日本HP『HP Spectre x360 Special Edition』実機レビュー 後編です。
後編は、『HP Spectre x360 Special Edition』(ベーシックモデル)を使用して、各種ベンチマークのほか、RAWデータ現像・動画エンコード処理時間計測、起動・シャットダウン時間計測などの性能レビューを行います。
(後編) ベンチマーク RAWデータ現像・動画エンコード処理時間計測 駆動音・表面温度 サウンド チェック Windows の起動・再起動・シャットダウン時間計測 搭載ソフトウェア 付属品 まとめ |
レビュー内容は 2018年10月23日時点のものになります。
レビュー機のスペック構成については「スペックについて」の章をご覧ください。
ベンチマーク
『HP Spectre x360 Special Edition』(ベーシックモデル)の基本性能や総合的なパフォーマンスのほか、CPU、グラフィック、ストレージ、バッテリーの性能を測定します。
基本性能
Windowsに搭載されているシステム評価ツール「WinSATコマンド」と、パソコンの各性能レベルを客観的に評価する「PASS MARK PerformanceTest 9.0」を使用して、パソコンの基本性能を測定します。
WinSAT
「WinSAT」による測定は、PCの性能を相対的に数値化して表現したもので、各項目の説明は次のとおりです。
CPUScore | CPU のスコア |
D3DScore | ゲーム用グラフィックスのスコア ただし、従来のゲーム用グラフィックスのスコアのため Windows 10では計測対象外(9.9というスコアは無視) |
DiskScore | プライマリハードディスクのスコア |
GraphicsScore | グラフィックスのスコア |
MemoryScore | メモリのスコア |
TimeTaken | 前回の評価(「MostRecentAssessment」は直近の評価を表します) |
WinSATAssessmentState | 評価の状態を表す値(1:評価済み、2:要再評価) |
WinSPRLevel | 基本スコア(SPR:System Performance Rating) |
PASS MARK PerformanceTest 9.0
「PASS MARK PerformanceTest 9.0」で計測されたスコアは、全世界のパソコンがアップロードしたスコアと比較、Percentile(パーセンタイル)の数値から自分のパソコンの性能レベルを客観的に把握することができます。
上記の測定結果を例にすると、トータル性能を示す「PassMark Rating」のスコア「3496.8」のパーセンタイルは「73rd Percentile」で、計測を行った他のパソコン 73% よりも上位のスコアという意味です。
別な言い方をすると、「PASS MARK PerformanceTest 9.0」で計測しスコアをアップロードした全世界のパソコンのなかで、上位のスコアから 27%(100% - 73%)に位置するスコアということです。
ゲーミングPC やクリエイティブな作業に使うPC などハイレベルなパソコンも混在するなかでも上位クラスに迫るスコアです。
レビュー機の『HP Spectre x360 Special Edition』(ベーシックモデル)の基本性能は、2in1 モバイルノートとして高いレベルといえるでしょう。
CPU性能
「CINEBENCH」を使って、CPU性能を測定します。
レビュー機『HP Spectre x360 Special Edition』の CPU には インテル Core i5-8250U プロセッサーが搭載されています。
参考までに、以前レビューした別機種に搭載されていた「第8世代インテル Core i7-8550U プロセッサー」「第8世代インテル Core i3-8130U プロセッサー」のスコアと比較します。
Core i5-8250U | Core i7-8550U | Core i3-8130U | |
---|---|---|---|
OpenGL | 47.09 fps | 50.83 fps | 41.36 fps |
Ref.Match | 97.8 % | 97.8 % | 97.8 % |
CPU | 499 cb | 520 cb | 335 cb |
CPU (Single Core) | 144 cb | 169 cb | 143 cb |
MP Ratio | 3.47 x | 3.07 x | 2.35 x |
インテル Core i7-8550U プロセッサーを搭載した「スタンダードモデル」「プロフェッショナルモデル」と性能比較する際の参考にしてください。
グラフィック性能
グラフィック性能は以下のゲーム系ベンチマークソフトを使って測定します。
■3DMark
■ドラゴンクエストX
■ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター
3DMark
3DMark は、「CLOUD GATE」「NIGHT RAID」「SKY DIVER」「FIRE STRIKE」「TIME SPY」、各シーンについてグラフィック性能を測定します。
結果は以下のとおり。
ドラゴンクエストX
ドラゴンクエストX ベンチマークの結果です。
標準品質、解像度 1280×720
最高品質、解像度 1280×720
標準品質、解像度 1920×1080
ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター
ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター ベンチマークの結果です。
標準品質(ノートPC)、解像度 1280×720、DirectX 11
高品質(ノートPC)、解像度 1280×720、DirectX 11
上記のベンチマークソフトを使ったグラフィック性能の測定結果をみると、『HP Spectre x360 Special Edition』(ベーシックモデル)のグラフィック性能は意外に高く、モバイルノートして十分快適に使えるレベルです。
ヘビーなゲームや 3Dレンダリングのような高度なグラフィック処理には不向きですが、動画視聴はもちろんのこと、ライトなゲームプレイや写真・動画編集も気軽に楽しめる性能レベルです。
ストレージ
ストレージのベンチマークです。
レビュー機に搭載されているストレージは SAMSUNG製の SSD(PCIe NVMe M.2)で容量は 256GB です。(製品により SSD のメーカーが異なる場合もあります)
ストレージ情報
ドライブ構成は次のようになります。
ストレージのデータ転送速度の測定結果です。
データ転送速度
SSD が搭載されていると、測定結果が示す通り Windows や アプリの起動も高速です。
とくに、『HP Spectre x360 Special Edition』に搭載されている SSD は、対応規格 PCIe / 転送モード NVMe なので、Windows やアプリの起動などストレージへのアクセスは、体感的にも爆速です。
NVMe は、SATA接続の SSD よりも 高速なデータアクセスが可能なインターフェースです。SSD の高速アクセスを活かしてくれるインターフェースなので、Windows や アプリもより高速に起動できます。
総合的なパフォーマンス
「PCMark 8」および「PCMark 10」を使用して、PCのアプリケーション実行における総合的なパフォーマンスを測定します。
PCMark 8(Home Test)
家庭での利用を想定したテストです。
PCMark 8(Home Test) OpenCL対応の Accelerated にて測定
(テスト結果はクリックで拡大表示できます)
PCMark 8(Creative Test)
クリエイティブな利用を想定したテストです。
PCMark 8(Creative Test) OpenCL対応の Accelerated にて測定
(テスト結果はクリックで拡大表示できます)
PCMark 10 Extended
PCMark 10 Extended は、以下の 4つの Test Group のテストを実施します。
(テスト結果はクリックで拡大表示できます)
■Essentials(普段の作業を想定した基本的なテスト)
■Productivity(ビジネスソフトの使用を想定したテスト)
■Digital Contents Creation(写真・動画編集を想定したテスト)
■Gaming(ゲーミングソフトの使用を想定したテスト)
総合的なパフォーマンスとしては、モバイルノートとして快適なパフォーマンスが期待できるスコアです。
とくに、PCMark 10 Extended では Essentials や Productivity では良好なスコアですし、Digital Contents Creation でも思いのほか良好なスコアです。(スコア 2000 を快適性の目安としています)
バッテリー
『HP Spectre x360 Special Edition』に搭載されているバッテリーの性能(駆動時間と充電時間)を測定します。
■駆動時間
バッテリーでの駆動は、次の条件でバッテリーによる駆動時間を計測します。
・無線LANでインターネットに接続
・YouTubeを全画面で連続再生
・画面の明るさ:最大レベル
・音量:最大レベル
■充電時間
バッテリー充電時間の計測は以下の条件で行います。
・測定開始はバッテリー残量がほぼゼロの状態
・電源アダプターを接続し Windows を起動
・スクリーンセーバー(ラインアート)でパソコンはアイドル状態
※スクリーンタイムアウトや PCスリープは設定しない。
バッテリーの駆動時間と充電時間の測定結果は以下のようになります。
バッテリーの残量は、大よその数字で 1時間当たり 8% ~ 10% 減少しています。
バッテリーによる駆動は 10時間31分経過後、Windows がバッテリー不足を検知し、パソコンは休止状態になりました。
バッテリーを多く消費する条件ながら、バッテリー駆動時間が 10時間を超えるのは驚きです。超タフネスバッテリーです。
バッテリー充電については、50%まで充電するのに 35分、充電完了までの所要時間は 2時間13分でした。
50%までの充電時間は意外と短く、急速充電にも対応しており、バッテリーの性能はかなり高いレベルといえます。
なお、実際の使用にあたっては、環境や使い方などによりバッテリーの駆動時間は変動するので、参考値としてください。
RAWデータ現像・動画エンコード処理時間計測
『HP Spectre x360 Special Edition』で、RAWデータ現像と動画エンコードの処理時間を計測してみます。
RAWデータ現像
RAWデータ現像に使用したソフトウェアや条件、処理時間は以下のとおりです。
■使用ソフトウェア
CyberLink PhotoDirector 7
(筆者所有のソフトウェア)
■条件等
・RAWデータ 50ファイルを一括書き出し
・プリセット等 編集は適用しない
・撮影カメラ SONY NEX-5
■処理時間
処理時間 | メモリ使用量 |
---|---|
1分 2秒3 | 4.1GB |
※メモリ使用量は処理中の「コミット済みメモリ」(最大値)。
(パソコンがシステム全体で実際に使用しているメモリの使用量)
動画エンコード
動画エンコードに使用したソフトウェアや条件、処理時間は以下のとおりです。
■使用ソフトウェア
CyberLink PowerDirector 15
(筆者所有のソフトウェア)
■条件等
・AVCHD動画(1920×1080)を mp4 形式で出力
(m2ts→mp4、720p、1280×720/30p 16Mbps)
・動画再生時間 10分間
■処理時間
処理時間 | メモリ使用量 |
---|---|
4分28秒7 | 3.8GB |
※メモリ使用量は処理中の「コミット済みメモリ」(最大値)。
(パソコンがシステム全体で実際に使用しているメモリの使用量)
『HP Spectre x360 Special Edition』ベーシックモデルのスペックを鑑みると処理時間は意外に短く、写真・動画編集でも意外に快適に使えそうです。
駆動音・表面温度
駆動音については、負荷のかかる処理になると「サーッ」という排熱の音が少し大きくなりますが、耳ざわりに感じるほどではありません。
負荷が低減し、本体内部の熱も下がってくれば、排気音は小さくなります。
平常時は静かである点や、パソコンを使っているあいだ終始負荷のかかる状態が続くわけではないことを考えれば、それほど気にすることはないと思います。
本体の表面温度については、負荷のかかる処理になると、キーボード奥 ヒンジのあいだにある排気口が位置するあたりが若干熱くなります。
キーボード上は手のひらを置いて温かさを感じる程度なのでタイピングに影響はなく、パームレストは本体内部の熱の影響がほとんどないので不快な感じはありません。
左側の画像:平常時(Windows起動後10分放置)
右側の画像:動画エンコード時(10分間の動画エンコード終了直前)
サウンド チェック
『HP Spectre x360 Special Edition』は、BANG & OLUFSEN サウンドシステムを搭載、スピーカーは Bang & Olufsen クアッドスピーカーを内蔵しています。
音質を調整できるユーティリティソフトもインストールされています。
音域の出力量を調整できるイコライジング機能はありませんが、もともとが高音質なサウンドに最適化されているので、BASS と TREBLE などの調整でも十分といえるでしょう。
実際にサウンドを聴いてみた印象としては・・・
■スピーカー
低音域から高音域まで広い音域をカバーした高音質サウンド。
カジュアルに高音質なサウンドを楽しめる。
イコライザー機能は搭載されていないが、必要ないくらいの高音質サウンド。
■ヘッドホン
スピーカーのサウンドイメージに、重低音もしっかり再生されてサウンド全体に厚みが増し迫力もアップする。
重低音のきいたサウンドを楽しむなら、ヘッドホンがおススメ。
スピーカーでは、カジュアルに高音質サウンドも楽しめる。
Windows の起動・再起動・シャットダウン時間計測
Windows の起動時間、再起動時間、シャットダウン時間を それぞれ 5回ずつ計測しました。
起動 | 再起動 | シャットダウン | |
---|---|---|---|
1回目 | 8.6秒 | 23.3秒 | 5.7秒 |
2回目 | 8.0秒 | 23.4秒 | 5.9秒 |
3回目 | 7.9秒 | 23.3秒 | 5.5秒 |
4回目 | 7.6秒 | 22.8秒 | 5.6秒 |
5回目 | 7.9秒 | 23.4秒 | 5.5秒 |
平均 | 8.0秒 | 23.2秒 | 5.6秒 |
起動・再起動・シャットダウンともに、感覚的にもかなり「早い」です。
搭載ソフトウェア
『HP Spectre x360 Special Edition』に搭載されている主なソフトウェアです。(クリックで拡大表示できます)
Windows標準のソフトのほか、HPヘルプ&サポートソフト、セキュリティソフト「マカフィー リブセーブ」などがインストールされています。
HPヘルプ&サポートソフトとしては、PCのメンテナンスや問題の回避/解決に役立つ機能が搭載された「HP Support Assistant」、パソコンのバックアップ・リカバリーに便利な「HP Recovery Manager」などがインストール。リカバリメディアを作成するツール「Recovery Media Creation」も入っています。リカバリメディアを作成しておけばコンピューターを出荷時の状態に復元することができます。
インストールされているソフトウェアは必要最低限といった印象です。
付属品
『HP Spectre x360 13』は専用の化粧箱の中に入っています。(外箱のなかに化粧箱が梱包されています)
化粧箱のカラーはホワイト。オシャレで高級感のある化粧箱です。
『HP Spectre x360 13』の本体ほか同梱品一式(電源アダプター、電源コード、ドキュメント類、専用スリーブケースなど)です。
付属しているドキュメント類です。
【上記写真のドキュメント類について】 ■上段右側から ・パソコン生活まるごと ガイドブック ・サービスおよびサポートを受けるには ・将来の下取りでプレミアムキャッシュバック受け取りの案内 ■中段 ・セットアップ手順 ■下段右側から ・アンケートの案内 ・製品の仕様に関する注意事項 ・お友達・ご家族紹介キャンペーン ・速攻!HPパソコンナビ 特別編 |
まとめ
以上、『HP Spectre x360 Special Edition』のレビュー記事をお届けしました。
『HP Spectre x360 Special Edition』のローズゴールドのカラーは、Spectreシリーズの高級感とオシャレ感を兼ね備えた印象のカラーです。
レビューに使用したベーシックモデルは、下位モデルながらベンチマークの結果も良好、実際に使ってみた印象としても軽快な動作でパフォーマンスも快適でした。
評価のポイントをまとめると・・・
高評価のポイント
・高級感&オシャレ感のある洗練されたデザイン
・性能バランスも良く、動作も軽快で快適に使える
・コンパクトで薄く持ち歩きしやすい
・アクティブペンが同梱されていて描き心地も良好
・バッテリー長持ち
チョット残念なところ
・日本語配列のキーボードを選べない
性能・デザイン・モバイルのしやすさ・使いやすさなどトータルバランスにも優れていて所有満足度も最高レベル、テレワークなど場所や時間にとらわれない柔軟な働き方にも活用できるモデルといえるでしょう。
なお、価格やキャンペーンなどの最新情報は、日本HPの直販サイト「HP Directplus」でチェックできます。
日本HP直販「HP Directplus」公式サイト
⇒ 『HP Spectre x360 Special Edition』 製品ページ