マウスコンピューター m-Book F シリーズの実機レビュー 後編です。
後編では、m-Book F シリーズにラインナップしているモデル『m-Book F576SD-M2SH2』(第8世代 Core i7、8GBメモリ、256GB SSD + 1TB HDD)を使用して各種ベンチマークによる性能レビューなどを行います。
(後編) ベンチマーク サウンド チェック Windows の起動・シャットダウン時間計測(動画に収録) 搭載ソフトウェア 付属品 まとめ |
実機はメーカーからの貸出機です。
レビュー内容については 2018年3月3日時点のもので、実機の製品仕様・販売価格については変更される場合があります。
レビュー機のスペック構成については「スペックについて」の章をご覧ください。
ベンチマーク
『m-Book F576SD-M2SH2』の基本性能や総合的なパフォーマンスのほか、CPU、グラフィック、ストレージ、バッテリーの性能を測定します。
基本性能
Windowsに搭載されているシステム評価ツール「WinSATコマンド」と、パソコンの各性能レベルを客観的に評価する「PASS MARK PerformanceTest 9.0」を使用して、パソコンの基本性能を測定します。
WinSAT
「WinSAT」による測定は、PCの性能を相対的に数値化して表現したもので、各項目の説明は次のとおりです。
CPUScore | CPU のスコア |
D3DScore | ゲーム用グラフィックスのスコア ただし、従来のゲーム用グラフィックスのスコアのため Windows 10では計測対象外(9.9というスコアは無視) |
DiskScore | プライマリハードディスクのスコア |
GraphicsScore | グラフィックスのスコア |
MemoryScore | メモリのスコア |
TimeTaken | 前回の評価(「MostRecentAssessment」は直近の評価を表します) |
WinSATAssessmentState | 評価の状態を表す値(1:評価済み、2:要再評価) |
WinSPRLevel | 基本スコア(SPR:System Performance Rating) |
PASS MARK PerformanceTest 9.0
「PASS MARK PerformanceTest 9.0」で計測されたスコアは、全世界のパソコンがアップロードしたスコアと比較、Percentile(パーセンタイル)の数値から自分のパソコンの性能レベルを客観的に把握することができます。
上記の測定結果を例にすると、トータル性能を示す「PassMark Rating」のスコア「2676.3」のパーセンタイルは「63rd Percentile」で、計測を行った他のパソコン 63% よりも上位のスコアという意味です。
別な言い方をすると、「PASS MARK PerformanceTest 9.0」で計測しスコアをアップロードした全世界のパソコンのなかで、上位のスコアから 37%(100% - 63%)に位置するスコアということです。
スコアランクは中の上程度ですが、さまざまな性能レベルのパソコンのなかでのランクなので、『m-Book F576SD-M2SH2』の基本性能はスタンダードノートとしては高いレベルの性能であることが分かります。
CPU性能
「CINEBENCH」を使って、CPU性能を測定します。
レビュー機『m-Book F576SD-M2SH2』の CPU には第8世代 インテル Core i7-8550U プロセッサーが搭載されています。
前世代(第7世代)のインテル Core i7-7500U プロセッサーの CPU スコアは 350cb 前後であるのに対し、レビュー機に搭載された CPU のスコアは 516cb。
ベンチマークのスコアを見る限りでは、およそ 47% 性能がアップしていることが分かります。
グラフィック性能
「3DMark」「ドラゴンクエストXベンチマークソフト」「ファイナルファンタジーXIV: 蒼天のイシュガルド ベンチマーク」「ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター ベンチマーク」、4つのベンチマークソフトを使ってグラフィック性能を測定します。
まず「3DMark」の測定結果です。
「Ice Strom」「Cloud Gate」「Sky Diver」「Fire Strike」「Time Spy」、各シーンの描画の滑らかさをもとにグラフィック性能を測定します。
スコアの高さは描画の快適性を表しています。
測定前に流されるデモ映像を見たイメージとしては、次のような印象でした。
Ice Strom | なめらか描画 |
Cloud Gate | なめらか描画 |
Sky Diver | なめらか描画。若干カクついたシーンもあったが問題ないレベル。 |
Fire Strike | カクカクした描画 |
Time Spy | カクカクした描画 |
次が、「ドラゴンクエストXベンチマークソフト」の測定結果。
標準品質、解像度 1280×720
最高品質、解像度 1280×720
標準品質、解像度 1920×1080
「ファイナルファンタジーXIV:蒼天のイシュガルド ベンチマーク」の測定結果。
標準品質(ノートPC)、解像度 1280×720、DirectX 11
高品質(ノートPC)、解像度 1280×720、DirectX 11
さいごに、「ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター ベンチマーク」の測定結果。
標準品質(ノートPC)、解像度 1280×720、DirectX 11
高品質(ノートPC)、解像度 1280×720、DirectX 11
4つのベンチマークソフトを使ったグラフィック性能の測定結果をみると、『m-Book F576SD-M2SH2』のグラフィック性能レベルは、まずまずの印象です。
動画視聴や写真・動画の編集、ライトなゲームも、気軽に楽しむことができそうです。
ストレージ
『m-Book F576SD-M2SH2』には、高速ストレージ SSD と 大容量ストレージ HDD がデュアルドライブで搭載されています。
ストレージのドライブ構成は次のようになります。
ストレージのドライブ構成
まず、SSD から見てみます。
SSD は、SK Hynix製で 容量 256GB(M.2規格、SATA接続)です。
ストレージ情報(SSD)
SSD のデータ転送速度です。
データ転送速度(SSD)
SSD が搭載されていると、Windows やアプリの起動が早くて快適です。
次に、HDD を見てみます。
HDD は、WESTERN DIGITAL製で 容量は 1TB、回転数は 5400rpm です。
ストレージ情報(HDD)
HDD のデータ転送速度です。
データ転送速度(HDD)
回転数が 5400rpm の HDD としては、なかなか良好なスコアです。
SSD と HDD のデュアルドライブ構成は、Windows や アプリは SSD から素早く起動でき、写真や動画などサイズの大きいデータは HDD にたくさん保存することができる、ストレージとしてコストパフォーマンスに優れた構成です。
総合的なパフォーマンス
「PCMark 8」を使用して、PCのアプリケーション実行における総合的なパフォーマンスを測定します。
Home Test
家庭での利用を想定したテスト内容です。
OpenCL対応の Accelerated にて測定
Creative Test
クリエイティブな利用を想定したテスト内容です。
OpenCL対応の Accelerated にて測定
総合的なパフォーマンスとしては、ハイレベルなゲーミングPC には及ばないものの、一般的なノートパソコンのスコアレベルを上回るスコアです。実際に使った印象としても快適パフォーマンスで動きも軽快でした。
動作音・動作熱
動作音については、負荷のかかる処理中は「サーッ」という排熱するときの気流音が大きくなります。個人差はありますが少し耳障りに感じるかもしれません。
ただ、負荷が低減してくると即応するように排熱も落ち着いてきて気流音も静かになってきます。
パソコンを使っている間、終始負荷のかかる状態が続くわけではないので、それほど気にはならないと思います。
動作熱については、負荷のかかる処理中でも左側排気口の出口周辺が多少温かくなる程度です。
キーボードやパームレストは本体内部の熱の影響を受けることはなく、パームレストはヒンヤリとしたままで温かくなることはありませんでした。
バッテリー
『m-Book F576SD-M2SH2』に搭載されているバッテリーの性能(駆動時間)を測定します。
次の条件で周期的にバッテリーの残量を測定しバッテリー駆動時間を算出します。
・無線LANでインターネットに接続
・YouTubeを全画面で連続再生
・画面の明るさ:最大レベル
・音量:最大レベル
バッテリー駆動時間の測定結果は以下のようになります。
バッテリーの残量は、大よその数字で 1時間当たり 22% 程度減少しています。
バッテリーによる駆動は 3時間57分経過後、Windows がバッテリー不足を検知し、パソコンは休止状態になりました。
バッテリーを多く消費する条件でもバッテリー駆動時間が 4時間くらい持続できることは、15.6型スタンダードノートとしてのバッテリー性能はまずまずです。
モバイルノートではないので、バッテリー駆動時間としては十分と言えるのではないでしょうか。
ちなみに、画面の明るさや音量レベルなどを通常使用レベルに調整すれば、バッテリー駆動時間はもう少し伸びるはずです。
なお、実際の使用にあたっては、環境や条件などによりバッテリーの駆動時間は変動するので、参考値としてください。
サウンド チェック
『m-Book F576SD-M2SH2』には、サウンドユーティリティソフトはインストールされていません。
スピーカーから聴くサウンドの音質もそれなりといったところです。
とはいえ、気軽に動画を楽しむときのサウンドとしては問題ないレベルです。
また、ヘッドホンで聴けば、高音質なサウンドを楽しめます。低音域から高音域までシッカリとした厚みのあるサウンドを聴くことができるので、動画を見るときもヘッドホンを装着すれば迫力が格段にアップします。
Windows の起動・シャットダウン時間計測(動画に収録)
『m-Book F576SD-M2SH2』の Windows起動とシャットダウンの様子を動画に収録しました。
動画収録時の起動時間・シャットダウン時間は次のとおりです。
・起動 : 9.1秒
・シャットダウン : 24.3秒
動画では起動・シャットダウン時間を感覚でイメージできます。
なお、起動・シャットダウン時間は状況により多少変動するので、参考値としてください。
搭載ソフトウェア
『m-Book F576SD-M2SH2』に搭載されている主なソフトウェアです。
Windows標準のソフトのほか、マルチメディアコンテンツの統合パッケージ「CyberLink Media Suite」、ユーティリティーソフト「コントロールセンター」、セキュリティソフト「マカフィー リブセーブ」などがインストールされています。
「CyberLink Media Suite」には、動画編集ソフト「PowerDirector 14」、DVD再生ソフト「Power DVD 14」、ライティングソフト「Power2Go」などが入っています。
CyberLink Media Suite
CyberLink PowerDirector
DVD での動画鑑賞や、ビデオやスマートフォンなどで撮影した動画の編集も気軽に楽しめます。
また、「コントロールセンター」は、使用環境に合わせて、画面の明るさやファンのスピードなど、パソコンの状態を調整・管理することができます。
ユーティリティーソフト「コントロールセンター」
なお、コントロールセンターの画面はタスクトレイに常駐しているアイコンをダブルクリックすると開くことができます。
マニュアル類としては、Windows 10 の操作説明書「Windows 10 ユーザーガイド」や取扱説明書「ハードウェアマニュアル」が PDFファイルで入っており、それぞれスタートメニューから開くことができます。
付属品
『m-Book F576SD-M2SH2』の本体ほか同梱品一式(電源アダプター、電源コード、ドキュメント類)です。
付属しているドキュメント類です。
【上記写真のドキュメント類について】 ■上段左側から ・サポートマニュアル ・製品仕様書 ・ファーストステップガイド ■下段左側から ・保証書 ・U-NEXT プレミアム特典チケット |
サポートマニュアルには、初回設定手順のほか、サポートセンターへの問い合わせ方法についても詳細に記載されています。
サポートマニュアル
サポートセンターへは、電話、メール、FAX での問い合わせが可能で、技術的な問い合わせも OK のようです。
サポートマニュアル(問い合わせ方法)
また、電話による問い合わせが 24時間365日対応しているのも魅力です。もしものトラブルの心配もなく安心してパソコンを使うことができます。
まとめ
以上、『m-Book F576SD-M2SH2』のレビュー記事をお届けしました。
『m-Book F576SD-M2SH2』は、快適なパフォーマンスで軽快に動作してくれます。
また、高速性と保存性を兼ね備えた SSD + HDD のデュアルドライブ構成は Windows やアプリの起動も早くてストレスフリーで使えますし、写真や動画などサイズの大きいデータもたくさん保存することができるので、快適性や使いやすさも格段にアップします。
税込10万円台の価格は性能レベルのわりにリーズナブルです。
液晶の鮮やかさが物足りない点やキーボードに若干のクセがあるものの、性能レベルや使用感の良さ、価格などを鑑みても、トータルバランスとコストパフォーマンスに優れたモデルといえます。
なお、m-Book F シリーズにラインナップしているモデルのスペックや価格など最新情報については、マウスコンピューター公式サイトをご確認ください。