東芝『dynabook AZ65/G』(2018年夏モデル)の実機レビュー 後編です。
後編は、各種ベンチマークのほか、RAWデータ現像・動画エンコード処理時間計測、起動・シャットダウン時間計測などの性能レビューを行います。
(後編) ベンチマーク RAWデータ現像・動画エンコード処理時間計測 駆動音・表面温度 サウンド チェック Windows の起動・再起動・シャットダウン時間計測 搭載ソフトウェア 付属品 まとめ |
レビュー内容については 2018年9月6日時点のものです。
レビュー機のスペック構成については「スペックについて」の章をご覧ください。
ベンチマーク
『dynabook AZ65/G』の基本性能や総合的なパフォーマンスのほか、CPU、グラフィック、ストレージ、バッテリーの性能を測定します。
基本性能
Windowsに搭載されているシステム評価ツール「WinSATコマンド」を使用して、パソコンの基本性能を測定します。
WinSAT
「WinSAT」による測定は、PCの性能を相対的に数値化して表現したもので、各項目の説明は次のとおりです。
CPUScore | CPU のスコア |
D3DScore | ゲーム用グラフィックスのスコア ただし、従来のゲーム用グラフィックスのスコアのため Windows 10では計測対象外(9.9というスコアは無視) |
DiskScore | プライマリハードディスクのスコア |
GraphicsScore | グラフィックスのスコア |
MemoryScore | メモリのスコア |
TimeTaken | 前回の評価(「MostRecentAssessment」は直近の評価を表します) |
WinSATAssessmentState | 評価の状態を表す値(1:評価済み、2:要再評価) |
WinSPRLevel | 基本スコア(SPR:System Performance Rating) |
PASS MARK PerformanceTest 9.0
「PASS MARK PerformanceTest 9.0」で計測されたスコアは、全世界のパソコンがアップロードしたスコアと比較、Percentile(パーセンタイル)の数値から自分のパソコンの性能レベルを客観的に把握することができます。
上記の測定結果を例にすると、トータル性能を示す「PassMark Rating」のスコア「3298.2」のパーセンタイルは「72nd Percentile」で、計測を行った他のパソコン 72% よりも上位のスコアという意味です。
別な言い方をすると、「PASS MARK PerformanceTest 9.0」で計測しスコアをアップロードした全世界のパソコンのなかで、上位のスコアから 28%(100% - 72%)に位置するスコアということです。
ゲーミングPC やクリエイティブな作業に使うPC などハイレベルなパソコンも混在するなかでも上位クラスのスコアで、レビュー機の『dynabook AZ65/G』の基本性能は 15インチサイズのスタンダードノートながら、かなり高いレベルといえるでしょう。
CPU性能
「CINEBENCH」を使って、CPU性能を測定します。
『dynabook AZ65/G』の CPU には第8世代 インテル Core i7-8550U プロセッサーが搭載されています。
前世代(第7世代)のインテル Core i7-7500U プロセッサーの CPU スコアは 350cb 前後であるのに対し、レビュー機に搭載された CPU のスコアは 489cb。
ベンチマークのスコアを見る限りでは、CPU 性能は およそ 40% アップしています。
インテルによると「第8世代 Core プロセッサーは第7世代にくらべ 40%パフォーマンスがアップする」とのことで、ベンチマークの結果でもそれが裏付けられています。
グラフィック性能
グラフィック性能は以下のゲーム系ベンチマークソフトを使って測定します。
■3DMark
■ドラゴンクエストX
■ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター
3DMark
3DMark は、「ICE STORM」「CLOUD GATE」「SKY DIVER」「FIRE STRIKE」「TIME SPY」、各シーンについてグラフィック性能を測定します。
結果は以下のとおり。
ドラゴンクエストX
ドラゴンクエストX では、HD解像度(1280×720) の標準品質と最高品質、フルHD解像度(1920×1080) の標準品質で測定します。
結果は以下のとおり。
標準品質、解像度 1280×720
最高品質、解像度 1280×720
標準品質、解像度 1920×1080
ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター
ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーターでは、HD解像度(1280×720) / DirectX 11 の 標準品質(ノートPC) と高品質(ノートPC) で測定します。
結果は以下のとおり。
標準品質(ノートPC)、解像度 1280×720、DirectX 11
高品質(ノートPC)、解像度 1280×720、DirectX 11
上記のベンチマークソフトを使ったグラフィック性能の測定結果をみると、『dynabook AZ65/G』のグラフィック性能レベルは、スタンダードノートしては高いレベルです。
ヘビーなゲームには不向きですが、動画視聴はもちろんのこと、写真・動画編集のほか 3Dレンダリングも快適に使える性能レベルです。
ストレージ
ストレージのベンチマークです。
レビュー機に搭載されているストレージは SAMSUNG製の SSD(PCIe NVMe M.2)で容量は 1TBです。(製品により SSD のメーカーが異なる可能性があります)
ストレージ情報
ドライブ構成は次のようになります。
SSD のデータ転送速度です。
データ転送速度
SSD が搭載されていると、数字が示す通り Windows や アプリの起動も高速です。
とくに、レビュー機の 1TB搭載モデルの SSD は、対応規格 PCIe / 転送モード NVMe なので、Windows やアプリの起動などストレージへのアクセスは、体感的にも爆速です。
NVMe は、SATA接続の SSD よりも 高速なデータアクセスが可能なインターフェースです。SSD の高速アクセスを活かしてくれるインターフェースなので、Windows や アプリもより高速に起動できます。
総合的なパフォーマンス
「PCMark 8」および「PCMark 10」を使用して、PCのアプリケーション実行における総合的なパフォーマンスを測定します。
PCMark 8(Home Test)
家庭での利用を想定したテストです。
OpenCL対応の Accelerated にて測定
(テスト結果はクリックで拡大表示できます)
PCMark 8(Creative Test)
クリエイティブな利用を想定したテストです。
OpenCL対応の Accelerated にて測定
(テスト結果はクリックで拡大表示できます)
PCMark 10 Extended
PCMark 10 Extended は、以下の 4つの Test Group のテストを実施します。
(テスト結果はクリックで拡大表示できます)
■Essentials(普段の作業を想定した基本的なテスト)
■Productivity(ビジネスソフトの使用を想定したテスト)
■Digital Contents Creation(写真・動画編集を想定したテスト)
■Gaming(ゲーミングソフトの使用を想定したテスト)
総合的なパフォーマンスは、スタンダードノートとして 快適なパフォーマンスが期待できるスコアです。
とくに、PCMark 10 Extended では Gaming グループ以外はレベルの高いスコアで、写真・動画編集でも快適な動作が期待できるスコアです。
バッテリー
『dynabook AZ65/G』に搭載されているバッテリーの性能(駆動時間)を測定します。
■駆動時間
バッテリーでの駆動は、次の条件でバッテリーによる駆動時間を計測します。
・無線LANでインターネットに接続
・YouTubeを全画面で連続再生
・画面の明るさ:最大レベル
・音量:最大レベル
バッテリー駆動時間の測定結果は以下のようになります。
バッテリーの残量は、大よその数字で 1時間当たり 14% ~ 17% 程度減少しています。
バッテリーによる駆動は 5時間59分経過後、Windows がバッテリー不足を検知し、パソコンは休止状態になりました。
バッテリーを多く消費する条件でもバッテリー駆動時間が 6時間くらい持続できればスタンダードノートとしては十分といえるでしょう。
画面の明るさや音量レベルなどを通常の使用レベルに調整すれば、バッテリー駆動時間はもう少し伸びるはずです。
なお、実際の使用にあたっては、環境や条件などによりバッテリーの駆動時間は変動するので、参考値としてください。
RAWデータ現像・動画エンコード処理時間計測
『dynabook AZ65/G』で、RAWデータ現像と動画エンコードの処理時間を計測してみます。
RAWデータ現像
RAWデータ現像に使用したソフトウェアや条件、処理時間は以下のとおりです。
■使用ソフトウェア
CyberLink PhotoDirector 8 for TOSHIBA
(プリインストール・ソフトウェア)
■条件等
・RAWデータ 50ファイルを一括書き出し
・プリセット等 編集は適用しない
・撮影カメラ SONY NEX-5
■処理時間
処理時間 | メモリ使用量 |
---|---|
1分10秒7 | 3.9GB |
※メモリ使用量は処理中の「コミット済みメモリ」(最大値)。
(パソコンがシステム全体で実際に使用しているメモリの使用量)
動画エンコード
動画エンコードに使用したソフトウェアや条件、処理時間は以下のとおりです。
■使用ソフトウェア
CyberLink PowerDirector 15 BD for TOSHIBA
(プリインストール・ソフトウェア)
■条件等
・AVCHD動画(1920×1080)を mp4 形式で出力
(m2ts→mp4、720p、1280×720/30p 16Mbps)
・動画再生時間 10分間
■処理時間
処理時間 | メモリ使用量 |
---|---|
1分10秒3 | 3.2GB |
※メモリ使用量は処理中の「コミット済みメモリ」(最大値)。
(パソコンがシステム全体で実際に使用しているメモリの使用量)
駆動音・表面温度
駆動音については、負荷のかかる処理になると「サーッ」という排熱のための気流音がわずかに大きくなりますが音の大きさは耳ざわりに感じるほどではありません。
パソコンを使っているあいだ、負荷のかかる状態が終始続くわけではないので、それほど気になることはないでしょう。
また、本体の表面温度については、負荷のかかる処理中は、キーボードの右奥側(テンキー奥 周辺)が多少温かくなります。
キーボード上は少し温かいかな?と感じる程度、またパームレストは本体内部の熱の影響を受けないので不快な感じはありません。
左側の画像:平常時(Windows起動後10分放置)
右側の画像:動画エンコード時(10分間の動画エンコード終了直前)
サウンド チェック
『dynabook AZ65/G』は オンキヨーと東芝が共同開発した「2way 4speakers」を搭載しています。
サウンドユーティリティソフトには「DTS Sound」がインストールされています。
イコライザー機能のほか、サラウンド設定や低音域の増幅などにより、臨場感と迫力あるサウンドを自分好みに設定できます。
サウンドを実際に聴いてみた印象としては・・・
■スピーカー
低音域から高音域まで広い音域を再現している。
カジュアルに高音質サウンドを楽しめる。
■ヘッドホン
サウンド全体がクリアになり、メリハリも出て、臨場感と迫力がアップする。
かなりの高音質なサウンドを楽しめる。
Windows の起動・再起動・シャットダウン時間計測
Windows の起動時間、再起動時間、シャットダウン時間を それぞれ 5回ずつ計測しました。
感覚的にも結果が示す通り「かなり早い」です。
搭載ソフトウェア
『dynabook AZ65/G』に搭載されている主なソフトウェアです。(クリックで拡大表示できます)
Windows標準のソフトのほか、東芝オリジナルのサポートソフトやユーティリティーソフト、写真・動画編集ソフト、ウィルス対策ソフト(ウイルスバスタークラウド 90日版)など、数多くのソフトウェアがインストールされています。
東芝オリジナルのソフトウェアには、テレビやレコーダーに録画した番組や放送中の番組をパソコンで楽しめる「TVコネクトスイート」もインストールされています。
また、ブルーレイディスクや DVD などの再生ソフトには超解像技術〈レゾリューションプラス〉に対応した「TOSHIBA Blu-ray Disc Player」がインストールされています。
TOSHIBA Blu-ray Disc Player
(クリックで拡大表示できます)
高輝度・高色純度のフルHD 液晶ディスプレイにくわえ超解像技術に対応した再生ソフトで、ブルーレイやDVD の映画もキレイな映像で楽しめます。
「東芝スマートフォンリンク」は、スマートフォンの音楽をパソコンのスピーカーで聴いたり、パソコンでスマートフォンの通話操作など、パソコンとスマホの連携ができます。
オンキヨーと東芝が共同開発した「2way 4speakers」でスマホの音楽を高音質なサウンドで楽しめます。
付属品
『dynabook AZ65/G』の本体ほか同梱品一式(電源アダプター、電源コード、ドキュメント類など)です。
付属しているドキュメントは「スタートアップガイド」や「取扱説明書」など、あんしんしてパソコンを使う上で必要なドキュメントが揃っています。
まとめ
以上、『dynabook AZ65/G』2018年夏モデルのレビュー記事をお届けしました。
2018年春モデル(AZ65/F)の同等スペックのモデルにくらべ性能面での大きな進化はありませんが、快適なパフォーマンスで動作も軽快です。
『dynabook AZ65/G』の大きな特徴は、キーボードの視認性が格段にアップした点です。
キーボードの視認性アップは、意外と地味な改良と思われがちですが、多くのユーザーが使いやすさを実感できると思います。ブラインドタッチができるユーザーも使いやすさを感じるはずです。
評価のポイントをまとめると・・・
高評価のポイント
・快適なパフォーマンスで動作も軽快
・キーボードの視認性が格段にアップ
・映像が鮮やかでキレイ
・高音質サウンド
チョット残念なところ
・従来モデルとくらべ性能面での大きな進化がない
『dynabook AZ65/G』の価格は、Dynabook Direct(旧東芝ダイレクト)の会員なら 税込12万円台~、レビューしたモデル(16GBメモリ/1TB SSD)は 税込16万円台~と、高い性能のわりに価格は意外とリーズナブルです。(価格は記事作成時点)
性能・機能・使いやすさなどトータルバランスに優れたモデルといえます。
なお、ラインナップしているモデルや価格などの最新情報は、Dynabook 直販サイト「Dynabook Direct」(旧東芝ダイレクト)でチェックできます。
Dynabook Direct(旧東芝ダイレクト)公式サイト ⇒ 『dynabook AZ65/G』2018年夏モデル 製品ページ |
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