デル『Latitude 12 7000 (7280)』実機レビュー 後編です。
後編では、各種ベンチマークによる『Latitude 12 7000』の性能レビューを行います。
なお、レビュー機のスペック構成については「スペックについて」の章をご覧ください。
(後編) ベンチマーク サウンド チェック Windows の起動・再起動・シャットダウン時間計測 搭載ソフトウェア 付属品 まとめ |
レビュー内容については 2018年4月4日時点のものになります。
ベンチマーク
『Latitude 12 7000』の基本性能や総合的なパフォーマンスのほか、CPU、グラフィック、ストレージ、バッテリーの性能を測定します。
基本性能
Windowsに搭載されているシステム評価ツール「WinSATコマンド」と、パソコンの各性能レベルを客観的に評価する「PASS MARK PerformanceTest 9.0」を使用して、パソコンの基本性能を測定します。
WinSAT
「WinSAT」による測定は、PCの性能を相対的に数値化して表現したもので、各項目の説明は次のとおりです。
CPUScore | CPU のスコア |
D3DScore | ゲーム用グラフィックスのスコア ただし、従来のゲーム用グラフィックスのスコアのため Windows 10では計測対象外(9.9というスコアは無視) |
DiskScore | プライマリハードディスクのスコア |
GraphicsScore | グラフィックスのスコア |
MemoryScore | メモリのスコア |
TimeTaken | 前回の評価(「MostRecentAssessment」は直近の評価を表します) |
WinSATAssessmentState | 評価の状態を表す値(1:評価済み、2:要再評価) |
WinSPRLevel | 基本スコア(SPR:System Performance Rating) |
PASS MARK PerformanceTest 9.0
「PASS MARK PerformanceTest 9.0」で計測されたスコアは、全世界のパソコンがアップロードしたスコアと比較、Percentile(パーセンタイル)の数値から自分のパソコンの性能レベルを客観的に把握することができます。
上記の測定結果を例にすると、トータル性能を示す「PassMark Rating」のスコア「2811.8」のパーセンタイルは「65th Percentile」で、計測を行った他のパソコン 65% よりも上位のスコアという意味です。
別な言い方をすると、「PASS MARK PerformanceTest 9.0」で計測しスコアをアップロードした全世界のパソコンのなかで、上位のスコアから 35%(100% - 65%)に位置するスコアということです。
さまざまな性能レベルのパソコンのなかでのランクなので、『Latitude 12 7000』の基本性能としては、まずまずの性能レベルといえます。
CPU性能
「CINEBENCH」を使って、CPU性能を測定します。
レビュー機『Latitude 12 7000』の CPU には第7世代インテル Core i5-7300U プロセッサーが搭載されています。
同世代のインテル Core i7-7500U プロセッサーの CPU スコアは 350cb 前後であることから、レビュー機に搭載された CPU 性能は意外と高いレベルであることが分かります。
もちろん、最新世代(第8世代)の Core i5-8250U プロセッサーのほうがスコアは高いのですが、価格も高くなってしまいます。(Core i5-8250U のスコアは 530cbくらい)
ビジネス向けのモバイルノートとしてなら、第7世代の CPU のほうがコストパフォーマンスに優れているといっても良いでしょう。
グラフィック性能
「3DMark」「ドラゴンクエストXベンチマークソフト」「ファイナルファンタジーXIV: 蒼天のイシュガルド ベンチマーク」「ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター ベンチマーク」、4つのベンチマークソフトを使ってグラフィック性能を測定します。
まず「3DMark」の測定結果です。
「ICE STORM」「CLOUD GATE」「SKY DIVER」「FIRE STRIKE」「TIME SPY」、各シーンの描画の滑らかさをもとにグラフィック性能を測定します。
スコアの高さは描画の快適性を表しています。
測定前に流されるデモ映像を見たイメージとしては、次のような印象でした。
ICE STORM | なめらか描画 |
CLOUD GATE | なめらか描画 |
SKY DIVER | 若干カクついた描画だが問題ないレベル |
FIRE STRIKE | カクカクした描画 |
TIME SPY | カクカクした描画 |
つぎが「ドラゴンクエストXベンチマークソフト」の測定結果。
標準品質、解像度 1280×720
最高品質、解像度 1280×720
標準品質、解像度 1920×1080
つぎが「ファイナルファンタジーXIV:蒼天のイシュガルド ベンチマーク」の測定結果。
標準品質(ノートPC)、解像度 1280×720、DirectX 11
高品質(ノートPC)、解像度 1280×720、DirectX 11
さいごに、「ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター ベンチマーク」の測定結果。
標準品質(ノートPC)、解像度 1280×720、DirectX 11
高品質(ノートPC)、解像度 1280×720、DirectX 11
4つのベンチマークソフトを使ったグラフィック性能の測定結果をみると、『Latitude 12 7000』プラチナモデルのグラフィック性能はまずまずのレベルです。
高度なグラフィック処理を必要とするヘビーなゲームには向かないものの、ビジネスシーンでのビデオチャットやテレビ会議、動画視聴など、充分快適に使える性能レベルです。
ストレージ
『Latitude 12 7000』プレミアムモデルのストレージには、インテル製の SSD(容量 256GB SATA接続)が搭載されています。
ストレージ情報
SSD のドライブ構成は次のようになります。
SSD のデータ転送速度です。
データ転送速度
SSD が搭載されていると、スコアの示すとおり、Windows やアプリの起動も高速です。
総合的なパフォーマンス
「PCMark 8」を使用して、PCのアプリケーション実行における総合的なパフォーマンスを測定します。
Home Test
家庭での利用を想定したテスト内容です。
(テスト結果はクリックで拡大表示できます)
Creative Test
クリエイティブな利用を想定したテスト内容です。
(テスト結果はクリックで拡大表示できます)
総合的なパフォーマンスは、一般的なノートパソコンよりもスコアが上で、ビジネスノートとしても快適なパフォーマンスが期待できるスコアです。
動作音・動作熱
動作音については、負荷のかかる処理中は「サーッ」という排熱するときの気流音が聞こえますが、それほど大きな音ではなく耳ざわりにではありません。
負荷が低減してくると即応するように気流音も静かになってきます。
通常の状態での動作音は静かであることや、負荷のかかる状態でも動作音が耳ざわりに感じるほど大きな音ではないことを考慮すれば、それほど気になることはないでしょう。
また、動作熱については、負荷のかかる処理中に本体内部の熱が上昇してくると、キーボードの奥側にいくほど温かさを感じます。
ヒンジ周辺(排気口の近く)はいちばん温かさを感じますが熱いという感覚ではなく、また、キーボードの手前側は本体の熱の影響を受けにくく、パームレストは常温の状態なので不快な感じはありません。
バッテリー
『Latitude 12 7000』に搭載されているバッテリーの性能(駆動時間と充電時間)を測定します。
■駆動時間
バッテリーでの駆動は、次の条件でバッテリーによる駆動時間を計測します。
・無線LANでインターネットに接続
・YouTubeを全画面で連続再生
・画面の明るさ:最大レベル
・音量:最大レベル
■充電時間
バッテリー充電時間の計測は以下の条件で行います。
・測定開始はバッテリー残量がほぼゼロの状態
・電源アダプターを接続し Windows を起動
・スクリーンセーバー(ラインアート)でパソコンはアイドル状態
※スクリーンタイムアウトや PCスリープは設定しない。
バッテリーの駆動時間と充電時間の測定結果は以下のようになります。
バッテリーで駆動しているとき、バッテリーの残量は大よその数字で 1時間当たり 9 ~ 10% くらいずつ減少しています。
バッテリーによる駆動は 9時間 38分経過後、Windows がバッテリー不足を検知し、パソコンは休止状態になりました。
バッテリーを多く消費する条件でもバッテリー駆動時間が 9時間30分以上持続できることは、かなり高い性能といえるでしょう。
ディスプレイの明るさや音量を適度に設定するなど節電モードを意識しなくても良いくらいです。
また、バッテリー充電については、50%まで充電するのに 57分、充電完了までの所要時間は 2時間38分でした。
実際の使用にあたっては、環境・条件などによりバッテリーの駆動時間や充電時間は変動するので、参考値としてください。
サウンド チェック
『Latitude 12 7000』には、サウンドユーティリティソフト「Waves MaxxAudio Pro」が搭載されています。
Waves MaxxAudio Pro には、イコライジング機能を使ってお好みのサウンドにチューニングすることもできます。
Waves MaxxAudio Pro サウンド ユーティリティソフト
実際にサウンドを聴いてみた印象です。
■スピーカー
低音域から高音域まで広い音域を再生して意外と高音質。
ただ、ボリュームをMAX にするとサウンドによっては音割れする場合もある。
また、スピーカーが前面側に配置されているのでタイピングしながら聞くと音がこもる。
■ヘッドフォン
低音域がシッカリと増幅され、サウンド全体に厚みがでて迫力がアップする。
『Latitude 12 7000』に搭載されている Waves MaxxAudio Pro にはプリセット機能はありませんでしたが、ビジネス向けのモバイルノートはビデオチャットやテレビ会議などで音声を明瞭に出力できれば良いので、プリセット機能がなくても充分だと思います。
Windows の起動・再起動・シャットダウン時間計測
Windows の起動時間、再起動時間、シャットダウン時間を それぞれ 5回ずつ計測しました。
感覚的にも「早い」です。
なお、起動・再起動・シャットダウン時間は状況により多少変動するので、参考値にしてください。
搭載ソフトウェア
『Latitude 12 7000』に搭載されている主なソフトウェアです。
Windows標準のソフトのほか、Dell サポート関連ソフトなどがインストールされています。
Dell サポート関連ソフトの一つ「Support Assist」にはシステム全体を最適化してくれる機能も搭載されており、快適なパフォーマンスを維持することができます。
搭載されているソフトウェアとしては、必要最低限といった印象です。
なお、ウィルス対策ソフトはオプションで「マカフィー スモール ビジネス セキュリティ」を追加できます。(30日間無料体験版は無料で追加できます)
付属品
『Latitude 12 7000』プレミアムモデル(大容量メモリ/FHD/4G SIMフリー)の本体ほか同梱品一式(電源アダプター、電源コード、ドキュメント類)です。
付属しているドキュメントは、SIMカードのインストール方法を記載したドキュメント(英語版)と「安全および認可機関に関する情報」です。
ドキュメントについても必要最低限といった印象です。
ビジネスノートとして使うなら、トラブルのときでも速やかに対応してもらえるよう、サポートサービスをつけておいた方が良いかもしれません。
まとめ
以上、『Latitude 12 7000 (7280)』のレビュー記事をお届けしました。
『Latitude 12 7000』は、コンパクトで薄くて軽いビジネスノートです。
性能面では、レビュー結果の示すとおり、ビジネス向けのモバイルノートとして充分の性能を備えています。
とくに、バッテリー性能は非常に高い印象です。長時間の外出でも電源コンセントを気にすることなくバッテリーだけで使えそうです。
高いレベルの性能にくわえ、モビリティの高さも兼ね備えており、外出の多いビジネスユーザーも安心して使えるモデルといえます。
なお、ラインナップしているモデルや価格はデル直販サイト「デルオンラインストア」でチェックしてください。
デル直販「デルオンラインストア」公式サイト ⇒ New Latitude 12 7000ノートパソコン(2017年2月28日発売) ⇒ New Latitude 12 7000 (7290) |
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