マウスコンピューター『m-Book K686XN-M2SH2』の実機レビュー 後編です。
後編では、各種ベンチマーク、RAWデータ現像・動画エンコード処理時間計測、起動・シャットダウン時間計測などのレビューを行います。
(後編) ベンチマーク RAWデータ現像・動画エンコード処理時間計測 サウンド チェック Windows の起動・シャットダウン時間計測(動画に収録) 搭載ソフトウェア 付属品 まとめ |
実機はメーカーからの貸出機です。
レビュー内容については 2017年12月19日時点のもので、実機の製品仕様・販売価格については変更される場合があります。
ベンチマーク
『m-Book K686XN-M2SH2』の基本性能や総合的なパフォーマンスのほか、CPU、グラフィック、ストレージ、バッテリーの性能を測定します。
基本性能
Windowsに搭載されているシステム評価ツール「WinSATコマンド」によるパソコン性能の測定です。
「WinSAT」による測定は、PCの性能を相対的に数値化して表現したもので、各項目の説明は次のとおりです。
CPUScore | CPU のスコア |
D3DScore | ゲーム用グラフィックスのスコア ただし、従来のゲーム用グラフィックスのスコアのため Windows 10では計測対象外(9.9というスコアは対象外) |
DiskScore | プライマリハードディスクのスコア |
GraphicsScore | グラフィックスのスコア |
MemoryScore | メモリのスコア |
TimeTaken | 前回の評価(「MostRecentAssessment」は直近の評価を表します) |
WinSATAssessmentState | 評価の状態を表す値(1:評価済み、2:要再評価) |
WinSPRLevel | 基本スコア(SPR:System Performance Rating) |
WinSAT による測定結果は、高いレベルでバランスの良いスコアです。
実際の使用感も、軽快な動作でパフォーマンスも良好です。
総合的なパフォーマンス
「PCMark 8」を使用して、PCのアプリケーション実行における総合的なパフォーマンスを測定します。
Home Test
家庭での利用を想定したテスト内容です。
OpenCL対応の Accelerated にて測定
Creative Test
クリエイティブな利用を想定したテスト内容です。
OpenCL対応の Accelerated にて測定
総合的なパフォーマンスとしては、ゲーミングPC には及ばないものの、スタンダードノートPC としてかなり高い性能レベルであることが分かります。
CPU性能
「CINEBENCH」を使って、CPU性能を測定します。
『m-Book K686XN-M2SH2』の CPU性能は、クアッドコアでスピード重視の HQ プロセッサーを搭載しているだけにスコアも 748 cb と高いレベルです。
ちなみに、最新の第8世代インテル Core i7-8550U プロセッサー(省電力タイプ)のスコアは 480 cb くらいです。
『m-Book K686XN-M2SH2』に搭載されている第7世代インテル Core i7-7700HQ プロセッサーは、一つ前の世代であっても高い性能レベルであることが分かります。
また、上記画像の OpenGL のスコアは、グラフィックスの描画性能を表します。100を超えるスコアで、こちらもハイレベルなスコアです。
グラフィック性能
「3DMark」「ドラゴンクエストXベンチマークソフト」「ファイナルファンタジーXIV: 蒼天のイシュガルド ベンチマーク」「ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター ベンチマーク」、4つのベンチマークソフトを使って GeForce MX 150 の性能を測定します。
まず「3DMark」での測定です。
3DMark では「Ice Storm」「Cloud Gate」「Sky Diver」「Fire Strike」「Time Spy」、各シーンの描画の滑らかさをもとにグラフィック性能を測定します。
スコアの高さは描画の快適性を表しています。
測定前に流されるデモ映像を見たイメージとしては、次のような印象でした。
Ice Storm | なめらか描画 |
Cloud Gate | なめらか描画 |
Sky Diver | なめらか描画 |
Fire Strike | 若干カクついた描画だが問題ないレベル |
Time Spy | カクつきが目立つ描画(コマ送りほどではない) |
次が、「ドラゴンクエストXベンチマークソフト」の測定結果。
解像度 1280×720 にて測定
左側:標準品質、右側:最高品質
高いレベルのスコアですが、専用グラフィックス「GeForce MX 150」を搭載しているわりには今ひとつのスコアで、CPU内蔵のグラフィックスプロセッサーが処理していることも推測されます。
そこで、NVIDIA のコントロールパネル[3D 設定の管理]で、優先するグラフィックスプロセッサを「高パフォーマンス NVIDIA プロセッサ」に設定変更し、ドラゴンクエストX のベンチマークソフトを再実行してみます。
NVIDIA コントロールパネルを起動するには
タスクバーアイコンをダブルクリックします
ドラゴンクエストX 再測定の結果は以下のとおり。
解像度 1280×720 にて測定
左側:標準品質、右側:最高品質
高パフォーマンス NVIDIA プロセッサ選択時
スコアが格段にアップしました。ゲームプレイなどで映像描画が今ひとつのときは設定を確認してみると良いでしょう。
なお、グラフィック性能の測定に際し、優先するグラフィックスプロセッサを「高パフォーマンス NVIDIA プロセッサ」に設定変更したのはドラゴンクエストX のみで、通常は「自動選択」にてベンチマークを実施しています。
次が、「ファイナルファンタジーXIV:蒼天のイシュガルド ベンチマーク」の測定結果。
高品質(ノートPC)、解像度 1280×720、DirectX 11
最高品質、解像度 1280×720、DirectX 11
さいごに、「ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター ベンチマーク」の測定結果。
高品質(ノートPC)、解像度 1280×720、DirectX 11
最高品質、解像度 1280×720、DirectX 11
4つのベンチマークソフトを使ったグラフィック性能の測定結果をみると、『m-Book K686XN-M2SH2』は高いレベルのグラフィック性能を備えていることが分かります。
ゲームプレイはもちろんのこと、写真や動画の編集作業などクリエイティブな作業もパワフルにこなしてくれる性能レベルです。
動作音については、ベンチマークなど負荷のかかる処理中は、排熱のためファンがフル回転しファン音が少し大きくなります。
個人差はありますが、耳障りに感じるかもしれません。
ただ、負荷が下がってくると即応するようにファンの回転も落ち着いてきますし、実際の使用においては、終始、パソコンに負荷がかかっているわけではないので、動作音が気になる状態が続くことはないでしょう。
また、本体内部の熱については、負荷のかかる処理中でもパームレストは熱さは感じません。キーボードの奥側(ヒンジ近く)や排気口の周辺でも多少の温かさを感じる程度です。
ストレージ
ストレージのベンチマークです。
『m-Book K686XN-M2SH2』には、高速ストレージ SSD と 大容量ストレージ HDD がデュアルドライブで搭載されています。
ストレージのドライブ構成は次のようになります。
まず、Cドライブに割り当てられている SSD から見てみます。
SSD は、KINGSTON製で 容量は 256GB です。
ストレージ情報(SSD)
SSD のデータ転送速度です。
ストレージのデータ転送速度(SSD)
SSD が搭載されていると、数字が示す通り Windows や アプリの起動も高速です。
次に、Dドライブに割り当てられている HDD を見てみます。
HDD は、WESTERN DIGITAL製で 容量は 1TB、回転数は 5400rpm です。
ストレージ情報(HDD)
HDD のデータ転送速度です。
ストレージのデータ転送速度(HDD)
回転数が 5400rpm の HDD としては、平均的なスコアです。
SSD と HDD のデュアルドライブ構成は、Windows や アプリは SSD から素早く起動でき、写真や動画などサイズの大きいデータは HDD にたくさん保存することができる、ストレージとしてコストパフォーマンスに優れた構成です。
バッテリー
『m-Book K686XN-M2SH2』に搭載されているバッテリーの性能を測定します。
測定は、次の条件で周期的にバッテリーの残量を測定しバッテリー駆動時間を算出します。
・無線LANでインターネットに接続
・YouTubeを全画面で連続再生
・画面の明るさ:最大レベル
・音量:最大レベル
バッテリーの残量は、大よその数字で 1時間当たり 26~28% くらいずつ減少しています。
バッテリーによる駆動は 3時間 32分経過後、Windows がバッテリー不足を検知し、パソコンはスリープ状態になりました。
バッテリーを多く消費する条件のためバッテリー駆動時間が 3時間半くらいと短めですが、画面の明るさや音量レベルなどを通常使用レベルに調整すれば、バッテリー駆動時間はもう少し伸びると思います。
別な言い方をすれば、モバイルノートではないので、バッテリー駆動時間としては十分とも言えるでしょう。
なお、実際の使用にあたっては、環境や条件などによりバッテリーの駆動時間は変動するので、参考値としてください。
RAWデータ現像・動画エンコード処理時間計測
『m-Book K686XN-M2SH2』で、RAWデータ現像と動画エンコードの処理時間を計測してみます。
RAWデータ現像
RAWデータ現像に使用したソフトウェアや条件、処理時間は以下のとおりです。
■使用ソフトウェア
CyberLink PhotoDirector 7
■条件等
・RAWデータ 50ファイルを一括書き出し
・プリセット等 編集は適用しない
・撮影カメラ SONY NEX-5
■処理時間
出力先 | 処理時間 | メモリ使用量 |
---|---|---|
SSD | 52秒 | 3.4GB |
HDD | 52秒 | 3.5GB |
※メモリ使用量は処理中の「コミット済みメモリ」を計測。
(パソコンがシステム全体で実際に使用しているメモリの使用量)
動画エンコード
動画エンコードに使用したソフトウェアや条件、処理時間は以下のとおりです。
■使用ソフトウェア
CyberLink PowerDirector 15
■条件等
・AVCHD動画(1920×1080)を mp4 形式で出力
(m2ts→mp4、720p、1280×720/30p 16Mbps)
・動画再生時間 10分間
■処理時間
出力先 | 処理時間 | メモリ使用量 |
---|---|---|
SSD | 3分1秒 | 3.5GB |
HDD | 3分3秒 | 3.4GB |
※メモリ使用量は処理中の「コミット済みメモリ」を計測。
(パソコンがシステム全体で実際に使用しているメモリの使用量)
サウンド チェック
『m-Book K686XN-M2SH2』には、Sound Blaster Cinema 3 が搭載されています。
Sound Blaster Cinema 3 は、スピーカー、ヘッドフォンなど、サウンドを再生する機器に合わせた音響効果や、お好みの音質のサウンド環境を構築することができます。
Sound Blaster Cinema 3
実際に聴いてみた印象としては・・・
■スピーカー
音の広がりも感じられ、まずまずの高音質サウンド。
■ヘッドホン
低音域から高音域までメリハリがでてくる。とくに、低音域がしっかりと聞こえ、サウンド全体に厚みが増す。
より高音質でサウンドが楽しめる。
Windows の起動・シャットダウン時間計測(動画に収録)
『m-Book K686XN-M2SH2』の Windows起動時間とシャットダウン時間は、次のとおりです。
・起動 : 11.9秒
・シャットダウン : 8.1秒
Windowsの起動とシャットダウンの様子を動画に収録しています。起動・シャットダウン時間を感覚でイメージできるので参考にどうぞ!
搭載ソフトウェア
『m-Book K686XN-M2SH2』に搭載されている主なソフトウェアです。
Windows標準のソフトのほか、サウンド関連の Creative ソフト、専用グラフィックス関連の NVIDIA、セキュリティソフト「マカフィー リブセーブ」などがインストールされています。
Windows 10 の操作説明書「Windows 10 ユーザーガイド」や m-Book K686XN-M2SH2 の取扱説明書「ハードウェアマニュアル」が PDFファイルで入っており、それぞれスタートメニューから開くことができます。
また、ユーティリティーソフトとして、パソコンの動作状態をコントロールする「コントロールセンター」や、キー割り当てアプリ「FLEXIKEY アプリケーション」などがインストールされています。
「コントロールセンター」は、使用環境に合わせて、画面の明るさやファンのスピードなど、パソコンの状態を調整・管理することができます。
コントロールセンター(パフォーマンス・システムプログラム)
コントロールセンター(パフォーマンス・デバイス)
コントロールセンター(パフォーマンス・ゲーミング)
「FLEXIKEY アプリケーション」は、複数のキー入力、アプリケーションの起動、入力テキストを特定のキーに割り当てることができるほか、特定のキーを無効化することで、ゲームプレイしているときなどに不要なキー入力を防止することもできます。
FLEXIKEY アプリケーション(キーボード)
FLEXIKEY アプリケーション(マウス)
なお、「コントロールセンター」や「FLEXIKEY アプリケーション」の操作方法は、ハードウェアマニュアルに記載されています。
付属品
『m-Book K686XN-M2SH2』の本体ほか同梱品一式(電源アダプター、電源コード、ドキュメント類)です。
付属しているドキュメント類です。
【上記写真のドキュメント類について】 ■上段左側から ・サポートマニュアル ・ファーストステップガイド ・製品仕様書 ■下段左側から ・U-NEXT プレミアム特典チケット ・保証書 |
サポートマニュアルには、初回設定手順のほか、サポートセンターへの問い合わせ方法についても詳細に記載されています。
サポートマニュアル
製品の技術的な問い合わせも可能で、トラブルのときでも慌てる必要はなさそうです。
サポートマニュアル(問い合わせ方法)
サポートセンターへは、電話、メール、FAX での問い合わせが可能です。とくに電話による問い合わせが 24時間365日対応しているのは、パソコンを安心して使う上で大きなアドバンテージです。
まとめ
『m-Book K686XN-M2SH2』は、ベンチマークの結果が示す通り、パワフルなパフォーマンスで軽快に動作してくれます。
写真や動画編集のほか、ライトなゲームからミドルレンジのゲームも快適に楽しめそうです。
デザイン面ではマットなブラックのカラーは派手派手しさはないものの重厚感があり、ボディのカットがアクセントになって上品さも感じさせてくれます。
キーボードのレイアウトに若干クセがありますが、高いレベルの性能を搭載しながら、価格が 税込12万円台~とリーズナブルで、コストパフォーマンスにも優れたモデルといえます。
『m-Book K686XN-M2SH2』の最新価格や姉妹モデルは、マウスコンピューター公式サイトをご確認ください。