デル『Dell G3 17 (3779)』の実機レビュー 後編です。
後編は、プラチナ・大容量SSD+HDD・GTX 1060 搭載モデルを使用して、各種ベンチマークのほか、RAWデータ現像・動画エンコード処理時間計測、Windows 起動時間計測などの性能レビューを行います。
なお、レビュー機のスペックについては「スペック構成」の章をご覧ください。
(後編) ベンチマーク RAWデータ現像・動画エンコード処理時間計測 駆動音・表面温度 サウンド チェック Windows の起動・再起動時間計測 付属品 まとめ |
レビュー内容は 2018年12月13日時点のもので、販売価格・クーポンなどの最新情報はデルオンラインストアでチェックしてください。
ベンチマーク
『Dell G3 17』の基本性能や総合的なパフォーマンスのほか、CPU、グラフィック、ストレージ、バッテリーの性能を測定します。
基本性能
Windowsに搭載されているシステム評価ツール「WinSATコマンド」やパソコンの各性能レベルを客観的に評価する「CINEBENCH」、「PASS MARK PerformanceTest 9.0」を使用して、パソコンの基本性能を測定します。
WinSAT
「WinSAT」による測定は、PCの性能を相対的に数値化して表現したもので、各項目の説明は次のとおりです。
CPUScore | CPU のスコア |
---|---|
D3DScore | ゲーム用グラフィックスのスコア ただし、従来のゲーム用グラフィックスのスコアのため Windows 10では計測対象外(9.9というスコアは無視) |
DiskScore | プライマリハードディスクのスコア |
GraphicsScore | グラフィックスのスコア |
MemoryScore | メモリのスコア |
TimeTaken | 前回の評価(「MostRecentAssessment」は直近の評価を表します) |
WinSATAssessmentState | 評価の状態を表す値(1:評価済み、2:要再評価) |
WinSPRLevel | 基本スコア(SPR:System Performance Rating) |
CPU性能
「CINEBENCH」を使って、CPU性能を測定します。
レビュー機の『Dell G3 17』の CPU には 6コア12スレッドで動作が可能な「第8世代インテル Core i7-8750H プロセッサー」が搭載されています。
以下は、一般的な高性能ノートPCに搭載されている「第8世代インテル Core i7-8550U プロセッサー」やデスクトップPC向けの CPU の一つ「第8世代インテル Core i5-8400 プロセッサー」との CINEBENCH スコアの比較です。
Core i7-8750H | Core i7-8550U | Core i5-8400 | |
---|---|---|---|
OpenGL | 99.52 fps | 50.83 fps | 47.54 fps |
Ref.Match | 99.6 % | 97.8 % | 97.8 % |
CPU | 1070 cb | 520 cb | 930 cb |
CPU (Single Core) | 177 cb | 169 cb | 172 cb |
MP Ratio | 6.06 x | 3.07 x | 5.40 x |
上記の比較からも、インテル Core i7-8750H プロセッサーの性能レベルの高さが分かります。
なお、CINEBENCH を実行中の動作環境としては、CINEBENCH 以外のアプリは起動せず、常駐アプリは初期設定のままで計測しています。
PASS MARK PerformanceTest 9.0
「PASS MARK PerformanceTest 9.0」で計測されたスコアは、全世界のパソコンがアップロードしたスコアと比較、Percentile(パーセンタイル)の数値から自分のパソコンの性能レベルを客観的に把握することができます。
上記の測定結果を例にすると、トータル性能を示す「PassMark Rating」のスコア「5842.4」のパーセンタイルは「97th Percentile」で、計測を行った他のパソコン 97% よりも上位のスコアという意味です。
別な言い方をすると、「PASS MARK PerformanceTest 9.0」で計測しスコアをアップロードした全世界のパソコンのなかで、上位のスコアから 3%(100% - 97%)に位置するスコアということです。
ハイパワーなゲーミングPC などハイレベルなパソコンも混在するなかでも、肩を並べるくらい高いレベルのスコアです。
グラフィック性能
グラフィック性能は以下のベンチマークソフトを使って測定します。
■3DMark
■ドラゴンクエストX
■ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター
■ファイナルファンタジーXV
■SteamVR パフォーマンステスト
■VRMark
3DMark
3DMark のベンチマーク結果です。
各テストの内容は以下のとおり。
Cloud Gate | ホームPCやノートPC向けで DirectX 10 を想定したグラフィックス性能テスト |
---|---|
Night Raid | DirectX 12 を使用したモバイルPCなど低スペックPC向けのグラフィックス性能テスト |
Sky Diver | DirectX 11 を使用したミドルレンジ・ゲーミングノート向けのグラフィックス性能テスト |
Fire Strike | DirectX 11 を使用したハイパフォーマンスゲーミングPC向けのグラフィックス性能テスト |
Time Spy | DirectX 12 を使用したゲーミングPC向けのグラフィックス性能テスト |
ドラゴンクエストX
ドラゴンクエストX ベンチマークの結果です。
最高品質、解像度 1280×720
最高品質、解像度 1920×1080
ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター
ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター ベンチマークの結果です。
最高品質、解像度 1280×720、DirectX 11
最高品質 解像度 1920×1080、DirectX 11
ファイナルファンタジーXV
ファイナルファンタジーXV ベンチマークの結果です。
標準品質、解像度 1280×720
標準品質 解像度 1920×1080
SteamVR パフォーマンステスト
SteamVR パフォーマンステスト結果です。
SteamVR パフォーマンステスト
VRMark
VRMark を使用して、VR性能を測定します。
(テスト結果はクリックで拡大表示できます)
Orange Room
Orange Room は VRアプリケーションを快適に楽しめるか標準的な負荷でのテストです。
Blue Room
Blue Room は VRアプリケーションで利用される典型的なグラフィックス処理を高クオリティで処理させる高負荷なテストです。
Cyan Room
Cyan Room は Orange Room と Blue Room の中間的な負荷のテストで、DirectX 12 でどの程度の VRパフォーマンスを発揮できるかを判定するテストです。
上記のベンチマークソフトを使ったグラフィック性能の測定結果をみると、『Dell G3 17』のグラフィック性能レベルは、ゲーミングノートとしてかなり高いレベルです。ほとんどのゲームタイトルを快適にプレイできるほか、VRコンテンツもプレイできる性能レベルです。
ストレージ
レビュー機の『Dell G3 17』には、高速ストレージ SSD と 大容量ストレージ HDD がデュアルドライブで搭載されています。
ストレージのドライブ構成は次のようになります。
搭載されているストレージは、SSD が東芝製で容量 256GB(PCIe NVMe M.2)、HDD は SEAGATE製で 容量は 2TB 回転数は 5400rpm です。
ストレージ情報
(デバイスマネージャーから抜粋)
SSD のデータ転送速度です。
データ転送速度(SSD)
SSD が搭載されていると、Windows やアプリの起動が早く、サクサク使えて快適です。
とくに、『Dell G3 17』に搭載されている SSD は、対応規格 PCIe / 転送モード NVMe なので、Windows やアプリの起動などストレージへのアクセスは、体感的にも爆速です。
NVMe は、SATA接続の SSD よりも 高速なデータアクセスが可能なインターフェースです。SSD の高速アクセスを活かしてくれるインターフェースなので、Windows や アプリもより高速に起動できます。
HDD のデータ転送速度です。
データ転送速度(HDD)
回転数が 5400rpm の HDD として平均的なスコアです。
SSD と HDD のデュアルドライブ構成は、Windows や ゲームなどのアプリは SSD から素早く起動でき、ゲームプレイの録画などサイズの大きいデータは HDD にたくさん保存することができる、ストレージとしてコストパフォーマンスに優れた構成です。
実際の使用感としても Windows や アプリの起動も高速で動作も軽快です。
総合的なパフォーマンス
「PCMark 8」および「PCMark 10」を使用して、PCのアプリケーション実行における総合的なパフォーマンスを測定します。
PCMark 8(Home Test)
家庭での利用を想定したテストです。
OpenCL対応の Accelerated にて測定
(テスト結果はクリックで拡大表示できます)
PCMark 10 Extended
PCMark 10 Extended は、以下の 4つの Test Group のテストを実施します。
(テスト結果はクリックで拡大表示できます)
■Essentials(普段の作業を想定した基本的なテスト)
■Productivity(ビジネスソフトの使用を想定したテスト)
■Digital Contents Creation(写真・動画編集を想定したテスト)
■Gaming(ゲーミングソフトの使用を想定したテスト)
総合的なパフォーマンスは、ゲームプレイのほか、写真・動画編集など、ほとんどの用途で快適なパフォーマンスが期待できるスコアです。
とくに、PCMark 10 Extended では Gaming も含め すべてのテストグループで良好なスコアです。ハイレベルでオールラウンダーなノートパソコンといった感じでしょうか。
バッテリー
『Dell G3 17』に搭載されているバッテリーの性能(駆動時間)を測定します。
通常、ゲームプレイのときは電源アダプターをつないでプレイしますが、バッテリー性能を把握するため駆動時間を測定しておきます。
■駆動時間
バッテリーでの駆動は、次の条件でバッテリーによる駆動時間を計測します。
・無線LANでインターネットに接続
・YouTubeを全画面で連続再生
・画面の明るさ:最大レベル
・音量:最大レベル
バッテリー駆動時間の測定結果は以下のとおり。
バッテリーの残量が 20% を下回った後、極端に残量が低下してしまう不可思議な結果です。
バッテリーによる駆動は 2時間53分経過後パソコンは休止状態になりました。
なお、実際の使用にあたっては、環境や条件などによりバッテリーの駆動時間は変動するので、参考値としてください。
RAWデータ現像・動画エンコード処理時間計測
『Dell G3 17』で、RAWデータ現像と動画エンコードの処理時間を計測します。
RAWデータ現像
RAWデータ現像に使用したソフトウェアや条件、処理時間は以下のとおりです。
■使用ソフトウェア
CyberLink PhotoDirector 7
(筆者所有のソフトウェア)
■条件等
・RAWデータ 50ファイルを一括書き出し
・プリセット等 編集は適用しない
・RAWデータサイズ 4,592×3,056(約14MB)
■処理時間
出力先 | 処理時間 | メモリ使用量 |
---|---|---|
SSD | 48.7秒 | 7.5GB |
HDD | 46.0秒 | 7.6GB |
※メモリ使用量は処理中の「コミット済みメモリ」(最大値)。
(パソコンがシステム全体で実際に使用しているメモリの使用量)
※常駐アプリなど既定のソフトウェア以外は起動しない。
動画エンコード
動画エンコードに使用したソフトウェアや条件、処理時間は以下のとおりです。
■使用ソフトウェア
CyberLink PowerDirector 15
(筆者所有のソフトウェア)
■条件等
・AVCHD動画(1920×1080)を mp4 形式で出力
(m2ts→mp4、720p、1280×720/30p 16Mbps)
・動画再生時間 10分間
■処理時間
出力先 | 処理時間 | メモリ使用量 |
---|---|---|
SSD | 2分10秒2 | 7.3GB |
HDD | 2分9秒6 | 7.3GB |
※メモリ使用量は処理中の「コミット済みメモリ」(最大値)。
(パソコンがシステム全体で実際に使用しているメモリの使用量)
※常駐アプリなど既定のソフトウェア以外は起動しない。
ハイパワーなゲーミングノートだけに、写真・動画編集もストレスなく快適に使えそうです。
駆動音・表面温度
駆動音については、負荷のかかる処理になると「サーッ」という排熱のための気流音がそれなりに大きくなります。個人差はあると思いますが、耳ざわりに感じるかもしれません。
負荷が低減してくると即応するように排気音も静かになってきますし(平常時は静かです)、ゲームプレイのときは、サウンドなどの効果音やヘッドフォンを付けたりするので、排気音はそれほど気にならないと思います。
また、本体の表面温度については、負荷のかかる処理中は、キーボードの奥側の排気口近くが少し温かくなります。(熱いという感じではない)
キーボード上は、数字行から奥側が本体内部の熱の影響で少しだけ温かくなる程度、パームレストは本体内部の熱の影響を受けないので不快な感じはありません。
左側の画像:平常時(Windows起動後10分放置)
右側の画像:動画エンコード時(10分間の動画エンコード終了直前)
サウンド チェック
『Dell G3 17』は サウンドユーティリティソフト「Waves MaxxAudio Pro」が搭載されています。
Waves MaxxAudio Pro には、サウンドに合わせたプリセットが数多く設定されているほか、スピーカーやヘッドフォンなどサウンドを再生する機器に合わせて、お好みのサウンドにチューニングすることもできます。
Waves MaxxAudio Pro サウンド ユーティリティソフト
ちなみに、サウンドユーティリティソフトを開発した Waves MaxxAudio はイスラエルのデジタル音声&音響技術メーカーで、そのサウンドは パソコンやタブレット、スマートフォンなど幅広く採用されています。
サウンドを実際に聴いてみた印象としては・・・
■スピーカー
低音域が若干弱いが、まずまずの高音質でカジュアルに楽しめるレベル。
スピーカーの実装位置が手前側にあるので、タイピング中はスピーカーから出てくる音をさえぎり音質が変動する。
■ヘッドホン
低音域が強調され、サウンドに厚みが増し、より高音質なサウンドを楽しめる。
音楽やゲームを楽しむならヘッドホンのほうがおすすめ
Windows の起動・再起動時間計測
Windows の起動時間、再起動時間を それぞれ 5回ずつ計測しました。
起動 | 再起動 | |
---|---|---|
1回目 | 20.7秒 | 35.0秒 |
2回目 | 19.6秒 | 34.6秒 |
3回目 | 19.6秒 | 34.5秒 |
4回目 | 19.7秒 | 34.8秒 |
5回目 | 19.8秒 | 34.9秒 |
平均 | 19.9秒 | 34.8秒 |
スペックのわりには時間がかかっている印象ですが、体感的に遅いという感じはありませんでした。
付属品
『Dell G3 17』の本体ほか同梱品一式(電源アダプター、電源コード、ドキュメント類など)です。
ドキュメントは簡易的な内容で必要最低限といった印象ですが、詳しい内容についてはデル公式サイトの製品ページで公開されています。
まとめ
以上、『Dell G3 17 (3779)』のレビュー記事をお届けしました。
『Dell G3 17』の性能レベルは高く、パワフルで快適パフォーマンスのゲーミングPC です。
レビュー機に搭載されている「第8世代インテル Core i7-8750H プロセッサー」は、一般的なノートPC向けの CPU より処理性能の高い「6コア12スレッド」での動作が可能な CPUです。
一般的なノートPCの場合、省電力タイプの Uプロセッサーを搭載する機種が多く、その場合 CPU の性能レベルが高くても「4コア8スレッド」です。
それだけ『Dell G3 17』のパフォーマンスはパワフルで、そのレベルの高さはベンチマークの結果にも表れています。
デザイン的にも、派手派手しいゲーミングPC のデザインと一線を画したスタイリッシュなデザインはリビングや書斎に置いてもインテリアにマッチします。
カジュアルにパソコンでゲームプレイを楽しみたいユーザーにおススメのモデルといえます。
評価のポイントをまとめると・・・
高評価のポイント
・パワフルで快適パフォーマンス
・ほとんどのゲームタイトルを楽しめそう
・ノートPCで迫力の大画面映像が楽しめる
・薄型でスタイリッシュなデザイン
チョット残念なところ
・[Enter]キーや[BackSpace]周辺の一部キーが若干扱いにくいかも
『Dell G3 17 (3779)』の価格はクーポン適用で 税込9万円台~と意外にリーズナブルです。
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