイナルファンタジーXV［重量級のゲーム］

ファイナルファンタジーXV のベンチマーク結果です。

ファイナルファンタジーXV
インテル Iris Xe（Core i7-1165G7）	3456
AMD Radeon（Ryzen 7 5800U）	3370
AMD Radeon（Ryzen 7 5700U）	3232
インテル Iris Xe（レビュー機）	3195
AMD Radeon（Ryzen 5 5600U）	3099
インテル Iris Xe（Core i5-1135G7）	2896
インテル UHD（Core i3-1115G4）	2389
AMD Radeon（Ryzen 5 5500U）	2380
インテル UHD（Core i7-10510U）	1267
インテル UHD（Core i5-10210U）	1200
インテル UHD（Core i3-10110U）	944

※軽量品質／解像度 1280×720 で実施

 

グラフィックスのスコアも少しひかえめです。

ただし、スコア的には、オンライン会議などグラフィックス性能が重要なケースでも十分なパフォーマンスが期待できる内容です。

 

ストレージ性能

レビュー機のストレージは SSD(PCIe/NVMe対応、容量：512GB) が搭載されています。

ストレージ性能については、CrystalDiskMark を使用して計測したデータ転送速度で評価します。

データ転送速度

計測結果は優秀で Windows やアプリの起動も早いです。

参考までに SSD は大容量になるほどデータ転送速度が速くなる傾向があります。目安として 512GB以上で速度の違いが顕著になってきます。

 

総合的なパフォーマンス

PCMark 10 Extended を使って、実際の使用を想定した性能評価を行います。

評価にあたっては、性能レベルの程度を把握するため当サイトでレビューした下記機種のスコアと比較します。

・Core i7-1165G7搭載機(*1)

・Core i5-1135G7搭載機(*1)

・HP ProBook x360 435 G8

・HP Pavilion Aero 13

※当サイトで計測したスコア。(*1)は平均値

HP EliteBook 850 G8 には、Core i5-1135G7 搭載モデルがラインナップしています。比較検討の参考にしてください。

おもなスペックは以下のとおり。

 

ベンチマーク結果は以下のとおりです。

Total Score
HP EliteBook 850 G8	4289
Core i7-1165G7搭載機	4290
Core i5-1135G7搭載機	3838
HP ProBook x360 435 G8	4751
HP Pavilion Aero 13	4587
Essentials
HP EliteBook 850 G8	9402
Core i7-1165G7搭載機	9178
Core i5-1135G7搭載機	8712
HP ProBook x360 435 G8	8883
HP Pavilion Aero 13	9488
基準値	4100
Productivity
HP EliteBook 850 G8	6572
Core i7-1165G7搭載機	6480
Core i5-1135G7搭載機	6064
HP ProBook x360 435 G8	8391
HP Pavilion Aero 13	9060
基準値	4500
Digital Contents Creation
HP EliteBook 850 G8	4935
Core i7-1165G7搭載機	4690
Core i5-1135G7搭載機	4374
HP ProBook x360 435 G8	6015
HP Pavilion Aero 13	5615
基準値	3450
Gaming
HP EliteBook 850 G8	3000
Core i7-1165G7搭載機	3325
Core i5-1135G7搭載機	2625
HP ProBook x360 435 G8	3074
HP Pavilion Aero 13	2481

※テスト項目説明

・Total Score（総合的な評価）

・Essentials（普段の作業を想定した基本的なテスト）

・Productivity（ビジネスソフトの使用を想定したテスト）

・Digital Contents Creation（写真・動画編集を想定したテスト）

・Gaming（ゲーミングソフトの使用を想定したテスト）

※基準値はベンチマークソフト開発メーカーの推奨スコア

 

レビュー機のスコアは優秀です。

CPU やグラフィックス個別のパフォーマンスは少しひかえめな印象がありましたが、トータルパフォーマンスは平均値相当が出ています。

システム全体のパフォーマンスが最適化されており、実際の使用においても快適なパフォーマンスが期待できます。

 

関連記事

 

バッテリー

バッテリー性能については、レビュー機のバッテリー駆動時間と充電時間を計測・評価します。

■駆動時間の測定条件

・無線LANでインターネットに接続

・YouTubeを全画面で連続再生

・画面の明るさ：最大レベル

・音量：最大レベル

■充電時間の測定条件

・測定開始はバッテリー残量がほぼゼロの状態

・電源アダプターを接続し Windows を起動

・スクリーンセーバー（ラインアート）でパソコンはアイドル状態

※スクリーンタイムアウトや PCスリープは設定しない。

バッテリーの駆動時間と充電時間の測定結果は以下のとおり。

バッテリー駆動時間	6時間 9分
バッテリー充電時間 （50%までの充電時間）	60分
バッテリー充電時間 （80%までの充電時間）	1時間 39分
バッテリー充電時間 （100%までの充電時間）	2時間 38分

バッテリーを多く消費する条件のなかでも 6時間くらいバッテリー駆動できれば連続する会議もこなすことが可能です。また、高輝度な液晶を搭載していることもあり、必要に応じて画面の明るさを抑えればバッテリー駆動時間はさらに伸ばすことができます。

なお、実際の使用にあたっては、環境や使い方などによりバッテリーの駆動時間は変動するので参考値としてください。

 

クリエイティブ性能の評価

クリエイティブ性能は RAWデータ現像（JPEGファイル書き出し）と動画エンコードの処理時間で評価します。

評価にあたっては、上記の総合的なパフォーマンスで使用した比較対象機の処理時間と比較します。

・Core i7-1165G7搭載機(*1)

・Core i5-1135G7搭載機(*1)

・HP ProBook x360 435 G8

・HP Pavilion Aero 13

※当サイトで計測した処理時間。(*1)は平均値

RAWデータ現像

RAWデータ現像に使用したソフトウェアや条件、処理時間は以下のとおりです。

■使用ソフトウェア
CyberLink PhotoDirector
Adobe Photoshop Lightroom
Adobe Photoshop Lightroom Classic

■条件等

・RAWデータ 50ファイルをJPEG形式で一括書き出し

・RAWデータサイズ 4,592×3,056（約14MB）

・プリセット等 編集は適用しない

・ほかのアプリは起動しない（常駐アプリは除く）

PhotoDirector
HP EliteBook 850 G8	55秒7
Core i7-1165G7搭載機	50秒4
Core i5-1135G7搭載機	55秒9
HP ProBook x360 435 G8	46秒0
HP Pavilion Aero 13	55秒1
Photoshop Lightroom
HP EliteBook 850 G8	30秒0
Core i7-1165G7搭載機	27秒5
Core i5-1135G7搭載機	36秒2
HP ProBook x360 435 G8	26秒5
HP Pavilion Aero 13	37秒6
Lightroom Classic
HP EliteBook 850 G8	38秒8
Core i7-1165G7搭載機	33秒9
Core i5-1135G7搭載機	39秒3
HP ProBook x360 435 G8	30秒7
HP Pavilion Aero 13	35秒2

 

動画エンコード

動画エンコードに使用したソフトウェアや条件、処理時間は以下のとおりです。

■使用ソフトウェア
CyberLink PowerDirector

■条件等

・AVCHD動画(1920×1080)を mp4 形式で出力（m2ts→mp4、720p、1280×720/30p 16Mbps）

・動画再生時間 10分間

・ほかのアプリは起動しない（常駐アプリは除く）

PowerDirector
HP EliteBook 850 G8	3分11秒1
Core i7-1165G7搭載機	3分10秒7
Core i5-1135G7搭載機	3分20秒9
HP ProBook x360 435 G8	1分55秒5
HP Pavilion Aero 13	2分5秒0

 

クリエイティブ性能は平均値相当です。

ビジネス文書の作成で写真編集するなど補助的な作業で使うなら十分なパフォーマンスといえます。

 

駆動音・表面温度のチェック

HP EliteBook 850 G8 の駆動音と表面温度をチェックします。

駆動音のチェック

駆動音については、ベンチマーク（CINEBENCH R20 /マルチ Core）実行中と動画エンコード中の音量（デシベル）計測で評価します。

音量計測イメージ
使用測定器：Meterk SLM01

■測定結果

※防音室での測定ではありませんが、周囲の音ができるだけ入らないようにして測定しています。

■騒音の目安

騒音の大きさ	騒音の具体例
60 デシベル	走行中の自動車内 普通の会話 デパート店内
50 デシベル	家庭用エアコンの室外機 静かな事務所の中
40 デシベル	閑静な住宅地の昼 図書館内
30 デシベル	深夜の郊外 鉛筆での執筆音
20 デシベル	木の葉の触れ合う音 雪の降る音

参考：埼玉県深谷市ホームページ「騒音・振動の規制について」

 

高負荷な状態でも、「ヒューッ」という気流音がわずかに大きくなる程度です。駆動音が気になることはないと思います。

 

表面温度のチェック

表面温度については、アイドル状態、動画視聴時、動画エンコード時の表面温度を測定・評価します。

※単位：℃、測定時の室温：25℃

※写真の左がキーボード表面、右が底面側の計測結果

■アイドル状態で10分放置

■Youtube 動画 30分間視聴後

■10分間動画エンコード実行後

 

高負荷な状態でもキーボード奥側の温度がわずかに上昇する程度です。また、パームレストも表面温度に大きな変化はなく快適なキーボード操作が可能です。

 

サウンド チェック

HP EliteBook 850 G8 は、HP が Bang & Olufsenと共同開発したサウンド機能を搭載しています。

また、サウンドユーティリティソフトには「HP Audio Control」がプリインストールされています。

サウンド ユーティリティソフト

スピーカーのノイズキャンセリング機能や内蔵マイクのノイズ除去のほか、イコライジング機能でお好みの音質にチューニングすることもできます。

以下は、実際にサウンドを聴いた印象です。
・オーディオプリセット：自動検出オン
・イコライザーのプリセット：HP最適化

■スピーカー
低音域から高音域まで広い音域を再現し安定した高音質。
音声も明瞭で聞きやすい。

■ヘッドホン
スピーカー同様に高音質。周囲の音が遮断されているぶん、より高音質に感じる。

 

Windows の起動・再起動・シャットダウン時間計測

Windows の起動、再起動、シャットダウン時間を それぞれ 5回ずつ計測しました。

起動とシャットダウンは体感的にも早いです。

再起動は少し時間がかかりますが、頻繁に行う処理ではないので処理待ちのストレスを感じることはないと思います。

なお、実際の使用にあたってはインストールしているアプリや Windows の状態などにより時間は変動するので参考値としてください。

 

同梱品

HP EliteBook 850 G8 の本体ほか同梱品一式です。

同梱品リスト
・HP EliteBook 850 G8 本体
・電源アダプター
・電源コード
・ドキュメント類

 

まとめ

以上、HP EliteBook 850 G8 のレビュー記事をお届けしました。

HP EliteBook 850 G8 は、高性能で高品質な 15.6型スタンダードノートPCです。

パフォーマンスでは、CPU やグラフィックス単体の性能評価で少しひかえめな印象を受けましたが、総合的にはシステム全体として最適化されており十分満足できる内容です。

また、ビジネスで使う上でセキュリティ機能が充実しているところは大きな魅力です。今回のレビューでは、貸出機のためセキュリティ機能を試すことはできませんでしたが、セキュリティ機能が充実していることは安心して作業に集中できるメリットがあるからです。

HP EliteBook 850 G8 は、通常のビジネスのほかテレワークやリモートワークでもシッカリ活用できる実用性にすぐれたスタンダードノートといえるでしょう。

 

ラインナップしているモデルや価格、キャンペーンなど最新情報は日本HP直販サイト「HP Directplus」をご確認ください。

※HP EliteBook 850 G8 は法人向け PC ですが、個人ユーザーや SOHO、フリーランスのユーザーも購入できます。

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