富士通 SH シリーズ『LIFEBOOK WS1/B3』の実機レビュー 後編です。
後編では、各種ベンチマークによる性能レビューのほか、カスタマイズのポイントについても解説します。
(後編) ベンチマーク サウンド チェック Windows の起動・再起動・シャットダウン時間計測 搭載ソフトウェア 付属品 カスタマイズのポイント まとめ |
レビュー内容は 2018年4月19日時点のものです。
レビュー機のスペック構成については「スペックについて」の章をご覧ください。
ベンチマーク
『LIFEBOOK WS1/B3』の基本性能にくわえ、CPU、グラフィック、ストレージ、バッテリーの性能のほか、総合的なパフォーマンスを測定します。
基本性能
Windowsに搭載されているシステム評価ツール「WinSATコマンド」と、パソコンの各性能レベルを客観的に評価する「PASS MARK PerformanceTest 9.0」を使用して、パソコンの基本性能を測定します。
WinSAT
「WinSAT」による測定は、PCの性能を相対的に数値化して表現したもので、各項目の説明は次のとおりです。
CPUScore | CPU のスコア |
D3DScore | ゲーム用グラフィックスのスコア ただし、従来のゲーム用グラフィックスのスコアのため Windows 10では計測対象外(9.9というスコアは無視) |
DiskScore | プライマリハードディスクのスコア |
GraphicsScore | グラフィックスのスコア |
MemoryScore | メモリのスコア |
TimeTaken | 前回の評価(「MostRecentAssessment」は直近の評価を表します) |
WinSATAssessmentState | 評価の状態を表す値(1:評価済み、2:要再評価) |
WinSPRLevel | 基本スコア(SPR:System Performance Rating) |
PASS MARK PerformanceTest 9.0
「PASS MARK PerformanceTest 9.0」で計測されたスコアは、全世界のパソコンがアップロードしたスコアと比較、Percentile(パーセンタイル)の数値から自分のパソコンの性能レベルを客観的に把握することができます。
上記の測定結果を例にすると、トータル性能を示す「PassMark Rating」のスコア「3776.3」のパーセンタイルは「79th Percentile」で、計測を行った他のパソコン 79% よりも上位のスコアという意味です。
別な言い方をすると、「PASS MARK PerformanceTest 9.0」で計測しスコアをアップロードした全世界のパソコンのなかで、上位のスコアから 21%(100% - 79%)に位置するスコアということです。
さまざまなジャンルのパソコンのなかでもスコアランクは上位クラスです。レビュー機の『LIFEBOOK WS1/B3』の基本性能は、モバイルノートながら高いレベルの性能であることが分かります。
CPU性能
「CINEBENCH」を使って、CPU性能を測定します。
レビュー機『LIFEBOOK WS1/B3』の CPU には第8世代 インテル Core i7-8550U プロセッサーが搭載されています。
前世代(第7世代)のインテル Core i7-7500U プロセッサーの CPU スコアは 350cb 前後であるのに対し、レビュー機に搭載された CPU のスコアは 512cb。
ベンチマークのスコアを見る限りでは、CPU 性能は およそ 46% アップしていることが分かります。
グラフィック性能
グラフィック性能は以下のゲーム系ベンチマークソフトを使って測定します。
■3DMark
■ドラゴンクエストX
■ファイナルファンタジーXIV: 蒼天のイシュガルド
■ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター
■ファイナルファンタジーXV
■ドラゴンズドグマ オンライン
3DMark
3DMark は、「ICE STORM」「CLOUD GATE」「SKY DIVER」「FIRE STRIKE」「TIME SPY」、各シーンについてグラフィック性能を測定します。
結果は以下のとおり。
測定前に流されるデモ映像を見たイメージとしては、次のような印象でした。
Ice Strom | なめらか描画 |
Cloud Gate | なめらか描画 |
Sky Diver | 若干カクついたシーンもあるが問題ないレベル |
Fire Strike | カクカクした描画 |
Time Spy | カクカクした描画 |
ドラゴンクエストX
ドラゴンクエストX では、HD解像度(1280×720) とフルHD解像度(1920×1080) それぞれの標準品質と最高品質で測定します。
結果は以下のとおり。
標準品質、解像度 1280×720
最高品質、解像度 1280×720
標準品質、解像度 1920×1080
最高品質、解像度 1920×1080
ファイナルファンタジーXIV:蒼天のイシュガルド
ファイナルファンタジーXIV:蒼天のイシュガルドでは、HD解像度(1280×720) / DirectX 11 の 標準品質(ノートPC) と高品質(ノートPC) で測定します。
結果は以下のとおり。
標準品質(ノートPC)、解像度 1280×720、DirectX 11
高品質(ノートPC)、解像度 1280×720、DirectX 11
ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター
ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーターでも、HD解像度(1280×720) / DirectX 11 の 標準品質(ノートPC) と高品質(ノートPC) で測定します。
結果は以下のとおり。
標準品質(ノートPC)、解像度 1280×720、DirectX 11
高品質(ノートPC)、解像度 1280×720、DirectX 11
ファイナルファンタジーXV
ファイナルファンタジーXV は、解像度 1280×720 / 軽量品質でも動作困難という結果でした。
解像度 1280×720、軽量品質
ドラゴンズドグマ オンライン
ドラゴンズドグマ オンラインでは、HD解像度(1280×720) の標準品質と最高品質で測定します。
解像度 1280×720、標準品質
解像度 1280×720 / 最高品質
上記、6つのベンチマークソフトを使ったグラフィック性能の測定結果をみると、『LIFEBOOK WS1/B3』のグラフィック性能レベルは、CPU内蔵グラフィックスながら高いレベルです。
モバイルノートしての快適性は充分で、動画視聴はもちろんのこと、写真・動画の編集やライトなゲームも気軽に楽しむことができそうです。
ストレージ
ストレージのベンチマークです。
ストレージは SAMSUNG製の SSD で、容量は 512GB、接続規格 M.2 (Type2280) / インターフェイス PCIe / 転送モード NVMe です。
ストレージ情報
ドライブ構成は次のようになります。
SSD のデータ転送速度です。
データ転送速度
SSD が搭載されていると、数字が示す通り Windows や アプリの起動も高速です。
とくに、レビュー機の『LIFEBOOK WS1/B3』に搭載されている SSD は、対応規格 PCIe / 転送モード NVMe なので、Windows やアプリの起動などストレージへのアクセスは、体感的にも爆速です。
NVMe は、SATA接続の SSD よりも 高速なデータアクセスが可能なので、Windows や アプリもより高速に起動できます。
総合的なパフォーマンス
「PCMark 8」および「PCMark 10」を使用して、PCのアプリケーション実行における総合的なパフォーマンスを測定します。
PCMark 8(Home Test)
家庭での利用を想定したテスト内容です。
(テスト結果はクリックで拡大表示できます)
PCMark 8(Home Test) OpenCL対応の Accelerated にて測定
PCMark 8(Creative Test)
クリエイティブな利用を想定したテスト内容です。
(テスト結果はクリックで拡大表示できます)
PCMark 8(Creative Test) OpenCL対応の Accelerated にて測定
PCMark 10 Extended
PCMark 10 Extended は、以下の 4つの Test Group のテストを実施します。
(テスト結果はクリックで拡大表示できます)
■Essentials(普段の作業を想定した基本的なテスト)
■Productivity(ビジネスソフトの使用を想定したテスト)
■Digital Contents Creation(写真・動画編集を想定したテスト)
■Gaming(ゲーミングソフトの使用を想定したテスト)
総合的なパフォーマンスは、モバイルノートとして快適なパフォーマンスが期待できるスコアです。
実際に使ってみた印象としても快適なパフォーマンスで動きも軽快でした。
なお、PCMark 10 Extended では Digital Contents Creation や Gaming のジャンルも含めた評価のため、総合スコアが低めに出ていますが、それらを除けば、高い性能レベルであることが分かります。
動作音・動作熱
動作音については、負荷のかかる処理中は「サーッ」という排熱するときのファン音が大きくなります。個人差はありますが少し耳障りに感じるかもしれません。
ただ、負荷が低減すると即応するようにファン音は小さくなります。
通常の動作音は静かであることや、負荷のかかる処理が終始続いているわけではないことを考慮すると、動作音はそれほど気にはならないと思います。
動作熱については、負荷のかかる処理中は、キーボードのキートップ隙間から本体内部の熱が少しだけ伝わってきますが、パームレストはヒンヤリとしたままなので不快な感じはありません。
バッテリー
『LIFEBOOK WS1/B3』に搭載されているバッテリーの性能(駆動時間と充電時間)を測定します。
■駆動時間
バッテリーでの駆動は、次の条件でバッテリーによる駆動時間を計測します。
・無線LANでインターネットに接続
・YouTubeを全画面で連続再生
・画面の明るさ:最大レベル
・音量:最大レベル
■充電時間
バッテリー充電時間の計測は以下の条件で行います。
・測定開始はバッテリー残量がほぼゼロの状態
・電源アダプターを接続し Windows を起動
・スクリーンセーバー(ラインアート)でパソコンはアイドル状態
※スクリーンタイムアウトや PCスリープは設定しない。
バッテリーの駆動時間と充電時間の測定結果は以下のようになります。
バッテリーの残量は、大よその数字で 1時間当たり 9% ~ 10% 程度減少しています。
バッテリーによる駆動は 10時間16分経過後、Windows がバッテリー不足を検知し、パソコンは休止状態になりました。
バッテリーを多く消費する条件でもバッテリー駆動時間が 10時間以上持続できることは驚きです。
バッテリー充電については、50%まで充電するのに 52分、充電完了までの所要時間は 3時間11分でした。
これらの結果から、『LIFEBOOK WS1/B3』のバッテリー性能は かなり高いレベルといえます。
実際の使用にあたっては、環境や条件などによりバッテリーの駆動時間は変動するので、参考値としてください。
サウンド チェック
『LIFEBOOK WS1/B3』には、サウンドユーティリティソフト「Waves MaxxAudio」が搭載されています。
Waves MaxxAudio には、スピーカーやヘッドフォンなどサウンドを再生する機器に合わせて、お好みのサウンドにチューニングすることができます。(プリセット機能はありません)
実際にサウンドを聴いてみた印象です。
■スピーカー
サウンドはこじんまりとしており、低音域が弱いためかサウンドに厚みがない。
ボリュームを最大にすると音割れするケースが目立ってくる。
音質としてはそれなりの印象。
■ヘッドフォン
低音域から高音域から再生できる音域が広く、臨場感・迫力・厚みのあるサウンドを楽しめる。
サウンドを楽しむなら、ヘッドホン装着がおすすめ。
通常のヘッドホンでも十分楽しめる。
Windows の起動・再起動・シャットダウン時間計測
Windows の起動時間、再起動時間、シャットダウン時間を それぞれ 5回ずつ計測しました。
感覚的にも結果が示す通り「早い」です。
搭載ソフトウェア
『LIFEBOOK WS1/B3』に搭載されている主なソフトウェアです。(クリックで拡大表示できます)
Windows標準のソフトのほか、富士通オリジナルのサポートソフトやユーティリティーソフト、写真・動画編集ソフト、ウィルス対策ソフト(マカフィー リブセーフ 3年版)など、数多くのソフトウェアがインストールされています。
ソフトウェアがたくさんインストールされているときに役立つソフトが「@メニュー」。
「@メニュー」は、ジャンルや目的から使いたいソフトをかんたんに探すことができる便利なソフトです。
また、富士通アドバイザーは、ソフトウェアのアップデート情報、パソコン診断情報のお知らせや、マニュアルの閲覧、トラブル解決方法の閲覧など、あんしんしてパソコンを使うための情報を見ることができます。
富士通アドバイザー
付属品
『LIFEBOOK WS1/B3』には、本体のほか電源アダプター、電源コード、マニュアル類、モバイル・マルチベイ用カバーが同梱されています。(スーパーマルチドライブは本体に装着)
マニュアルには「取扱説明書」も含まれており、セットアップ手順も詳細に記載されています。
カスタマイズのポイント
『LIFEBOOK WS1/B3』は、富士通の直販サイト「WEB MART」にラインナップしているカスタムメイドモデルで、使い方に合わせて、CPU、メモリ、ストレージなど、柔軟なカスタマイズが可能です。
今回のレビュー機は、高いレベルのスペックにカスタマイズされており、ベンチマークの結果からもモバイルノートとしては非常に高い性能レベルを備えていることが分かります。
とくに、基本スペックともいえる CPU、メモリ、ストレージは最上位パーツにカスタマイズされているため、性能レベルがアップしますが、価格もそれなりに高くなってしまいます。
そこで、モバイルノートとして長いあいだ快適に使うために必要な上記パーツカスタマイズのポイントをメモしておきます。
なお、下記画像のカスタマイズ一覧および価格は 2018年4月19日時点のものです。
CPU
パソコンの頭脳に当たるパーツで、レビュー機では「第8世代 インテル Core i7-8550U プロセッサー」を搭載しています。
『LIFEBOOK WS1/B3』では、「第8世代 インテル Core i5-8250U プロセッサー」が標準構成時の CPU です。
インテル公式サイトで CPU 仕様を見ると Core i7 のほうに優位性がありますが、コストパフォーマンスを鑑みると Core i5 でも充分快適に使えると考えています。
これまで、第8世代 CPU を搭載した他社のパソコンのレビュー結果を比較すると、筆者には価格差ほどの性能差は感じられないからです。
少しでも性能レベルの高い CPU を搭載したいなら話は別ですが。。。
メモリ
メモリは、パソコンが処理をするうえで必要な情報(データ)を展開する作業場に相当するところです。
容量が大きい(作業場が広い)ほど、処理(作業)は効率よく行われます。
『LIFEBOOK WS1/B3』で選択できるメモリ容量は「4GB」「8GB」「12GB」「20GB」です。
最低でも 8GB、多少価格はかかったとしても「12GB」もしくは「20GB」は搭載しておきたいところです。
『LIFEBOOK WS1/B3』はメモリスロットへのアクセスも簡単なので、購入したあとに自分自身でメモリ増設するのもアリだと思います。(自己責任でお願いします)
ストレージ
ストレージは、Windows や アプリなどのプログラムのほか、自分で作成したデータなどを格納しておくパーツです。
メモリと同じように容量が大きいほど良いのですが、『LIFEBOOK WS1/B3』で選択できるのは「約128GB SSD」「約256GB SSD」「約512GB SSD (PCIe接続)」です。
「約512GB SSD (PCIe接続)」はデータ転送速度が格段にアップするので、こちらを選択するのもアリなのですが、カスタマイズ価格が高価です。
ここは「約256GB SSD」を選択、容量が足りなくなってきたら外付けHDD(別途購入の必要があります。容量 2TB でも1万円以下)と併用する使い方が無難な選択といえます。
まとめ
以上、『LIFEBOOK WS1/B3』のレビュー記事をお届けしました。
『LIFEBOOK WS1/B3』は、性能レベルが高く、快適パフォーマンスで軽快に動作してくれます。
超軽量ではありませんが、携帯性も良好で、モバイル・マルチベイや充実したインターフェースの搭載など、使いやすさも実感できるモデルです。
性能レベルの高さにくわえ、使いやすさや携帯性などトータルバランスに優れたモバイルノートといえます。
なお、価格や割引クーポン、キャンペーンなどの最新情報は、富士通直販サイト WEB MART でチェックできます。
富士通直販サイト WEB MART ⇒ 『LIFEBOOK WS1/B3』製品ページ |
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