日本HP『HP EliteBook Folio G1』の実機レビュー 後編です。
後編は各種ベンチマークによる性能レビューです。
(後編) ベンチマーク サウンド チェック Windows の起動・再起動・シャットダウン時間計測 搭載ソフトウェア 付属品 まとめ |
レビュー内容については 2018年6月12日時点のものです。
レビュー機のスペック構成については「スペックについて」の章をご覧ください。
ベンチマーク
『HP EliteBook Folio G1』の基本性能や総合的なパフォーマンスのほか、CPU、グラフィック、ストレージ、バッテリーの性能を測定します。
基本性能
Windowsに搭載されているシステム評価ツール「WinSATコマンド」と、パソコンの各性能レベルを客観的に評価する「PASS MARK PerformanceTest 9.0」を使用して、パソコンの基本性能を測定します。
WinSAT
「WinSAT」による測定は、PCの性能を相対的に数値化して表現したもので、各項目の説明は次のとおりです。
CPUScore | CPU のスコア |
D3DScore | ゲーム用グラフィックスのスコア ただし、従来のゲーム用グラフィックスのスコアのため Windows 10では計測対象外(9.9というスコアは無視) |
DiskScore | プライマリハードディスクのスコア |
GraphicsScore | グラフィックスのスコア |
MemoryScore | メモリのスコア |
TimeTaken | 前回の評価(「MostRecentAssessment」は直近の評価を表します) |
WinSATAssessmentState | 評価の状態を表す値(1:評価済み、2:要再評価) |
WinSPRLevel | 基本スコア(SPR:System Performance Rating) |
PASS MARK PerformanceTest 9.0
「PASS MARK PerformanceTest 9.0」で計測されたスコアは、全世界のパソコンがアップロードしたスコアと比較、Percentile(パーセンタイル)の数値から自分のパソコンの性能レベルを客観的に把握することができます。
上記の測定結果を例にすると、トータル性能を示す「PassMark Rating」のスコア「1704.8」のパーセンタイルは「38th Percentile」で、計測を行った他のパソコン 38% よりも上位のスコアという意味です。
別な言い方をすると、「PASS MARK PerformanceTest 9.0」で計測しスコアをアップロードした全世界のパソコンのなかで、上位のスコアから 62%(100% - 38%)に位置するスコアということです。
さまざまなジャンルのパソコンのなかでもスコアランクは中程度のクラスにあたり、レビュー機の『HP EliteBook Folio G1』の基本性能はまずまずのレベルといえるでしょう。
CPU性能
「CINEBENCH」を使って、CPU性能を測定します。
レビュー機『HP EliteBook Folio G1』の CPU には「インテル Core M7-6Y75プロセッサー」が搭載されています。
この CPU は第6世代のプロセッサーで、一般的な低消費電力プロセッサーでもある末尾が「U」のプロセッサーとスコアを比較すると、第5世代の Core i3-5005U に相当する性能です。(Core i3-5005U のスコアは 200cb くらい)
グラフィック性能
グラフィック性能は以下のゲーム系ベンチマークソフトを使って測定します。
■3DMark
■ドラゴンクエストX
■ファイナルファンタジーXIV: 蒼天のイシュガルド
■ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター
3DMark
3DMark は、「ICE STORM」「CLOUD GATE」「SKY DIVER」「FIRE STRIKE」「TIME SPY」、各シーンについてグラフィック性能を測定します。
結果は以下のとおり。
測定前に流されるデモ映像を見たイメージとしては、次のような印象でした。
Ice Strom | なめらか描画 |
Cloud Gate | おおむねなめらか描画。若干カクついたシーンもあったが問題ないレベル |
Sky Diver | 若干カクついた描画だが何とか我慢できるレベル |
Fire Strike | コマ送り描画 |
Time Spy | コマ送り描画 |
ドラゴンクエストX
ドラゴンクエストX では、HD解像度(1280×720) で測定します。
結果は以下のとおり。
低品質、解像度 1280×720
標準品質、解像度 1280×720
最高品質、解像度 1280×720
ファイナルファンタジーXIV:蒼天のイシュガルド
ファイナルファンタジーXIV:蒼天のイシュガルドでは、HD解像度(1280×720) / DirectX 11 の 標準品質(ノートPC) と高品質(ノートPC) で測定します。
結果は以下のとおり。
標準品質(ノートPC)、解像度 1280×720、DirectX 11
高品質(ノートPC)、解像度 1280×720、DirectX 11
ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター
ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーターでも、HD解像度(1280×720) / DirectX 11 の 標準品質(ノートPC) と高品質(ノートPC) で測定します。
結果は以下のとおり。
標準品質(ノートPC)、解像度 1280×720、DirectX 11
高品質(ノートPC)、解像度 1280×720、DirectX 11
上記、4つのベンチマークソフトを使ったグラフィック性能の測定結果をみると、『HP EliteBook Folio G1』のグラフィック性能レベルはそれなりです。
ゲームや 3Dレンダリングのような高度なグラフィック処理には不向きですが、ビジネスに必要なビデオチャットやテレビ会議、動画視聴などには、快適に使える性能を備えています。
ストレージ
ストレージのベンチマークです。
ストレージは SAMSUNG製の SSD で、容量は 256GB、接続規格 M.2 (Type2280) / インターフェイス PCIe / 転送モード NVMe です。
ストレージ情報
ドライブ構成は次のようになります。
SSD のデータ転送速度です。
データ転送速度
SSD が搭載されていると、数字が示す通り Windows や アプリの起動も高速です。
とくに、レビュー機の『HP EliteBook Folio G1』に搭載されている SSD は、対応規格 PCIe / 転送モード NVMe なので、Windows やアプリの起動などストレージへのアクセスは、体感的にも爆速です。
NVMe は、SATA接続の SSD よりも 高速なデータアクセスが可能なので、Windows や アプリもより高速に起動できます。
総合的なパフォーマンス
「PCMark 8」および「PCMark 10」を使用して、PCのアプリケーション実行における総合的なパフォーマンスを測定します。
PCMark 8(Home Test)
家庭での利用を想定したテスト内容です。
(テスト結果はクリックで拡大表示できます)
PCMark 8(Creative Test)
クリエイティブな利用を想定したテスト内容です。
(テスト結果はクリックで拡大表示できます)
PCMark 10 Extended
PCMark 10 Extended は、以下の 4つの Test Group のテストを実施します。
(テスト結果はクリックで拡大表示できます)
■Essentials(普段の作業を想定した基本的なテスト)
■Productivity(ビジネスソフトの使用を想定したテスト)
■Digital Contents Creation(写真・動画編集を想定したテスト)
■Gaming(ゲーミングソフトの使用を想定したテスト)
総合的なパフォーマンスは、モバイルノートとして そこそこ快適なパフォーマンスが期待できるスコアです。
実際に使ってみた印象としてもモッサリ感もなく動きも軽快でした。
とくに、PCMark 10 Extended のトータルスコアが低いものの、 Essentials や Productivity のジャンルのスコアレベルは高く、ビジネスシーンでは快適に使える性能レベルであることが分かります。
動作音・動作熱
動作音については、ファンレス構造のため、負荷のかかる処理中でも静かです。
ただ、動作熱については、負荷のかかる処理になるとヒンジ近くが意外に熱くなります。
キーボード上も温かく、パームレストも多少温かさを感じます。
ファンレス構造なので多少の熱は致し方ありませんが、膝の上で使うときは負荷のかかる処理は避けた方が良いでしょう。
左側の画像:平常時(Windows起動後10分放置)
右側の画像:動画エンコード時(10分間の動画エンコード終了直前)
バッテリー
『HP EliteBook Folio G1』に搭載されているバッテリーの性能(駆動時間と充電時間)を測定します。
■駆動時間
バッテリーでの駆動は、次の条件でバッテリーによる駆動時間を計測します。
・無線LANでインターネットに接続
・YouTubeを全画面で連続再生
・画面の明るさ:最大レベル
・音量:最大レベル
■充電時間
バッテリー充電時間の計測は以下の条件で行います。
・測定開始はバッテリー残量がほぼゼロの状態
・電源アダプターを接続し Windows を起動
・スクリーンセーバー(ラインアート)でパソコンはアイドル状態
※スクリーンタイムアウトや PCスリープは設定しない。
バッテリーの駆動時間と充電時間の測定結果は以下のようになります。
バッテリーの残量は、大よその数字で 1時間当たり 27% ~ 29% 程度減少しています。
バッテリーによる駆動は 3時間28分経過後、Windows がバッテリー不足を検知し、パソコンは休止状態になりました。
バッテリーを多く消費する条件とはいえ、モバイルノートのバッテリー駆動時間が 3時間30分程度であることは残念なところ。
長時間モバイルするときには、ディスプレイの明るさや音量を適度に設定するなど節電モードで使用したほうが良いでしょう。
バッテリー充電については、50%まで充電するのに 1時間2分、充電完了までの所要時間は 2時間37分でした。
実際の使用にあたっては、環境や条件などによりバッテリーの駆動時間は変動するので、参考値としてください。
サウンド チェック
『HP EliteBook Folio G1』は、BANG & OLUFSEN サウンドシステムを搭載しています。
音質を調整できるユーティリティソフトもインストールされています。
音声、音楽、映画など、サウンドの種類に合わせた音質設定のほか、お好みの音質に調整できるプリセット機能やグラフィックイコライザー機能も搭載されています。
実際に聴いてみた印象としては・・・
■スピーカー
低音域が若干弱いものの高音域まで再生できる音域が広く高音質。
■ヘッドホン
低音域から中音域が明瞭になりサウンド全体に厚みが増す。
臨場感あるサウンドを楽しめる。
また、BANG & OLUFSEN ユーティリティソフトには、内蔵マイクで拾う音の範囲を「私の声のみ」「会議」から選択できる機能も搭載されています。ビデオ会議などで活用できそうです。
Windows の起動・再起動・シャットダウン時間計測
Windows の起動時間、再起動時間、シャットダウン時間を それぞれ 5回ずつ計測しました。
感覚的にも結果が示す通り「早い」です。
搭載ソフトウェア
『HP EliteBook Folio G1』に搭載されている主なソフトウェアです。(クリックで拡大表示できます)
Windows標準のソフトのほか、HPソフトウェアパックや HPクライアントセキュリティソフト、HPヘルプ&サポートソフトなど HP 独自ソフトウェアにくわえ、サウンドユーティリティソフト「Bang & Olfsen Audio Control Panel」などがインストールされています。
HPソフトウェアパック「HP SoftPaq Download Manager」では、本モデル向けに HP で提供している各種ソフトウェアやドライバなどのダウンロード、バージョンの管理が可能で、ソフトウェアを最新の状態に維持することができます。
HPヘルプ&サポートソフトとしては、PCのメンテナンスや問題の回避/解決に役立つ機能が搭載された「HP Support Assistant」、パソコンのバックアップ・リカバリーに便利な「HP Recovery Manager」などがインストール。リカバリメディアを作成するツール「Recovery Media Creation」も入っています。リカバリメディアを作成しておけばコンピューターを出荷時の状態に復元することができます。
また、「HP Client Security」では、パソコンやデータ、ユーザー認証情報の保護などセキュリティを強化することができます。
とくに、ビジネスシーンにおいてはセキュリティ対策を強化できる機能は魅力です。
付属品
『HP EliteBook Folio G1』の本体ほか同梱品一式(電源アダプター、ドキュメント類)です。
付属しているドキュメント類は以下のとおりです。
【上記写真のドキュメント類について】 ■上段右側から ・同梱物一覧 ・安心してお使いいただくために ・セットアップ手順 ・HP Notebook PC サービスおよびサポートを受けるために ■下段 ・Application and Driver Recovery DVD |
まとめ
以上、『HP EliteBook Folio G1』のレビュー記事をお届けしました。
『HP EliteBook Folio G1』は、モバイルノートとして快適に使える性能を備えています。
ベンチマークでは、今ひとつのスコアもありましたが、実際の使用感としては、Windows やアプリの起動も早く、動きも軽快で、多くのビジネスシーンで快適に使えそうです。
スタイリッシュなデザインにくわえ薄型・軽量で持ち運びがしやすいのはモバイルノートとして大きなアドバンテージです。
ビジネスシーンで快適に使えるモバイルノートを検討しているなら、チェックしておきたいモデルといえます。
なお、ラインナップしているモデルの詳細や価格、キャンペーンなどの最新情報は、日本HPの直販サイト「HP Directplus」でチェックできます。
日本HP直販「HP Directplus」公式サイト ⇒ 『HP EliteBook Folio G1』製品ページ |
※本モデルは法人向けですが、個人ユーザーも購入することができます。
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