日本HP が販売する HP ProDesk 4 Mini G1i Desktop AI PC [以下、ProDesk 4 Mini G1i と記載]は、インテル Core Ultra プロセッサー(シリーズ2)を搭載したビジネス向け超小型デスクトップPCです。
最大13TOPS(1秒間に13兆回の演算処理)の NPU を内蔵したプロセッサーにより、幅広い業務で安定したパフォーマンスを発揮。ベンチマークによる性能評価でも良好な結果が出ています。
省スペース設計の超小型タイプながら、日常業務はもちろん資料作成や写真編集といったやや負荷のかかる作業にも対応可能。静音性にすぐれ、USB Type-Cを含む豊富なインターフェースや最大4画面のマルチモニター環境を構築できるなど実用性も十分です。
- インテル Core Ultra プロセッサー(シリーズ2)を搭載
- 日常業務からやや負荷のかかる作業まで幅広く対応可能
- 超小型で縦置き/横置きのどちらも可能(オプションのタワースタンドで安定感アップ)
- ダイレクトマウントでモニターと一体化できる
- 超小型でも豊富なインターフェースを搭載
- 最大 4画面出力に対応(DisplayPort2.1×2、HDMI2.1×1、オプションの選択可能ポート×1)
- HP Wolf Security for Business による高度なセキュリティ機能を搭載
- USB 有線キーボードとマウスが付属
本記事では、メーカーからお借りした実機を試用し、前半で外観デザインや本体内部をチェック、後半では各種ベンチマークを使った性能評価を行います。
【 目 次 】
レビューは 2025年12月19日時点の内容です。
スペック構成
ProDesk 4 Mini G1i は、プロセッサー/メモリ/ストレージの組み合わせにより複数のモデルがラインナップ。OS を含めた柔軟なカスタマイズも可能です。
おもなスペック構成は以下のとおり。
| OS | ■Windows 11 Home ■Windows 11 Pro |
| プロセッサー | ■インテル Core Ultra 5 プロセッサー 225T ■インテル Core Ultra 5 プロセッサー 235T ■インテル Core Ultra 7 プロセッサー 265T |
| メモリ | ■8GB(8GB×1) ■16GB(8GB×2) ■16GB(16GB×1) ■32GB(16GB×2) ※PC5-5600(最大 56600MT/s で動作) (最大容量 64GB) |
| ストレージ1 | ■256GB SSD (M.2 NVMe PCIe Value) ■512GB SSD (M.2 NVMe PCIe Value) ■1TB SSD (M.2 NVMe PCIe Value) |
| ストレージ2 | ■なし ■256GB SSD (M.2 NVMe PCIe Value) ■512GB SSD (M.2 NVMe PCIe Value) ■1TB SSD (M.2 NVMe PCIe Value) |
| グラフィックス | ■インテル UHDグラフィックス 2Xe (Core Ultra 5 225T 内蔵) ■インテル UHDグラフィックス 3Xe (Core Ultra 5 235T 内蔵) ■インテル UHDグラフィックス 4Xe (Core Ultra 7 265T 内蔵) ※2Xe, 3Xe, 4Xe は Xe-core 数で、インテル GPUアーキテクチャの基本構成単位。 |
| LAN | インテル I219-LM ギガビットネットワークコネクション (10BASE-T/100BASE-TX/1000BASE-T自動切替、Wake-On-LAN対応) |
| ワイヤレス | ■なし ■Intel AX211 Wi-Fi6E + Bluetooth5.3 (vPro非対応) ■Intel AX211 Wi-Fi6E + Bluetooth5.3 (vPro対応) |
| 本体サイズ (W×D×H) | 約 177×181×34.2 mm |
| 重量 | 約 1.19kg (タワースタンド含まず) |
詳しいスペックや価格、キャンペーンなど最新情報は日本HP公式サイトをご確認ください。

HP ProDesk 4 Mini G1i Desktop AI PC
税込12万円台から
※HP ProDesk 4 Mini G1i Desktop AI PC は法人向けモデルですが、個人ユーザーや SOHO、フリーランスのユーザーも購入できます。
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外観チェック
スクエアなデザインで超コンパクト
ProDesk 4 Mini G1i は、スクエアなフォルムが特徴の非常にコンパクトなデスクトップです


これまで、HP の法人向け超小型デスクトップをレビューしてきましたが、デザインはほぼ共通です。フロントパネルのブランドロゴやポートの配置に若干の違いがあるほか、本体内部のパーツやヒートシンク素材などで差別化されています。
前後左右からの外観は以下のとおり。

前面側と背面側

左右側面
また、天面側と底面側はこちら。

天面側

底面側
底面には VESAマウントに対応したネジ穴があり、それらを囲むようにゴム足が実装されています。設置時の安定感も良好です。

VESAマウント対応のネジ穴
縦置きできる
ProDesk 4 Mini G1i は、縦置きに対応しています。専用の「タワースタンド」を利用することで倒れにくく安定して設置でき、机の端や棚の隙間など限られたスペースでも柔軟なレイアウトが可能です。

タワースタンド



タワースタンドで安定感がアップ
なお、タワースタンドは、購入時の標準構成では同梱されます。不要な場合はカスタマイズで「タワースタンドなし」を選択してください。550円減額されます。
省スペースに置ける
本体の大きさのイメージは以下のとおり。

ティシューボックス、B5ノート(本体の下)と大きさ比較
ProDesk 4 Mini G1i は、デスクトップPCでありながら非常にコンパクト。設置場所を選ばず、机の上に置いても圧迫感がありません。省スペースに設置できるため、作業スペースを広く活用できます。
以下は、各種サイズのモニター(15.6/21.5/23.8インチ)と並べた際の大きさのイメージです。

15.6インチモバイルモニターと大きさ比較

21.5インチモニターと大きさ比較

23.8インチモニターと大きさ比較
ダイレクトマウントでモニターと一体化できる
純正アクセサリーの「HP Quick Release 2」や「ダイレクトマウントブラケット」を使えば対応するモニターの背面に直接装着してモニターと一体化することができます。
以下は、HP Quick Release 2 を使用したダイレクトマウント対応モニター背面への取り付けイメージの動画です。
活用事例はこちら。
純正アクセサリーの詳細については、公式サイトをご覧ください。
本体は超軽量
本体や電源アダプターの質量の実測値は以下のとおり。

・本体:1,176g
・電源アダプター:286g
・電源コード:167g
本体の質量は、一般的なモバイルノートに相当する軽さで非常に軽量です。設置や移動も手軽に行えます。

本体は超軽量
電源アダプターの最大出力は90W。一般的なノートPC用アダプターより一回り大きめのサイズですが、省スペースに置けますし、ケーブルは十分な長さが確保されているのでアダプターをデスク下に設置することも可能です。


インターフェースのチェック
超小型でもインターフェースは充実
ProDesk 4 Mini G1i は、超小型ながら USB Type-C や DisplayPort など豊富なインターフェースを搭載しています。

■前面側
①USB Type-C 20Gbps転送
②USB Type-A 10Gbps転送 ×2
③ヘッドフォン/マイクロフォンコンボジャック
④電源ボタン

■背面側
⑤HDMI 2.1
⑥DisplayPort 2.1 ×2
⑦USB Type-A 5Gbps転送 ×2
⑧セキュリティロックケーブル用スロット
⑨選択可能ポート(オプション:なし / VGA / HDMI 2.1 / USB Type-A 3.1 Gen1 ×2 / シリアルポート / USB Type-Cポート(10Gbps対応) Altモード から選択可能)
⑩USB Type-A 5Gbps転送
⑪ネットワークポート(RJ45)ギガビット対応
⑫電源コネクター
標準構成で 3画面出力に対応し、カスタマイズで選択可能ポートに映像出力ポートを追加すれば最大4画面まで拡張できます。超小型ながら最大4画面ものマルチディスプレイ環境を構築できる点は、作業を効率化するうえで大きな魅力です。
本体内部のチェック
ProDesk 4 Mini G1i の本体を分解、内部をチェックします。
※パーツの増設や換装は自己責任で行ってください。
本体内部へのアクセスはかんたん
内部へアクセスするには、固定用のネジを1本を十分にゆるめ、天面カバーを前面側へスライドさせるだけです。
なお、ネジの締め付けが固い場合は、一般的なマイナスドライバーやトルクスドライバー T15 を使用すれば問題なく対応できます。

矢印の指すネジを十分にゆるめる

天面カバーを前面側へスライドする

前面パネルと天面カバーは一体化されている
本体内部の全体イメージです。

本体内部の全体イメージ

手前がフロント側
CPU実装エリアのカバーの下にはアルミニウム製と思われるヒートシンクが装着されています。

CPUにはヒートシンクが装着
銅製ほどの熱伝導率はありませんが、アルミ製はコストと熱伝導性のバランスにすぐれており、コンパクトな筐体でも効率的な冷却を実現しています。冷却機構は十分に考慮されており、高負荷時でも安定した動作と静音性が期待できる設計です。
メモリ実装エリアはフロント側ファンの下にあり、ファンを持ち上げることで容易にアクセスできます。

メモリ実装エリア

ファンをフロント側から持ち上げる

メモリはシールドでカバーされている

メモリスロットは2つ
以下は、SSD とワイヤレスLAN の実装エリアです。

SSD スロットは2つ
SSD スロットは 2基搭載。レビュー機のように SSD 1基のみでも 1スロットは空いているため、後付けで増設することも可能です。
このように、本体内部へのアクセスは非常にかんたんで、メモリやSSDの増設・換装も用途に応じて柔軟に行えます。
さらに、内部構造がシンプルなためホコリの除去など定期的なクリーニング作業も容易です。定期的に清掃することで内部にホコリがたまらず、安定した動作を維持できます。
ベンチマークによる性能評価
ベンチマークでは、レビュー機の CPU・グラフィック・ストレージ性能のほか総合的なパフォーマンスを評価します。
■レビュー機の基本スペック
| OS | Windows 11 Pro |
| プロセッサー | インテル Core Ultra 7 プロセッサー 265T |
| メモリ | 32GB(16GB×2) |
| ストレージ | 1TB SSD (M.2 PCIe NVMe) |
| グラフィックス | インテル UHDグラフィックス 4Xe |
■使用したベンチマーク
| 比較項目 | 使用するベンチマーク |
|---|---|
| CPU性能 | CINEBENCH R23[CPUのレンダリング性能評価] |
| CPU Mark (PassMark PerformanceTest)[CPU性能の総合評価] | |
| グラフィック性能 | 3DMark Time Spy |
| ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ[中量級のゲーム] | |
| ファイナルファンタジーXV[重量級のゲーム] | |
| ストレージ性能 | CrystalDiskMark |
| 総合的なパフォーマンス | PCMark 10 |
なお、ベンチマークの実施にあたっては、電源オプションの電源プランを「HP Optimized」に設定し、電源モードは「バランス」と「最適なパフォーマンス」の2モードそれぞれで実施しています。

電源プランの設定

電源モードの設定
CPU性能
CPU性能は CINEBENCH R23(マルチコア/シングルコア) と CPU Mark(PassMark PerformanceTest) のベンチマークスコアで評価します。
評価にあたっては、性能レベルを把握するため下記 CPU のスコアと比較します。
・インテル Core Ultra 7 265
・インテル Core Ultra 5 235
・インテル Core i7-14700F
・インテル Core i5-14400
・インテル Core i7-13700F
・インテル Core i5-13400
・AMD Ryzen 7 8700G
・AMD Ryzen 5 8500G
・インテル Core Ultra 7 258V (*1)
・インテル Core Ultra 5 228V (*1)
・AMD Ryzen AI 9 365 (*1)
・AMD Ryzen AI 7 350 (*1)
・AMD Ryzen AI 5 340 (*1)
・AMD Ryzen 7 250 (*1)
・AMD Ryzen 5 220 (*1)
※当サイトで計測したスコアの平均値
(*1)はノートパソコン向け CPU のスコア
CINEBENCH R23[CPUのレンダリング性能評価]
| CINEBENCH R23 (マルチコア) | |
|---|---|
| Core Ultra 7 265 |
32198 pts
|
| Core i7-14700F |
25086 pts
|
| Core i7-13700F |
24151 pts
|
| Core Ultra 5 235 |
22200 pts
|
| Ryzen AI 9 365 |
21895 pts
|
| Core Ultra 7 265T (レビュー機/最適なパフォーマンス) |
18475 pts
|
| Core Ultra 7 265T (レビュー機/バランス) |
18130 pts
|
| Ryzen 7 8700G |
16835 pts
|
| Core i5-13400 |
14327 pts
|
| Ryzen AI 7 350 |
14262 pts
|
| Core i5-14400 |
13897 pts
|
| Ryzen AI 5 340 |
12594 pts
|
| Ryzen 7 250 |
12323 pts
|
| Ryzen 5 8500G |
11094 pts
|
| Core Ultra 5 228V |
9973 pts
|
| Core Ultra 7 258V |
9873 pts
|
| Ryzen 5 220 |
9812 pts
|
| CINEBENCH R23 (シングルコア) | |
|---|---|
| Core Ultra 7 265T (レビュー機/最適なパフォーマンス) |
2076 pts
|
| Core i7-14700F |
2056 pts
|
| Core Ultra 7 265 |
2048 pts
|
| Ryzen AI 9 365 |
2006 pts
|
| Core i7-13700F |
1997 pts
|
| Ryzen AI 7 350 |
1911 pts
|
| Core Ultra 7 265T (レビュー機/バランス) |
1904 pts
|
| Ryzen AI 5 340 |
1900 pts
|
| Core Ultra 7 258V |
1873 pts
|
| Ryzen 7 8700G |
1804 pts
|
| Core i5-14400 |
1787 pts
|
| Core i5-13400 |
1744 pts
|
| Core Ultra 5 228V |
1735 pts
|
| Ryzen 5 220 |
1676 pts
|
| Ryzen 7 250 |
1670 pts
|
| Core Ultra 5 235 |
1497 pts
|
| Ryzen 5 8500G |
1473 pts
|
CPU Mark (PassMark PerformanceTest)[CPU性能の総合評価]
| CPU Mark (PassMark PerformanceTest) | |
|---|---|
| Core Ultra 7 265 |
51999
|
| Core i7-13700F |
40791
|
| Core Ultra 5 235 |
39937
|
| Core i7-14700F |
39925
|
| Ryzen AI 9 365 |
37196
|
| Core Ultra 7 265T (レビュー機/最適なパフォーマンス) |
35939
|
| Core Ultra 7 265T (レビュー機/バランス) |
35561
|
| Ryzen 7 8700G |
31003
|
| Ryzen AI 7 350 |
25443
|
| Core i5-14400 |
25413
|
| Ryzen 7 250 |
25295
|
| Ryzen AI 5 340 |
21976
|
| Ryzen 5 8500G |
21794
|
| Core i5-13400 |
21695
|
| Core Ultra 7 258V |
20691
|
| Core Ultra 5 228V |
20106
|
| Ryzen 5 220 |
19348
|
レビュー機に搭載されている Core Ultra 7 265T は電力効率を重視したプロセッサーです。そのため、標準的な消費電力で高い性能の Core Ultra 7 265 (Tなし) にくらべるとマルチコア性能のスコアはひかえめです。
とはいえ、ベンチマークでは Core i7-14700F に近い結果を示しており、十分に良好な性能を確認できました。
コンパクトな筐体ながら、オフィスソフト・メール・ネット検索・オンライン会議といった一般的な業務はもちろん、画像編集や軽めの動画処理など多少負荷のかかる作業でも快適なパフォーマンスが期待できます。
グラフィック性能
グラフィック性能はゲーム系のベンチマークで評価します。
評価にあたっては、グラフィックス性能レベルを把握するため当サイトでレビューした下記グラフィックス(デスクトップ向けCPU内蔵グラフィックス)のスコアと比較します。
・インテル UHD グラフィックス 770
・インテル UHD グラフィックス 750
・インテル UHD グラフィックス 730
・AMD Radeon 780M グラフィックス (Ryzen 7 8700G内蔵)
・AMD Radeon グラフィックス
※当サイトで計測したスコアの平均値
3DMark Time Spy
Time Spy は DirectX 12 を使用したハイパフォーマンスゲーミングPC向けのグラフィックス性能テストです。
| 3DMark Time Spy | |
|---|---|
| AMD Radeon 780M (Ryzen 7 8700G内蔵) |
2344
|
| インテル UHD 4Xe (レビュー機/バランス) |
2213
|
| インテル UHD 4Xe (レビュー機/最適なパフォーマンス) |
2165
|
| AMD Radeon |
903
|
| インテル UHD 770 |
845
|
| インテル UHD 750 |
690
|
| インテル UHD 730 |
668
|
ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ[中量級のゲーム]
| ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ | |
|---|---|
| AMD Radeon 780M (Ryzen 7 8700G内蔵) |
3939
|
| インテル UHD 4Xe (レビュー機/バランス) |
3823
|
| インテル UHD 4Xe (レビュー機/最適なパフォーマンス) |
3770
|
| インテル UHD 770 |
2174
|
| AMD Radeon |
1894
|
| インテル UHD 730 |
1558
|
| インテル UHD 750 |
1494
|
※最高品質/解像度 1920×1080 で実施
ファイナルファンタジーXV[重量級のゲーム]
| ファイナルファンタジーXV | |
|---|---|
| AMD Radeon 780M (Ryzen 7 8700G内蔵) |
1818
|
| インテル UHD 4Xe (レビュー機/最適なパフォーマンス) |
1557
|
| インテル UHD 4Xe (レビュー機/バランス) |
1501
|
| インテル UHD 770 |
809
|
| AMD Radeon |
759
|
| インテル UHD 750 |
628
|
| インテル UHD 730 |
622
|
※高品質/解像度 1920×1080 で実施
レビュー機は、グラフィックス・スコアも良好です。
オフィスソフトやオンライン会議などビジネスにおける一般的な使いかたはもちろん、多少高度なグラフィックス処理を伴う作業も十分にこなせる性能レベルです。
ちなみに、CPU内蔵のグラフィックスは、CPU性能のほかにも搭載されているメモリ容量や構成チャネル(シングル/デュアル)に依存します。
レビュー機は、32GB (16GB×2) のデュアルチャネル構成のため、良好なスコアを確認できました。逆に 8GB や 16GBメモリ 1枚のシングルチャネル構成ではグラフィックス・パフォーマンスがデュアルチャネル構成にくらべかなりひかえめになることは留意が必要です。マルチウィンドウ環境で複数のアプリを動かしながらのオンライン会議や画像編集、軽めの3Dモデリングなど、より高度なグラフィックス処理を求めるならデュアルチャネル構成をおすすめします。
ストレージ性能
レビュー機に搭載されている SSD は 容量 1TB で PCIe4.0 NVMe 対応です。ストレージ情報は以下のとおり。

ストレージ情報
(シリアルナンバーは隠しています)
ストレージ性能は、CrystalDiskMark を使用しデータ転送速度を計測・評価します。

データ転送速度
※電源モードを「バランス」に設定して計測した結果。「最適なパフォーマンス」での計測結果も同等です。
計測結果はシーケンシャルリード/ライトともに良好で、高速なデータアクセスを実現しています。
実際の使用感としても、ファイルの読み書きやアプリの起動がスムーズで、待ち時間を感じさせない快適な動作が得られるでしょう。
総合的なパフォーマンス
PCMark 10 を使って、実際の使用を想定した性能評価を行います。
評価にあたっては、性能レベルの違いを把握するため下記機種のスコアと比較します。
・HP EliteDesk 8 Mini G1a Desktop Next Gen AI PC(超小型)
・HP EliteDesk 8 Mini G1a Desktop PC(超小型)
・HP Elite Mini 805 G8(超小型)
・HP ProDesk 2 SFF G1i Desktop PC(省スペース型)
・HP EliteDesk 8 Tower G1i Desktop AI PC(ミニタワー型)
※当サイトで計測したスコア(パフォーマンスモードに相当する設定でのスコア)
各機種の基本スペックは以下のとおり。
| スペック | ProDesk 4 Mini G1i (レビュー機) |
EliteDesk 8 Mini G1a AI | EliteDesk 8 Mini G1a | Elite Mini 805 | ProDesk 2 SFF G1i | EliteDesk 8 Tower G1i |
|---|---|---|---|---|---|---|
| CPU | インテル Core Ultra 7 265T | AMD Ryzen AI 5 340 | AMD Ryzen 5 220 | AMD Ryzen 7 5700GE | インテル Core i7-14700 | インテル Core Ultra 5 235 |
| メモリ | 32GB(16GB×2) | 32GB(16GB×2) | 16GB(16GB×1) | 16GB(16GB×1) | 16GB(16GB×1) | 16GB(8GB×2) |
| ストレージ | 1TB SSD | 512GB SSD | 512GB SSD | 512GB SSD | 512GB SSD | 1TB SSD + 1TB HDD |
| グラフィックス | インテルグラフィックス 4Xe | AMD Radeon 840M | AMD Radeon 740M | AMD Radeon Vega 7 | インテル UHD 770 | インテルグラフィックス 3Xe |
ベンチマーク結果は以下のとおり。
| Essentials | |
|---|---|
| ProDesk 4 Mini G1i (レビュー機/バランス) |
8829
|
| ProDesk 4 Mini G1i (レビュー機/最適なパフォーマンス) |
8824
|
| EliteDesk 8 Mini G1a AI |
9399
|
| EliteDesk 8 Mini G1a |
8043
|
| Elite Mini 805 |
8431
|
| ProDesk 2 SFF G1i |
11129
|
| EliteDesk 8 Tower G1i |
9455
|
| 目標値 |
4100
|
| Productivity | |
| ProDesk 4 Mini G1i (レビュー機/バランス) |
8620
|
| ProDesk 4 Mini G1i (レビュー機/最適なパフォーマンス) |
9699
|
| EliteDesk 8 Mini G1a AI |
9190
|
| EliteDesk 8 Mini G1a |
8392
|
| Elite Mini 805 |
8649
|
| ProDesk 2 SFF G1i |
8583
|
| EliteDesk 8 Tower G1i |
9904
|
| 目標値 |
4500
|
| Digital Contents Creation | |
| ProDesk 4 Mini G1i (レビュー機/バランス) |
7798
|
| ProDesk 4 Mini G1i (レビュー機/最適なパフォーマンス) |
7830
|
| EliteDesk 8 Mini G1a AI |
7771
|
| EliteDesk 8 Mini G1a |
5966
|
| Elite Mini 805 |
5081
|
| ProDesk 2 SFF G1i |
7392
|
| EliteDesk 8 Tower G1i |
8905
|
| 目標値 |
3450
|
※テスト項目説明
・Essentials(普段の作業を想定した基本的なテスト)
・Productivity(ビジネスソフトの使用を想定したテスト)
・Digital Contents Creation(写真・動画編集を想定したテスト)
※目標値はベンチマークソフト開発メーカーの推奨スコア
レビュー機のスコアは優秀です。
筐体サイズは超小型でも、ミニタワー型デスクトップに匹敵するスコアが出ています。
一般的なビジネス用途はもちろん、マルチウィンドウ環境でのオンライン会議、写真編集や軽めの動画編集といった多少高度なグラフィックス処理を伴う作業でも快適な動作が期待できます。
関連記事
クリエイティブ性能の評価
クリエイティブ性能は RAWデータ現像(JPEGファイル書き出し)と動画エンコードの処理時間で評価します。
評価にあたっては、上記の総合的なパフォーマンスで使用した機種の処理時間と比較します。
・HP EliteDesk 8 Mini G1a Desktop Next Gen AI PC(超小型)
・HP EliteDesk 8 Mini G1a Desktop PC(超小型)
・HP Elite Mini 805 G8(超小型)
・HP ProDesk 2 SFF G1i Desktop PC(省スペース型)
・HP EliteDesk 8 Tower G1i Desktop AI PC(ミニタワー型)
※当サイトで計測した処理時間(パフォーマンスモードに相当する設定での処理時間)
RAWデータ現像
RAWデータ現像に使用したソフトウェアや条件、処理時間は以下のとおりです。
■使用ソフトウェア
Adobe Photoshop Lightroom
Adobe Photoshop Lightroom Classic
■条件等
・RAWデータ 50ファイルをJPEG形式で一括書き出し
・RAWデータサイズ 4,592×3,056(約14MB)
・プリセット等 編集は適用しない
・ほかのアプリは起動しない(常駐アプリは除く)
■処理結果
| Photoshop Lightroom | |
|---|---|
| ProDesk 4 Mini G1i (レビュー機/バランス) |
12秒8
|
| ProDesk 4 Mini G1i (レビュー機/最適なパフォーマンス) |
12秒5
|
| EliteDesk 8 Mini G1a AI |
14秒7
|
| EliteDesk 8 Mini G1a |
31秒8
|
| Elite Mini 805 |
1分2秒2
|
| ProDesk 2 SFF G1i |
16秒2
|
| EliteDesk 8 Tower G1i |
9秒9
|
| Lightroom Classic | |
| ProDesk 4 Mini G1i (レビュー機/バランス) |
11秒3
|
| ProDesk 4 Mini G1i (レビュー機/最適なパフォーマンス) |
11秒2
|
| EliteDesk 8 Mini G1a AI |
15秒7
|
| EliteDesk 8 Mini G1a |
30秒0
|
| Elite Mini 805 |
1分1秒1
|
| ProDesk 2 SFF G1i |
13秒3
|
| EliteDesk 8 Tower G1i |
9秒6
|
動画エンコード
動画エンコードに使用したソフトウェアや条件、処理時間は以下のとおりです。
■使用ソフトウェア
CyberLink PowerDirector
■条件等
・AVCHD動画(1920×1080)を mp4 形式で出力(m2ts→mp4、720p、1280×720/30p 16Mbps)
・動画再生時間 10分間
・ほかのアプリは起動しない(常駐アプリは除く)
■処理結果
| PowerDirector | |
|---|---|
| ProDesk 4 Mini G1i (レビュー機/バランス) |
1分19秒1
|
| ProDesk 4 Mini G1i (レビュー機/最適なパフォーマンス) |
1分18秒1
|
| EliteDesk 8 Mini G1a AI |
1分3秒1
|
| EliteDesk 8 Mini G1a |
1分43秒0
|
| Elite Mini 805 |
3分17秒7
|
| ProDesk 2 SFF G1i |
1分4秒1
|
| EliteDesk 8 Tower G1i |
56秒3
|
レビュー機は、実際のソフトウェアを用いたクリエイティブ性能評価でも良好な結果を示しました。
最大13TOPS(1秒間に13兆回の演算処理)という AI処理能力にくわえ、32GBの大容量メモリをデュアルチャネルで構成していることが処理の高速化に大きく寄与しています。超小型な筐体でも写真・動画編集など軽めのコンテンツ作成や 3Dレンダリングにも十分対応できるでしょう。
なお、クリエイティブ性能はメモリ容量やチャネル構成にも左右されるため、導入時には留意が必要です。
駆動音・パーツ温度のチェック
ProDesk 4 Mini G1i の駆動音とパーツ温度をチェックします。
駆動音のチェック
駆動音は、下記処理中の音量(デシベル)を測定し、評価します。
・CPU ベンチマーク「CINEBENCH R23 /マルチ Core」実行中
・10分間動画のエンコード処理中
※一般住宅で周囲の音ができるだけ入らないようにして測定(室温:25℃)

音量計測イメージ
(使用測定器:Meterk SLM01)
■測定結果
| 電源モード | アイドル状態 (最小音量) |
最大音量 下段はピーク時の音量推移 |
|
|---|---|---|---|
| ベンチマーク中 | 動画エンコード中 | ||
| バランス | 33.8db | 36.2db (35~36db) |
36.3db (35~36db) |
| 最適なパフォーマンス | 33.8db | 36.4db (35~36db) |
36.3db (35~36db) |
■騒音の目安
| 騒音の大きさ | 騒音の具体例 |
|---|---|
| 60 デシベル | 走行中の自動車内 普通の会話 デパート店内 |
| 50 デシベル | 家庭用エアコンの室外機 静かな事務所の中 |
| 40 デシベル | 閑静な住宅地の昼 図書館内 |
| 30 デシベル | 深夜の郊外 鉛筆での執筆音 |
| 20 デシベル | 木の葉の触れ合う音 雪の降る音 |
参考:埼玉県深谷市ホームページ「騒音・振動の規制について」
アイドル時は「サーッ」というファン音が ほんのかすかに聞こえます。耳を近づけて聞こえる程度なので気になることはないでしょう。
高負荷時は「サーッ」という排気音が少し大きくなる程度です。音量も控えめなので、うるさく感じることはありません。
また、負荷が下がればファン回転数も徐々に落ち着き、2分ほどでアイドル時の状態に戻ります。一般的な業務で負荷の高い状態が長時間続くケースは少ないため、駆動音が作業の妨げになるケースはほとんどないでしょう。
※駆動音は使用環境やパソコンの負荷状況により変動します。
パーツ温度のチェック
パーツ温度については、下記を実施中の CPU の動作周波数(クロック)と温度を計測・評価します。
・CPU ベンチマーク「CINEBENCH R23 Multi Core」10分間実行中
※電源モードを「バランス」に設定して計測
※計測時の室温:25℃

CPU ベンチマーク実行中
CPUの温度が80℃前後に達した状態でも、安定したパフォーマンスを維持しています。
本機は、超小型の筐体ながら熱対策が十分に施されており、計測結果のグラフでも示されるように、負荷の高い処理が長時間続いてもパフォーマンスの低下は起きにくく、安定した動作が期待できます。
なお、検証中、サーマルスロットリングは発生していませんでした。サーマルスロットリングは、熱によるパーツのダメージを未然に防ぐため、動作周波数を下げパフォーマンスを抑制する機能です。
Windows の起動・再起動・シャットダウン時間計測
Windows の起動時間、再起動時間、シャットダウン時間を それぞれ 5回ずつ計測しました。
| 回 | 起動 | 再起動 | シャットダウン |
|---|---|---|---|
| 1回目 | 22.3秒 | 39.1秒 | 8.4秒 |
| 2回目 | 21.7秒 | 38.6秒 | 8.4秒 |
| 3回目 | 21.8秒 | 42.3秒 | 8.7秒 |
| 4回目 | 22.3秒 | 44.1秒 | 8.4秒 |
| 5回目 | 21.8秒 | 42.6秒 | 8.8秒 |
| 平均 | 22.0秒 | 41.3秒 | 8.5秒 |
実際の使用にあたってはインストールしているアプリや Windows の更新など使用状況により時間は変動するので参考値としてください。
同梱品
本体ほか同梱品一式です。

同梱品リスト
・ProDesk 4 Mini G1i 本体
・電源アダプター
・電源コード
・タワースタンド
・USBキーボード
・USBマウス
・ドキュメント類
なお、同梱されているキーボードとマウスの概要は以下のとおり。

キーボードは標準レイアウト (Copilotキー、テンキー付き)

印刷されている英数字が大きくて見やすい

キーボードの傾きは2段階で変更可能

マウスはホイール付き

マウスは手のひらにフィットするサイズ
マウスはホイールクリック機能付きです。ホイールをクリックすれば、マウスの上下移動で上下スクロールが可能です。(アプリによっては上下左右の移動も可能)
まとめ
以上、HP ProDesk 4 Mini G1i Desktop AI PC のレビュー記事をお届けしました。
ProDesk 4 Mini G1i は、オフィスソフトやオンライン会議のような一般的なビジネス用途はもちろん、データ処理や軽めのクリエイティブ作業にも対応可能。AI パフォーマンスを高める NPUを内蔵しているので、幅広い業務に安定したパフォーマンスを発揮できます。
省スペースへ設置でき、対応モニターとの一体化も可能。デスク上のスペースを有効に活用できる点は超小型デスクトップならではの魅力です。
省スペース性、十分な処理性能と AI 処理能力、静音性などのバランスが取れた本機は、小規模オフィスや在宅ワーク環境でも扱いやすく、毎日の業務を安定してこなせる、実用性の高いモデルといえるでしょう。
高評価のポイント
- 十分な処理性能と AI 処理能力で日常業務から多少負荷のかかる作業まで対応できる
- 省スペース環境でも柔軟に設置できる
- ビジネス用途に必要なポート類も充実
- 静音性・熱対策が良好
- 本体内部へのアクセスが容易で、メンテナンス性も高い
気をつけておきたいところ
- 内蔵HDDの増設は不可(HDDなどの大容量ストレージの増設は外付けで対応)
ラインナップしているモデルや価格、キャンペーンなど最新情報は日本HP直販サイト「HP Directplus」をご確認ください。

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